KBC九州朝日放送

KBCサイト内検索

福岡恋愛白書13 BD好評発売中

KBC共通メニューをスキップ

アナウンサールーム > 富田薫 > 日記

富田薫|いやいやいやいや〜富田デス。

劇団四季『恋におちたシェイクスピア』は予測不可能な展開ですぞ!

2018/12/27

撮影:阿部章仁
 「スランプに陥ったシェイクスピアが悩んでしまい新作が書けなくなる」という設定に加え、終始ハチャメチャな物語が展開されるのに、エンディングでは言いようのない感動に包まれる…そんな不思議な作品だった。
 
 この『恋におちたシェイクスピア(原題:『Shakespeare in Love』)は、アカデミー賞7部門を獲得した同名映画(1999年日本公開)をベースに、リー・ホールの脚本で2014年にロンドン・ウェストエンドで上演された。

 今回、その舞台脚本に基づき、ロンドン版とは異なる“オリジナルの演出”が施されて今年6月に東京で日本初演を迎え、福岡・キャナルシティ劇場に登場。劇団四季としては2006年初演の『鹿鳴館』以来12年ぶりとなる新作の台詞劇(ストレートプレイ)となった。  

 ストーリーを大雑把に言うと「劇中ではウィルと呼ばれる主人公のシェイクスピアはスランプの真っ只中。新作の台本がまだ完成していないのに出演者オーディションが始まってしまう。そこにトマス・ケントと名乗る青年が現れるが、実は男に変装した資産家レセップス卿の娘であるヴァイオラだった。女性が舞台に立つことは公序良俗に反するためご法度の時代。しかし、演劇を心から愛する彼女はモノローグ(独白)を完璧に演じて見せ、ウィルはその才能に惚れ込む。ケントを追ってレセップス卿の館まで来たウィルは、たまたま本来の女性の姿に戻っていたヴァイオラに一目ぼれし、館のバルコニーの下から愛の言葉を投げかける。これをきっかけとして、あの名作“ロミオとジュリエット”の筆が進むようになり…」。ねぇ〜、ハチャメチャでしょ?

 “オリジナルの演出”も秀逸だが、ステージ上の俳優の表情や一挙手一投足からも目が離せない。

 「緩急をつけた動きだけで笑いを誘う」「意味のない笑みを浮かべて何かあると思わせる」「別の登場人物のセリフの間も気になる仕草をする」…などなど。

 特にケントがヴァイオラへまたケントへ…つまり男性・女性・男性へと変身するシーンの早業にはビックリだし、ある理由で“裏切り者”となる人物の心の動きは、照明だけで表現されると言っても過言ではない。至る所に舞台芸術の面白さがちりばめられていた。

 時代背景としてイギリス演劇が大きく発展したエリザベス朝が描かれ、多くの実在の人物が登場するので、そういった人々の素性や人間関係を頭に入れておけば2倍も3倍も楽しめるだろう。

 劇中劇として演じられる『ロミオとジュリエット』のシーンは、映画版ではグウィネス・パルトローとジョセフ・ファインズがカット割りで交互に映し出されるが、劇団四季版ではアッと驚く舞台上の演出が待っている。

 そしてクライマックスを迎えると、これでもかのどんでん返しの連続、泣いて笑ってホッとして、まさに「喜怒哀楽」の全てを体験できるのだ。

 エンディングは、やはりシェイクスピア作品の『十二夜』はこういういきさつで出来上が-りました…と示唆して照明が落ちる。そこには『ハムレット』『ヴェニスの商人』『ヘンリー四世』といった作品を舞台で観たいと思えるほど「シェイクスピアを身近にする」余韻が残るのだった。

 ※福岡・キャナルシティ劇場にて2019年1月6日(日)までの上演。当日券のお問合せは、劇団四季 福岡オフィス(092-292-1160)まで。

絶対に日本では出てこない人!「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」

2018/12/14

どこからどう見ても77歳には見えません!

「早く終わらせてよ!」「セックス・ピストルズのことは話さないわ」と言いたか放題。

若手スタッフとも互角に闘って…。

自らのファッションも「超斬新」。

自らのブランド経営についても赤裸々に語り…。

これからの人生を「環境問題」にささげるという。

(C)Dogwoof
 そのファッションセンスまでは知らなくとも、名前は聞いたことのあるイギリスのデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドのドキュメンタリーだ。

 1992年にエリザベス女王から大英帝国勲章を受け、男性における「サー」と同じように「Dame(デイム)」の敬称付きで呼ばれる彼女。77歳で現役の世界的なファッションデザイナーというイメージを打ち砕く意外な言葉で幕があく。

 それは「撮影はとっとと早く終わらせたいの…」。あたかも観客に啖呵を切るようなコメントに「これはひと筋縄ではいかない人物だな…」と感じたとおりの人生がスクリーン上で展開される。

 数々のファッションに身を包む彼女のショットは、そのどれもがまさに「唯一無二」のモノ。ナレーションなどなくとも「すでに他の人がやっていることはやらないわ!」という主張が伝わってくる。

 ファッション・ショー前夜の舞台裏でもとても70代には見えないパワフルさだ。

 身内のスタッフが指示通りにしなかったとは言え、絶好のプロモーションの場なのに品のない言葉で自らの作品にダメ出しをする。ただ、その振る舞いによって逆に信頼感が増してくるから不思議である。

 デザイナーになったきっかけにも驚いた。「キリストが十字架に磔(はりつけ)の刑となった絵画を見て人生が変わった。人間が傷つけあうことを食い止める騎士のようになろうと思った」と語る。そんな信念でファッションに関わっている人物はいるだろうか?思想家になっていてもかなりの地位を築いたはずだ。

 最初の結婚を「古臭い茶番劇」と切り捨て、マルコム・マクラーレンと共にしばらく人生を歩むことになる。彼は「セックス・ピストルズ」の仕掛人で、デビュー前の「アダム&ジ・アンツ」のマネージメントにも手を染めた。なるほど、ここで彼女のファッションの根底に「パンクムーブメント」があることがわかる。

 これが「半裸になったモデルのケイト・モスが、アイスを食べながらランウェイを歩く」という発想につながったのだ…と。

 終盤、環境保護団体グリーンピースのメンバーとともに北極圏の気候変動を視察するシーンでは「人類は絶滅の危機にある」と言い切る。

 環境保護に取り組む自らの敵を「腐った経済システムで、9つの頭を持った怪物」と呼ぶ様はまさに「異端児」そのもの。
 
 それにもかかわらず、ブリティッシュ・ファッション・カウンシルから3回も「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受けたと聞いて、何事も右へならえの日本のシステムの「時代おくれ感」がひときわ目立つのだった。

※KBCシネマで12月28日(金)からロードショー

劇団四季『ソング&ダンス65』で日本のミュージカル史を体感しよう!

2018/12/05

『ソング&ダンス65』これまでの公演より
撮影:荒井 健
 1999年に劇団四季の創立45周年を記念して始まり、節目の年に披露されてきた『ソング&ダンス』シリーズの第9弾が、12月9日(日)まで『ソング&ダンス65』のタイトルで上演(福岡市・キャナルシティ劇場)されている。

 『ソング&ダンス』は、ミュージカルに登場する名曲の数々を歌(ソング)と踊り(ダンス)で紡いでいく企画。

 オリジナルの衣裳や舞台装置は登場せず、まったく別の演出が施されていく。言わば「ミュージカルのベスト盤」的なステージだ。

 冒頭、今年亡くなった日下武史、浅利慶太両氏のポートレートが投影され、創設者の偉業に敬意を表して舞台の幕があがる。

 昭和30年代と思われる初期作品の「フライヤー(チラシ)」の映像は「これって手書きじゃない!」という手作り感が満載。半世紀以上の歴史の重みが伝わってきた。

 前半の一幕は『ウェストサイド物語』『青い鳥』『コーラスライン』『赤毛のアン』『壁抜け男』『リトルマーメイド』といったおなじみの作品に続き『クレイジー・フォー・ユー』メドレーまで名曲のオンパレード。

 特にブロードウェイ・ミュージカル『ウィキッド』からの「自由を求めて(Defying Gravity)」では、オリジナルにはない女性ボーカリスト3名が登場するサービスぶりで、あっと言う間に1時間が過ぎ去った。

 休憩時間を挟んでの二幕は、ディズニー&アンドリュー・ロイド=ウェバー作品だからファンにはたまらない。

 『ピノキオ』ではじまり『アラジン』『ムーラン』『塔の上のラプンツェル』『美女と野獣』と文句なしのパフォーマンスが続く。

 特に『ノートルダムの鐘』からの3曲は、オリジナルの重厚さを失わないビジュアルで、すべてのミュージカルへの愛情を感じさせるステージに仕上がっていた。

 そしてロイド=ウェバーも代表作の連発。『エビータ』『キャッツ』『オペラ座の怪人』ときてトリは『ライオンキング』の熱唱で幕を閉じる。

 あのサバンナの物語を久しぶりに劇場で見たいな〜と思わせる演出だが、タイミングの良いことに来年(2019)3月からの福岡公演が決まっていた。

 申し上げておきたいのは、これらが劇団四季による四季ファンのための「おいしいパフォーマンス大会」ではないということだ。

 特に1983年初演の『キャッツ』にはじまるブロードウェイ文化の輸入が、日本のミュージカル・シーンにどれほど大きな影響を与えたかがわかってくる。

 欧米のミュージカル文化がここまで日本に根付くかどうか、80年代に確信を持っていた人物は故・浅利慶太氏以外にはいなかったはずだ。

 その視点で見ていくと浮かび上がってくる事実がある。この作品は「劇団四季の65周年記念」であると同時に「65年間の日本演劇・ミュージカル史」なのだ…と。
All Rights Reserved. Copyright © KBC Co.,Ltd. 1998 - 許可なく転載を禁じます