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富田薫|いやいやいやいや〜富田デス。

必ず、ひとりで見てください!「サスペリア」

2019/01/16

主人公のダコタ・ジョンソンは子供時代からダンスをしていたとのことだが、それにしてもスゴイ迫力だった。

ティルダ・スウィントンは複数の役を演じ分けていて…。

コンテンポラリー・ダンスのシーンには独特の「様式美」が漂い…。

(c)2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC.
 「出るぞ、出るぞ〜」と、あからさまな恐怖が次々と襲ってくるばかりがホラー映画ではない。生理的・心理的に湧き上がる恐怖を描いた作品もあるにはあるが、それは少数派。この「サスペリア」は、その両方を兼ね備えた稀有な作品だ。上映時間の2時間33分も含めて…。

 1977年公開の“本家”と同じ「決して、ひとりでは見ないでください」のキャッチコピーが使われたので、リメイクかと思って観ていたが、基本的な設定が同じだけ。

 「エクソシスト」「オーメン」と共に“世界三大ホラー”と並び称されるこの作品で、イタリア出身のルカ・グァダニーノ監督は“本家”よりも高い完成度の世界観を構築した。

 彼は「13歳で初めて観たときは、まさに脳天直撃!それからの人生で“サスペリア”は頭の中を駆け巡り私を支配してきた。映画監督になった理由のひとつだ」と語る。とすれば、この企画を30年以上あたためてきたわけだから恐れ入る。

 物語の冒頭、クロエ・グレース・モレッツ扮するパトリシアと精神科医との会話によって状況説明が行われるので“本家”を見ていなくても戸惑うことはない。

 「フィフティ・シェイズ」シリーズのダコタ・ジョンソン演じる主人公の出身地はニューヨークからオハイオへと変わり、最初の登場シーンもタクシーではなく地下鉄に徒歩。ただ「ベルリンでは雨が降ると、みんながタクシーに乗る」という台詞にオマージュ(尊敬・敬意)を感じることができた。

 舞台もバレエの寄宿学校からコンテンポラリー・ダンスのカンパニーになったが、その前衛的な動きと、ある恐ろしい出来事がシンクロし、絶大な効果を上げている。

 さらに特筆すべきはそのダンス・カンパニーの主宰者を演じるティルダ・スウィントン。「明らかに何かがある」怖さを醸し出しつつ、特殊メイクで別の重要人物も演じていたのには驚かされた。

 “本家”ではイタリアのプログレッシブ・ロック・バンド「ゴブリン(Goblin)」が担当した印象的なサントラは、イギリスのロックバンド「レディオヘッド」のトム・ヨークの仕事になった。

 ロケ地探しや美術の制作も監督との共同作業になり、使う楽器も含めて1年ほどの時間をかけている。なので、後半のヤマ場で登場するそのサウンドには、思わず「待ってました!」という心の声が出るほどだった。

 時代背景となっている1977年10月のドイツ赤軍による「ルフトハンザ航空181便ハイジャック事件」のニュースが徹頭徹尾挿入され、これが「もうひとつの主題」に関係していることが容易にわかる。

 見終わったあとで「ヴィジュアル化された恐怖」に加え「心の中で湧き上がる恐怖」に身をゆだねるためにも、劇場には「おひとりで行くこと」を強くお勧めしたい作品だ。

※1月25日(金)から全国ロードショー
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