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富田薫|いやいやいやいや〜富田デス。

クリント・イーストウッド監督には脱帽!「15時17分、パリ行き」

2018/02/23

幼なじみの3人組を演じるのはすべてご本人!

実際にあったテロ事件をベースに同じ列車で撮影しているので特別な緊迫感が…。

ヨーロッパ旅行中のベネチアでは特に何も起こらず…。

ホンモノの幼なじみだから会話も自然なのよ。

母親役は本物の女優さんが演じています。

(c) 2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited, RatPac-Dune Entertainment LLC
 今年の5月31日に日本で言うところの「米寿」…88歳を迎えるクリント・イーストウッド監督の最新作なので期待度MAX。予告編からも緊迫感漂うドラマであることが想像できた。

 あらすじは…ヨーロッパ旅行に出かけた幼なじみのアメリカ人3人組。そのうち2人は軍隊に所属しており、休暇を楽しむ道中でアムステルダム発パリ行きの国際列車(乗客数554人)を利用する。そこに武装した1人のテロリストが乗り込んでくる。三百発近くの銃弾を携(たずさ)えて…。

 ただ、2015年8月に実際に起こったテロ事件にまつわる話の映画化なので結果は分かっている。なるほど、列車内で最初はテロリストの攻勢にさらされるが、3人が力を合わせて立ち向かい、ドンパチ・ドンパチかつドッカ〜ンがあるものの、最後は敵をやっつけてめでたしめでたし。「やっぱりアメリカ・イズ・グレートだぜ〜い!!!」…ではまったくない。想像を裏切る内容だったのである。

 もちろん実話なので列車内での出来事は登場するが、上映時間94分の十分の一程度。残りの9割は主人公3人の人生が描かれ、そのテーマはある意味で日本的な「運命」や「虫の知らせ」といったものなのだ。

 3人のうち2人は少年時代に「授業中に外ばかり見ている」との理由で校長室に呼ばれることもしばしば。やはり不良少年として呼び出されていたもう1人の少年と出会い、友情を育むことになる。

 その後、アメリカ軍への入隊を志望するとか、なぜか格闘技や救命救急の訓練を受けるといった彼らのエピソードが披露される。

 クライマックスのヨーロッパ旅行のシーンでは「何かに突き動かされてアムステルダムに来たんだ」とか「運命に導かれている気がしないか?」といった会話が交わされる…。

 そうこうしているうちに3人組は運命の15時17分、パリ行きの国際列車「タリス(Thalys)」に乗車。テロリストと出くわすシーンはやけに説得力と臨場感があると思ったら、驚いたことに大人になってからの彼らは、なんと本人たちが「演じていた」…というか、実際に起きたことを自ら「再現」しているのである。

 しかも銃で撃たれて負傷したものの生還した人物まで登場して同じように床に倒れこむ。「ビックリ仰天ニュース」的なテレビ番組の再現シーンの連続なのだ。

 出演俳優のオーディションは行なわれたが、どうもしっくりいかないので「本人にやってもらうのがいちばんいいか!」って感じでイーストウッド監督が決断したという。まさに巨匠ならではの「嗅覚」だ。

 イーストウッド監督の新作情報として、90歳で逮捕された麻薬運び人レオ・シャープの人生を映画化する話が入ってきた(The Tracking Board)。しかも自ら主演・監督・プロデューサーを務めると聞いて「いったいいつまで現役生活続けるの?」と感じると同時に、これも実話なので、いやがうえにも期待が高まるのであった。

 ※3月1日(木)から全国ロードショー

これってアメリカ社会を知るための教科書!? 「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」

2018/02/19

主役を演じるのはコメディアンのクメイル・ナンジアニ本人。エイミー役のゾーイ・カザンは巨匠エリア・カザンのお孫さん!

スタンダップ・コメディアンとしての成功を夢見るが、その道は険しく…。

家族の希望は「安定した仕事と幸せな結婚」で…。

彼女の病気をきっかけに絆は強まるのでしょうか?

(c) 2017 WHILE YOU WERE COMATOSE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
 舞台はアメリカのシカゴ。パキスタン生まれでコメディアン志望のクメイルは大学院に通う白人女性のエミリーと付き合っていて…ただそれだけのお話なのに、現代アメリカにおける宗教・結婚・医療・親子関係に政治状況まで浮かび上がってくる。

 タイトルにもあるように「病気」は小さくはない要素だが、決してお涙頂戴の物語ではない。大いに笑わせ、最後にはほろっとさせる「吉本新喜劇」にも通じるハートウオーミングな作品で、あっという間の2時間だった。

 しかもこのお話は実話。俳優でコメディアンのクメイル・ナンジアニが製作にかかわり脚本にも参加して、実際に体験した本人を演じている。
 
 両親は弁護士になることを望んでいるが、彼が目指すのはメジャーなコメディアン。もちろん生活は苦しいので仲間とシェアハウスに住み、バイトで「ウーバー」の運転手をして稼いでいる。

 この「ウーバー」は、一般人が自分の空き時間と自家用車を使ってお客さんを運ぶ仕組み。アメリカでは定着してるのねって感じだった。

 職業だけではなく結婚についてもパキスタン人女性とのお見合い話が次々と持ち込まれ、それを強く望む両親の気持ちも「よ〜くわかる〜」って感じだけど、おせっかいぶりはもはやギャグ。

 本命は当然ながらエミリーだが、ある出来事により一度お別れしているので、彼女の両親はけんもほろろ。生まれた国も宗教も違うんだから、いきなり打ち解けるのは難しい。

 そんな時に彼女が原因不明の病気にかかって昏睡状態になり…。ここからはアメリカの医療に対する考え方から社会に暗い影を落とすテロの影響、人間の生き方までが描かれ、ある意味で「社会勉強」になる展開だ。

 異なる国・文化・宗教・結婚感と、すべてに「異」という文字が付くエピソードの連続だが、底辺に流れているのは「子の幸せを願わない親はいない」ということ。

 最後にはモデルとなった家族の実際の写真が披露され、映画館を出るときには幸せな気持ちになった次第。

 ※2月23日(金)より「KBCシネマ」ほかで全国ロードショー

アカデミー監督賞は決まったかも!「シェイプ・オブ・ウォーター」

2018/02/18

並の俳優なら逃げ出しそうな難しい役をこなすサリー・ホーキンス。

隣の部屋に住む画家役のリチャード・ジェンキンスは、そのメイクによって最初は誰かわからなかった。

住んでいるアパートの1階は、なぜか映画館!?

舞台は米・ソ冷戦時代の1962年。スクリーンからは常に緊迫感が漂ってくる。

悪役のマイケル・シャノンの存在感は半端ではない。デル・トロ監督は「彼には自分が投影されている」と言う。

「何か」の研究所からもデル・トロ流の恐怖感が…。

(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
 アメリカの第90回アカデミー賞(発表は日本時間3月5日)で「作品賞」「監督賞」「脚本賞」「主演女優賞」といった主要部門を含む13部門でノミネートされたのが、この「シェイプ・オブ・ウォーター」だが、特別に「主演クリーチャー賞」を創設したいほどだった。

 ダグ・ジョーンズ扮する“彼”は特殊なボディ・スーツをまとっているが、その質感にはまったく違和感がない。その裏にはすさまじいダイエットがあったとは思うが…。

 主演女優のサリー・ホーキンスもアカデミー賞有力候補というのがうなずける。言葉が不自由という設定なのでコミュニケーションは手話と表情。それに加え、突然ミュージカル仕立てになる突飛な演出にもかかわらず、ゆるぎない演技を披露する。

 これまでのアメリカ映画に登場する「クリーチャー」は「エイリアン」や「プレデター」「インデペンデンス・デイ」など、そのほとんどが「侵略者」や「悪の権化」として描かれていた。

 フレンドリーだったのは「E.T.」くらいで、あの時でさえ主人公の少年・エリオットは、別れを受け入れざるを得なかった。ことほどさように、クリーチャーと人間との間には超えることができない壁があるのが「ハリウッドの…」いや「世間の常識」だ。

 詳しく語ることはできないが、生きる世界が違う者どうしの交流について、ギレルモ・デル・トロ監督はアッと驚くエンディングを用意している。

 これまでも「パンズ・ラビリンス」や「パシフィック・リム」といったひと味違う、というよりもクセのある作品を発表してきたが、まさに「常識破り」。

 しかも「R15+」指定となった本作は、それでハードルがあがったにもかかわらず、彼に初のアカデミー賞監督賞をもたらすであろう作品なのである。

 ※3月1日(木)から「ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13」「福岡中洲大洋」ほかで全国ロードショー

グレイテストなのは主役のヒュー・ジャックマン!  「グレイテスト・ショーマン」

2018/02/08

ヒュー・ジャックマンの存在感は凄いものがあります。

成功の陰には様々な困難があるもので…。

ハイスクール・ミュージカル」でおなじみのザック・エフロン(左)も立派なミュージカル・スターに。

(c)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
 舞台は19世紀のアメリカ。主人公のモデルは現代の「サーカス」や「ショービジネス」の原点を築いた興行師「P.T.バーナム(1810〜91)」なる実在の人物だ。

 なんといっても、彼を演じるヒュー・ジャックマンに子孫の方々は大喜びしただろう。演技はもちろん歌の上手さがハンパない。
 彼のことを「X‐メンのウルヴァリン」でしか知らない人が見たらビックリするはずだ。

 作品を彩る「サントラ」にも珠玉の名曲がそろった。2016年度アカデミー賞で主題歌賞受賞の「ラ・ラ・ランド」のコンビ、ベンジ・パセック&ジャスティン・ポールの音楽と聞いて納得。

 オープニングの「ザ・グレイテスト・ショー」で物語に引き込まれるし、バーナムの奥さん役のミシェル・ウィリアムズが歌う「タイトロープ」やヒュー・ジャックマンとザック・エフロンが互角にやりあう「ジ・アザー・サイド」など聴きどころ満載。

 特に、TVでよく耳にする「ディス・イズ・ミー」のセンターを務めるキアラ・セトルの歌唱力には舌を巻く。アメリカのショウビズのクオリティの高さを思い知らされる展開だ。

 この作品は、「単なる伝記映画」にとどまらず、昨年からアメリカ国内でキーワードになっている様々な「壁」がテーマとなっている。それは、格差社会・人間の多様性・人種差別問題に加え「生きるために超えなくてはならない壁」にまで及んでいた。
 脚本に参加したビル・コンドンが「美女と野獣(2017)」の監督であることを考えると、俳優から制作陣までハリウッドの人材の豊富さには驚くしかない。モデルのP.T.バーナムも草葉の陰でほくそ笑んでいるはずだ。

 ※2月16日(金)から「ユナイテッド・シネマキャナルシティ13」「T・ジョイ博多」ほかで全国ロードショー

ハリウッドで「リメイク」があるかも! 「悪女」

2018/02/07

主演のキム・オクビンはほとんどノースタントだが、まったく違和感はなかった。

もともと優秀な殺し屋が今度は悪人を排除する立場に…。

ハリウッドならCGでさっさと済ませるチェイスシーンも実写にこだわって…。

人間関係などのストーリー展開は複雑で…。

撮影日数70日間のうち、63日間がアクションシーンという無茶苦茶な話。

(C)2017 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & APEITDA. All Rights Reserved.
 もう10年以上前になるが、チョン・ジヒョン主演で日本でもヒットした「猟奇的な彼女(2003年)」と同じ様に、ハリウッドでのリメイクを感じさせる作品だ。

 ただ、あのタイトルはあくまで「言葉のあや」であり、こちらの主人公は正真正銘の「猟奇的な彼女」なのである。

 そのキム・オクビン演じる主人公は、幼いころに目の前で父親を殺され、犯罪組織の殺し屋として育てられる。ある時、またもや愛する人を奪われ、そのかたきを討つためにマフィアの巣窟にたった一人で乗り込んでいく。ここが冒頭7分間のアクションシーン。本来ならば死ぬまで牢獄の身だが、今度は権力側の秘密警察の殺し屋として別の人生を歩み始めるが…というお話。

 日本でも藤原竜也主演で大ヒットした「22年目の告白〜私が殺人犯です〜」のオリジナル作品「殺人の告白(2012年)」のチョン・ビョンギル監督作品で、その演出には「ハリウッドへの対抗心」を強く感じた。

 まず特徴的なのが撮影手法。ボディ・カメラ(バンジージャンプで体に付けるようなヤツ)による主観での映像や特殊レンズを使った非現実的な構図に、ホームビデオ的な荒々しい動きなど強烈なインパクトがある。

 そして、フルフェイス・ヘルメットでのバイクだからスタントマンでもいいはずなのに、わざわざ俳優本人に演じさせるチェイスなど、監督が「最近のハリウッドではこんなのないでしょ」と主張しているようだった。

 全体のムードは日本の「劇画」にも通じるところがある。それは古い話で恐縮だが「修羅雪姫(原作・小池一夫)」。

 1970年代の作品で、ご承知のように「キル・ビル」にも影響を与えており「クエンティン・タランティーノ監督」のテイストを感じる部分もあった。途中で「ニキータ(1990年)」という作品名も思い出すはずだ。

 複雑なストーリーに加え、アクションシーンは一歩間違うと塀の上から落ちてしまうような危うさだが、実は緻密に積み上げられ、2時間4分の長さを感じさせない仕上がり。

 だが、エンディングにはアッと驚いた。「バスから降りるときは家族一緒でなきゃな〜」と思ったが、そこで「それこそハリウッドでよくある陳腐なオチじゃないですか!」という監督の声が聞こえたような気がした。

 ※2月10日(土)から「ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13」ほかで全国ロードショー
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