数十秒で死に…福島原発の廃炉阻む650シーベルト

03/18 13:15 更新

先月、衝撃的な数字が明らかになりました。 (毎時)650シーベルト。それは、メルトダウンした2号機の炉心近くの放射線量でした。数十秒いただけで死に至る、極めて高い値です。 順調に進んでいるように見える廃炉作業はいま、大きな壁に阻まれつつあります。 未曾有の事故から6年。福島第一原発の現状を取材しました。 福島県・大熊町、道路沿いにある住宅の入口にはフェンスがありました。いまだに放射線量が高く、住むことが許されていないのです。 敷地内に入った私たちは、原子炉建屋を見渡せる高台に向かいました。 メルトダウンした3つの原子炉建屋は目と鼻の先ですが、通常の作業服でも来ることができるようになりました。 そして、原子炉建屋にも大きな変化が。去年の11月に建屋を覆っていたカバーが外され、震災当時のままを見ることができます。爆発でむき出しとなった鉄骨が、再び姿を現しました。今後、1号機でガレキが取り除かれ、使用済み核燃料の取り出しに向けた準備が始まります。 一方で、建屋全体がカバーで覆われた3号機のメルトダウンした原子炉建屋の中では、最も廃炉作業が進んでいるとされています。巨大なかまぼこ型のカバーを建屋に取り付け、2018年度中の使用済み核燃料の取り出し開始を目指しています。 事故の際、最も多くの放射性物質を放出したとされる2号機では、今年に入りロボットやカメラで炉心近くの調査が行われました。 カメラがとらえたのは、異様な光景でした。鉄製の床が溶けて、ぽっかりと空いた穴。その周辺にこびりついた塊。メルトダウンした核燃料の可能性があります。 放射線量は推計で毎時650シーベルト。数十秒いただけで人間が死亡する値です。結局、ロボットは、床などにこびり付いた塊に阻まれ、予定通り進めませんでした。 東電は「初の快挙」と今回の調査に胸を張りますが、原子力規制委員会の田中委員長は「いまのままじゃどうやって何か対応ができるのか、私にはまだ見えない」と厳しい見方をしています。 困難な状況が浮き彫りになった廃炉作業。その鍵を握る技術を取材できました。 福島県楢葉町にある研究所、楢葉遠隔技術開発センターです。内部では、ロボットの開発が行われていました。炉心近くのような高い放射線量の場所でも廃炉作業を進めるためです。 ロボットの重さは300キロ。人間の腕のようなものが付いています。原発事故の時に人に代わって扉を開けることなどができるといいます。簡単な訓練で動かせるよう、ゲーム機のコントローラーで操作します。 この研究所では、他にも2号機の一部を実寸大で再現した実験施設や、建屋内の様子を体感できる仮想空間が作られています。 楢葉遠隔技術開発センターの大道博行センター長が「廃炉の現場とこういう基盤的な部分とのリンケージ(連携)をもっともっと強めていく必要がある」と話します。 今週、1号機でも炉心近くにロボットを投入しようとしましたが、予期せぬ機材トラブルで中断となりました。 メルトダウンした核燃料の取り出しなど、今後、廃炉作業が本格化するにつれ、ロボットに求められる性能はより高くなります。 目に見えて進んでいく外側の作業とは裏腹に、高い放射線に阻まれる内部の廃炉。 年々、その落差が浮き彫りになっています。