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富田薫|いやいやいやいや〜富田デス。

今年89歳のイーストウッドが“老け役”!?『運び屋』

2019/03/08

もはやホンモノの“運び屋”に見える圧巻の演技!

貴重なユリの栽培で名声を得るが…。

「ある理由」でユリ農場を手放すと歯車が狂い始める。

退役軍人の経験を生かしてピンチを切り抜け…。

ブラッドリー・クーパーとのダイナーでのやりとりは見せ場ですぞ。

麻薬捜査官チームはハイテク技術で犯罪者を追い詰めていく。

いろいろとあった娘役のアリソン・イーストウッドは実の娘。

(c)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
 「天は二物を与えず」という言葉がある。だから、偉大な業績を二つ持つ人物は稀有なのだが、クリント・イーストウッドのこの実績はどうだろう…。

 映画監督として『ミスティック・リバー』『硫黄島からの手紙』『15時17分、パリ行き』『ハドソン川の奇跡』『アメリカン・スナイパー』といったヒット作を手掛け、主演俳優として『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『ダーティハリー』『アルカトラズからの脱出』…とくる。

 さらに『許されざる者』『マディソン郡の橋』『ミリオンダラー・ベイビー』『グラン・トリノ』に至っては、監督も主演もである。しかも数々のアカデミー賞に輝く巨匠だから恐れ入る。

 今回も監督&主演で取り組んだ本作の主人公は、メキシコの犯罪組織に加担し、麻薬の“運び屋”として犯罪に手を染めたレオ・シャープなる実在の人物。彼はなんと87歳の老人だったのだ!

 撮影当時イーストウッドも同じ87歳。ならば素のままでいけるじゃないかと思うが、まだまだ意気軒高な彼が、わざわざ“老け役”を熱演するのである。

 共演者のブラッドリー・クーパーは「スタンバイ中の椅子からはカンガルーのように飛び出すのに、カメラが回ると棺おけに片足を突っ込んでいる人物を演じるんだ」と語る。

 確かに、観ているうちにレオ・シャープ本人ではないかと思えてくるほどの演技なのだ。

 物語はある植物のシーンから始まる。英語名「DAYLLY(デイ・リリイ)」というユリの一種は、たった1日だけ花が咲く。

 それを大切に育てていたイーストウッドは、ある理由でユリ農園を手放したことが危い世界に足を踏み入れるきっかけになる。そのあとは“運び屋稼業”の数々のエピソードの連発。

 冒頭で「ニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載された記事にインスピレーションを得た」と明示されるが、話はかなりの部分で“盛られている”だろう。

 道中で出くわす警察官とのやりとりや麻薬組織を手玉に取る態度。ヤバい金の使い道にハイテクで迫ってくる麻薬捜査からの逃避行…などなど。

 そんなにドラマチックなはずないだろ!とツッコみたくなるが、それは決して不愉快なものでない。それどころか、良い意味でイマジネーションの勝利とも言える場面の連続だ。

 だが、これは単なる「犯罪映画」ではない。家族を顧みなかったことでしっぺ返しをくらい、妻や娘とまだまだ濃密な時間を過ごしたいのにかなわない老人のジレンマ。それはダイナーで語られる「人生で重要なのは仕事だけじゃないはずだ」というテーマに象徴される。

 最後は、自然が相手の難易度の高いシーンで幕を閉じる。あれだけの舞台を作り上げる多くのスタッフの存在に気付いた時、彼は二物どころか三つも四つも与えられ、神様も時には不公平なことをすると思い知るのだった。

 ※3月8日(金)から全国ロードショー
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