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イシバシ特派員のビシバシ韓国通信
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第21回 朝鮮戦争の爪あと
【2007.6.18】
1950年に勃発した朝鮮戦争は、実はまだ終わっていないことをご存知だろうか?
1950年6月25日北朝鮮軍は南侵した。迎え撃つ韓国軍は、一時プサン近郊まで押し込まれたが、米軍の参入で、一気に盛り返す。さらに中国の介入で、朝鮮戦争は国際戦争に発展。そして開戦から3年余り経った53年7月27日、今の南北軍事境界線に位置する板門店で、休戦協定が結ばれた。南北双方が朝鮮半島統一を目指し始まった朝鮮戦争は、南北対立構図を鮮明にしたが故に、半世紀が過ぎた今も分断という皮肉で悲しい結果を生み出している。

南北双方10万人の兵士による激戦の地を訪ねた。その地で銃弾に倒れた韓国軍兵士の遺骨に私は対面した。

ソウルから車でおよそ2時間半、韓国の北中部に位置する江原道・洪川(ホンチョン)郡を訪ねた。山の奥へ奥へと、クネクネした道を進んでいく。山と山が折り重なっている。美しい山の稜線は、かつてそこが激戦地だったことを彷彿させるものは何もない。緑が茂り、鳥の鳴き声が心地よい。
暫らく山道を登り、林の中に入る。枯れ木をかき分け進んでゆくと、木々の間から木漏れ日がさす。林に入って僅か5分、山の斜面が一部削り取られている。縦、横それぞれ4メートル、深さ1メートル。そこには韓国の国旗・太極旗が地面に大きく敷かれていた。

当時周辺には両軍の兵士約10万人が対峙していたという。51年4月22日から8日間にわたる激しい戦闘が繰り広げられた結果、北朝鮮軍(この戦場では韓国軍に対峙した北軍は、そのほとんどが中国の人民義勇軍だったという)に押し込まれた韓国軍は徐々に徐々に後退、2000人の韓国軍兵士が犠牲になったということだ。
朝鮮戦争で犠牲になった兵士の発掘事業は国防省「遺骸発掘鑑識団」が2000年に組織され本格的に始まった。
これまでに発掘された遺体は1797体。遺品は4万6379点見つかった。
このうち身元確認ができたのは僅か、53遺体。最終的に遺族が確認できたのは、たったの25遺体しかない。
そして今なお、約13万人もの韓国軍兵士の行方がわかっていない。誰に知られることもなく、ひっそり、朝鮮半島の大地のどこかで、静かに眠っている。

今回取材で対面した遺骨は、取材の数日前に見つかったという。遺骨が見つかった辺りで、50数年前に多くの兵士が倒れたという当時の証言を元に「遺骨発掘鑑識団」が探しあてたと言うことだった。証言では、無数の兵士が埋葬されたということであるから、近くにはまだ数多くの遺骨が眠っていることだろう。

太極旗が敷かれた地中に、一体の遺骨があった。次々に頭部や手足の骨も見つかった。太く大きな骨だった。その傍からは、水筒、軍靴、錆びた弾丸なども見つかり、遺骨の腰のあたりで見つかった水筒には韓国軍の軍番が刻まれていた。その軍番で遺骨の身元が判明したのだった。50年12月に入隊した当時、22歳の若者で、入隊から僅か半年も経たぬうちに、その若者は銃弾に倒れたとみられている。

身元がわかったことで、韓国国防省の案内で、若者の親戚4人が現場を訪れていた。
70歳になる兵士の従兄弟もその一人だった。
彼は、
学徒兵で戦争にいったという話を聞いた。
自分は当時13歳、幼くて学徒兵にはなれなかった。
57年ぶりに、兄弟たちがこのような姿で発掘され、悲しいというかとても複雑な気持ちだ。

と、語る。
若くして戦地に赴き、銃弾に倒れた従兄弟の姿を目の当たりにした70歳の彼は、やっと対面できた安堵感とともに、僅か22歳という若さで世を去らねばならなかった従兄弟の無念さを、「複雑」という言葉で表現したのだろう。


DNA鑑定を行い、一致すれば、遺骨は遺族の元に引き渡されることになる。


戦争の記憶も風化しつつある中、いまだ終わりの見えない朝鮮戦争の犠牲者は、民間人含めて400万人にものぼると見られている。
そして今なお、南北は分断したままだ。その分断による南北離散家族は1000万人にものぼっている。
江原道 洪川(ホンチョン)郡の山間
緑の奥に遺骨は眠っていた
太極旗の下に遺骨は眠る
遺族らが遺骨を前に祈りを捧げる
写真の奥に頭部が見える
遺骨の傍で銃弾も見つかる
遺品の水筒 軍番が刻まれ身元が分かった
遺品の水筒を見つめる従兄弟の男性
日本メディアで取材したのはテレビ朝日と東京新聞の2社 中村清東京新聞 ソウル支局長(左)
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