那須町の夫婦遺棄事件で逮捕された指示役とみられる男。逮捕直前、潜伏先の沖縄で男と会っていた友人に話を聞くことができました ■「ひとりで観光」“指示役”友人語る潜伏生活 （事件後に佐々木容疑者と会った友人）「（佐々木容疑者と）あまり事件の話はなかった。『上野でこういうことあったけど大丈夫なの？』と話しても『全然別業態だから』と。もう何が起こっているんだろうという雰囲気で話されたので…」 先月、栃木県那須町で、宝島龍太郎さん（55）と、妻・幸子さん（56）の焼けた遺体が見つかった事件。この男性はこれまでに逮捕された4人のうち、指示役とみられる佐々木光容疑者の友人で、潜伏期間中に会っていたといいます。 （事件後に佐々木容疑者と会った友人）「もちろん指名手配犯とは知らずに、国際通りに飲みに行ったり、ドライブをしたりカフェに行ったりと、普通の観光客のようなことをしていましたね」 事件後、地元の福岡に逃走した佐々木容疑者。さらに、逮捕4日前の先月25日、男性と会うために沖縄に移動していました。宿泊していたホテルの防犯カメラには、落ち着いた様子でチェックインし、その後、外出する姿も映っていました。 （事件後に佐々木容疑者と会った友人）「道の真ん中を歩いたり、1人で観光していたりしたのでちょっと信じられないですね」 Q.観光というのは？ 「首里城に1人で観光に行っているみたいな連絡があったので…」 頻繁にメッセージのやりとりもしていたという男性。しかし、佐々木容疑者が逮捕される前日、28日のやり取りを最後に連絡が取れなくなったといいます。 （事件後に佐々木容疑者と会った友人）「いいやつなので、先輩からも可愛がられていたりとか、すぐ人と打ち解けられる何かがあった。東京でまた会おうねという話で終わっている。その直後くらいに（ニュースで）確保みたいなのが出て『あれ？』となって本人に『至急電話して』といっても返ってこなかったので、もしかしたらと思った」 ■「VIP席に」“実行役”元俳優
　渋谷のクラブに出入り 現在、事件に関与したとみられているのは、宝島さん夫妻の遺体の処理を指示したとされる、佐々木光容疑者。運搬する車とガソリン、粘着テープなどを用意したとみられる仲介役の平山綾拳容疑者。遺体に火をつけ、遺棄したとされる韓国籍の姜光紀（カン・グァンギ）容疑者と、元・俳優の若山耀人（きらと）容疑者。 実行役とみられる2人は、宝島さんが暴行を受けたとされる空き家に、1時間以上滞在していたことも新たに分かりました。 Q.好きな言葉とかありますか （若山耀人容疑者（20））「お金です」 Q.なんでお金ですか、お兄さん？ 「お金…結局世の中お金かなって、顔とお金かなって、お金です、世の中は」 好きな言葉は“お金”と答え、“お金”という言葉を繰り返すのは、実行役とみられる若山耀人容疑者。撮影されたのは、事件のおよそ1カ月半前の渋谷の繁華街でした。 （若山容疑者にインタビューしたグロディーさん）「ここです」 Q.この辺り？ 「ここで僕の方から話しかけてここで撮ったんですよね」 インタビューをした人物はそのときの若山容疑者の様子をこう話します。 （グロディーさん）「イケイケな感じでしたね、しゃべり方もカッコよかったし、自信があったんでしょうね、クールな感じで。自分の中にプラン（将来像）があるって感じましたね」 これまで、多くの渋谷の若者を取材してきたグロディーさんは、若山容疑者の身なりからも、印象に残ったと言います 「格好もけっこうカッコよかったし、ネックレスもつけてタトゥーも入っていたので、稼いでいるんだなという印象でしたね。ただ普通に遊びが好きな子だなって思っていた。クラブに行くのが好きな子」 （佐々木一真アナウンサー）「若山容疑者は、渋谷にあるクラブに頻繁に出入りしていたと言います。そして、若山容疑者と姜容疑者が仲介役の平山容疑者と出会ったのも、渋谷のクラブだったとみられています」 （若山容疑者と同じクラブに通う女性）「週末クラブに行くと、毎週のように耀人を見かけました。だいたいVIP席に座って飲んでいたかな」 若山容疑者と何度か同席したという女性によると、クラブにいたのは若山容疑者と、複数の男性たち。この中には、名前は知らないものの、韓国の男性もいたと言います。 （若山容疑者と同じクラブに通う女性）「耀人はよくVIP席に呼んでくれて、お酒はいつも奢ってくれました。よく大阪と行き来していたみたいだし、お金があるんだなって思っていました」 よく大阪に行っていたという若山容疑者。目的はわかっていないものの、若山容疑者と姜容疑者は、事件後、大阪に逃走していたことが分かっています。一方、指示役とされる佐々木容疑者の周辺を取材すると、不可解な点が見えてきました。 ■「宝島ロード」で客引き“指示役”の不可解な行動 （佐々木容疑者の仕事関係者）「佐々木容疑者は今年2月末からキャッチ（客引き）として働いていた。客を連れて来た分に対し支払う歩合制。“宝島ロード”周辺でキャッチをしていた」 指示役とみられる佐々木光容疑者が上野の宝島さんが経営する飲食店が立ち並ぶエリアで、客引きの仕事をしていた事実が関係者の証言で明らかになりました。 （佐々木一真アナウンサー）「佐々木容疑者は今年2月末から、宝島さんが経営する飲食店が多く立ち並ぶエリアにある、別の飲食店の客引きとして、ほぼ毎日このあたりに立っていたといいます」 （佐々木容疑者の仕事関係者）「佐々木容疑者とは直接雇用していた訳ではなく、知人を通してキャッチ（客引き）として派遣してもらっていた。多い時は週7日で働いている時もあったが、週5日程度は出ていた。勤務態度は真面目でトラブル等はなかった」 上野で働く佐々木容疑者の様子を知る人は… （佐々木容疑者を知る人）「だいたい毎日、結構立っていました」 Q.どんな人という印象？ 「寒い日とかお茶とか買ってきてくれるめちゃめちゃいい人でした」 亡くなった宝島さん夫婦の生活圏で毎日の様に客引きとして働いていたという佐々木容疑者。しかし… （佐々木光容疑者の供述）「被害者のことは知らない」 （佐々木一真アナウンサー）「佐々木容疑者が立っていたこの通りには、こちら、そしてもう1店舗、宝島さんが経営していた飲食店があります。毎日のように集金を行っていたという宝島さんですが、佐々木容疑者と接点はなかったのでしょうか？」 宝島さんとの面識はなかったと話しているという佐々木容疑者。一方で上野周辺の客引きの事情に詳しい人物は… （上野周辺の客引き事情に詳しい人）「必ず客引きにはちゃんと“縄張り”がありまして、その周辺の事情を知らない限りキャッチ（客引き）出来るような状態ではないと思います。佐々木容疑者が宝島さんの店の近くでキャッチ（客引き）をやっているとするならば宝島さんの顔を知らないということはまずありえない」 さらに宝島さんの飲食店が多く出店するエリアを取材すると… （山本将司ディレクター）「今、午後9時半です。こちら宝島さんのお店が多く立ち並ぶエリアなんですが、客引きの姿は見当たりませんね」 多くの客が行きかう週末の繁華街。このエリアは客引き防止の指導が強化され、客引きの姿はほとんどありませんでした。 （同じエリアに出店する人）「なかなかというか（客引きは）見ないと思います。今は規制というかパトロールしていますし、多分いらっしゃらないと思います」 佐々木容疑者はなぜ仕事がやりにくい場所で客引きを始めたのか…去年11月佐々木容疑者の地元、福岡で会った知人は上京した理由についてこう語りました。 （佐々木容疑者の知人）「東京行ってやり直したいってことでお金を貸して欲しいという相談だった。結構泣きじゃくっていたので何かあったのかと、それならいいよって。その場で50万円欲しいというので貸しました。行く所行く所いろんな人から結構その金銭感覚で揉めることが多かった」 さらに別の知人にも… （佐々木容疑者の知人）「10万円とかそれくらい自分も貸したが帰って来ないと思っている」 Q.今までトラブルは？ 「やくざから探されていてバクチの金とは思うんですけど、借金してそれを返せないから『ちょっと匿って欲しい』って話で実際にやくざから電話が掛かってきて探されているみたいなことはあった」 上京前から金銭を巡るトラブルが多くお金に困っていたとみられる佐々木容疑者。それは上野でも… （佐々木容疑者の仕事関係者）「佐々木にはいつも食事とかおごってあげていたからお金をそんなに持っていなかったのは間違いない」 事件後、沖縄で逮捕直前の佐々木容疑者と会っていた友人はこれまでと違う佐々木容疑者の様子を語りました。 （事件後に佐々木容疑者と会った友人）「（時計など）最新のものを使っていたり、ギラギラした服とかも着ていたので儲かっているんだという印象でしたね。金の指輪つけていたりとかすごかったです」 Q.昔の佐々木容疑者ではなかった？ 「ではなかったですね」 その一方で… Q.沖縄で生活している時のお金は？ 「旅行中はもちろん僕が出していました。僕が合流できないとき『飲みに行ってきなよ1人で』ってラインしたら『今お金ないから寝ておくわ』って言っていた」 Q.多額の現金を持っていたのは見ていない？ 「見ていない、もしも見ていたら払わせていた」 沖縄潜伏中に逮捕された佐々木容疑者…指示役と見られていますが、さらにその上の指示役の存在を示唆しています。 （佐々木光容疑者の供述）「自分よりさらに上に指示役がいて、それから依頼された」 捜査関係者への取材で佐々木容疑者は暴行現場の可能性がある都内の空き家に「指示を受けて行った」と話していることが分かりました。警視庁は4人以外の人物の関与について詳しく調べています。 5月5日『サンデーステーション』より