がんばれ宮本くん

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5月28日

RN:海人のばあさんから、メールでのご質問
来週の生活向上委員会の特集は「登山」ということですが、先日、うちの孫(5歳)が懐かしい山の歌を間違って歌っていました。その曲は、「アルプス一万尺」です。その歌を孫は・・・
「♪アルプス一万尺、こやぎの上で、アルペン踊りをさあ踊りましょう♪」
と、歌っていたのです。私は、すぐ間違いを教えました。「『こやぎ』じゃなくて『こやり』よ!!」と。そして孫は、不思議な顔をして「『こやり』って何??」と質問してきました。しかし、私は答えることが出来ませんでした。和田さんと宮本さんだったらご存知かと思いメッセージしました。ぜひ教えて下さい。

歌詞を見てみると「こやり」=「小槍」と書いてありますが、いったいどんな意味なんでしょうか??

 昭和36年から現在も放送されているNHK「みんなのうた」を作られた
 元ディレクター 後藤田 純生(ごとうだ・すみお)さん

▼ 「みんなのうた」は後藤田さんが始められたんですか?

 私が最初の担当でした。もう40年前のことです。

▼ この「小槍」というのは一体何なんですか?

 この歌のアルプスというのは、日本アルプスのことです。槍ヶ岳、白馬丘とか有名な山がいっぱいありますよね。日本の登山愛好家の方たちは、まず日本アルプスを征服しようと、夏になるとたくさん出かけるんです。その中でも、一番とがっているのが、有名な槍ヶ岳(3180m)です。最近は、素人でも登れるように登山道が整備されているんですが、本当に広々として気分の良いところが槍の上にあるんです。
 槍ヶ岳は三角形に尖がった山ですが、滑らかに尖がっているんではなくて、山の途中にゴツゴツとしたコブのようなところがいくつかあるんです。その山頂の次に尖がっているところを「小槍」と言うんです。ですから、「小槍」は、槍ヶ岳の一部のことです。
 「小槍」は足を切るような岩ですから、なかなか普通の人は登れないんです。いわゆるロッククライミングをされる方が挑戦するのに格好の目標になるんです。登山家の中でも、小槍に登ったといえば大変な名誉になるんです。

▼ 「小槍」に登ってアルペン踊りを踊るのははまず、不可能?

 まあ、まず不可能です。よほど熟達した山登りの専門家でないとできないですよ。

▼ 外国の歌だと思っていたんですが、日本の歌なんですか?

 メロディーは、アメリカの「ヤンキー・ドゥードル」というものですが、歌詞は日本のものです。

▼ 歌詞は、登山家の人が勝手につけたんですか?

 そうです。これは戦前からですが、日本にも登山を愛好する人たちがいまして、山を征服した後や、これから挑戦しようという時に山の仲間で、山小屋に泊まるわけです。天気が悪くて一日待つこともありますから、その時に山の歌を歌うのが楽しみなんですよ。そういう時に、誰が作ったのかは分かりませんが、素晴らしい替え歌というのが出来てくるんです。その一つにこの「アルプス一万尺」があるんです。

▼ 誰が作詞したか分からない、ということですか?

 分からないです。本当は、作った方が名乗っていてくれれば、大変名誉になったはずなんですがね。それに1番、2番、3番とありますが、同じ人が作ったかどうかも分からないんです。京都大学の山岳部の人たちではないか、という説もあるんですけど、よく分かりません。

▼ いつのまにか山で歌われてきたものが定着したということですね。

 この歌が、活字になっていろんな歌集なんかに載ったのは、昭和20年代、戦後ですからね。本によっては歌詞の順番が違っているものもありました。私たちが、番組をやるころには、ほぼ同じになっていましたけど・・・。

▼ 元歌の「ヤンキー・ドゥードル」という歌は、山の歌ではないんですか?

 違います。アメリカの独立戦争の時に、“われわれはアメリカ(ヤンキー)魂を持っている”という意味を込め、従軍歌として歌われた歌なんです。これがいいメロディーだから、日本に入ってきて、山登りの人たちが替え歌にしたんでしょうね。
有名な「雪山賛歌」も元はアメリカ民謡ですが、これだけは作詞をした人の名前が分かってるんです。「アルプス一万尺」と同じように、歌いやすいメロディーに山の気持を込めて作った歌なんです。


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