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イシバシ特派員のビシバシ韓国通信
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第9回仙遊島
【2006.3.6】
韓国南西部の群山(グンサン)市から船で1時間半ほど南西に行くと、大小63もの島が集まる古群山群島が見えてきます。そのうち16の島が有人島、残る47の島は無人島です。有人島の中で4番目に大きな島の仙遊島(ソニュド)を訪ねました。4番目に大きいと言っても人口は500人余り。しかし年間およそ20万人の観光客が訪れる人気の観光スポットです。

28年前もそうでした。多くの若者が船に乗り、仙遊島を目指しました。仙遊島には数百メートルにわたって続く美しい遠浅の海岸線が広がる海水浴場があります。夏になると海水浴を楽しみに1日数千人の観光客が押し寄せる光景は、今も昔も変わらないと地元の方は言います。

島で生まれ島で育った金明洙(キムミョンス・59)さんは船着場の前に店を構え旅人を見てきました。「1978年ですか?学生らがたくさん遊びに来ていたものです。ここ仙遊島は交通費が安いし、他の海水浴場と違って砂浜にテントを張ってお金を取らないので当時、たくさん来ていました」。

1978年8月5日、金英男(キムヨンナム)さん当時16歳も友達8人と一緒に仙遊島にテント持参で遊びに来ていました。テントを張り海水浴をし、楽しいひと時を過ごしていたはずです。しかし突然、金ヨンナムさんの姿は消えてしまいました。

金ミョンスさんは当時のことを語ってくれました。「警察の人たちと一緒に必死になって探しました。でも見つけることが出来なくて…」。

金ヨンナムさんのお母さんに、仙遊島に行った2週間ほど前に会いました。「島で遺体が見つかった、と聞くと、すぐ仙遊島に行った。何度も行った。でも息子は見つからない。会いたい。会いたい。とにかく会いたい」。隣に座る金ヨンナムさんのお姉さんはハンカチで何度も涙をぬぐいます。私は海で泳いでいる男性の横顔が写った1枚の写真を見せました。「おかあさんと横顔似てるよ。耳の下あたりのラインがよく似てるよ、弟かなぁ、ヨンナムかなぁ…」。苦労したであろう母親の顔には深い皺が刻まれていました。その母親の横顔を何度も何度もお姉さんはさすります。

私が金ヨンナムさんの母親とお姉さんにお見せしたのは、日本の拉致被害者「横田めぐみ」さんと一緒に泳いでいる男性の写真です。この男性は横田めぐみさんの夫と見られています。男性は横顔しか写っていません。

金ヨンナムさんは1978年8月5日、友人と遊びに来ていた仙遊島から拉致され、今、北朝鮮で暮らしているものと見られます。血液型や年齢、横田めぐみさんの娘、へギョンさんの証言などから、へギョンさんの父親でありめぐみさんの夫は、金ヨンナムさんの可能性が高いと指摘されています。

北朝鮮に拉致された韓国人は金ヨンナムさんを含めおよそ480人。日本人拉致は認めても、韓国人拉致について北朝鮮はこれまで一切認めませんでした。しかし、今年2月23日まで北朝鮮の金剛山で開かれた南北赤十字会談で北朝鮮は「朝鮮戦争の戦中・戦後の行方不明者の生死確認をすすめる」と初めて調査要求に応じる姿勢を示しました。

美しい仙遊島で、仲間と共に楽しい時間を過ごし、未来に夢馳せていたであろう金ヨンナムさんは今どこで何をしているのか?
母親は僕に繰り返しこう言いました。
「私はもうおばぁさんです。夫も死にました。ヨンナムに会いたい。とにかく会いたい」。
〜もし会えたらなんと声をかけますか〜
「生きててくれてありがとう。ありがとう。本当にありがとう」。
母親は今年83歳になります。
群山の港から船で南西へ一時間半、仙遊島(ソニュド)へ
群山の港から船で南西へ一時間半、仙遊島(ソニュド)へ
仙遊島の浜からは大小の島々が連なる古群山群島が望める
仙遊島の浜からは大小の島々が連なる古群山群島が望める
夏には多くの海水浴客でにぎわう砂浜も冬は寂しい景色
夏には多くの海水浴客でにぎわう砂浜も冬は寂しい景色
金英男(キムヨンナム)さん達がキャンプしていたのはこのあたりか?
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船上からリポートする筆者
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半島に真の統一と平和が訪れるのはいつの日か・・・
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