ゴーン容疑者「これは陰謀だ…」 メッセージ全文

04/09 15:16 更新

 カルロス・ゴーン容疑者が特別背任の疑いで逮捕された事件で、ゴーン容疑者のメッセージ映像が公開されました。  もし、皆さんがこの動画を通じて私のお話をお聞き頂いているとすれば、それは私が4月11日に予定していた記者会見を開くことができなかったということになります。この場で、4月11日にお伝えしたかった私のメッセージのエッセンスを皆さんにお伝えするとともに、皆さんが抱いている多くの質問にお答えしたいと思います。  最初のメッセージは、私は無実だということです。これは何も新しいことではありません。1月に法廷で述べたことを再びお伝えしています。そして、それらの嫌疑に基づいて私に対してなされている非難についてもまた事実無根です。それらの非難はすべて私を強欲な人物、あるいは独裁的な人物として塗り固めるためになされたものです。それらは文脈から切り離されたり、偏見に基づいてゆがめられたものです。  私にかけられている嫌疑についてもお話しします。金融商品取引法、新生銀行との契約、ジュファリ氏に支払った報酬について、108日もの期間を拘置所で過ごしたにもかかわらず、私は常に無実であるという一貫した立場です。  私が皆さんにお伝えしたい2つ目のメッセージは、私は日本を愛し、日産を愛しているということです。もし、愛情や愛着、心からのつながりがなければ、20年間をその国で過ごしたり、20年間をその会社のリーダーとして務めることなど誰もしないでしょう。そして、この20年という年月に非常に多くを成し遂げ、非常に多くの結果を残してきました。私が1999年に日本に来たのは打算によるものではありません。私が1999年に日本に来たのは、この国に魅了され、日産を再生させるという挑戦に心を躍らせたからです。そして、私が初めて日本に来た時からすべてのキャリアを日産のリバイバルプランに捧げてきたことを皆さんよくご存じだと思います。日産で働く数十万人の勤勉な方々、とりわけ日本の方々のおかげで私たちは大変な成功を収めることができました。私が今、経験している厳しい試練を経た後であっても少しも変わることはありません。このことは皆さんにぜひ知って頂きたいし、信じて頂きたい。日産の仲間たちとともに日本経済、そして日本企業の経営の在り方にも貢献してきました。これらのすべてのことはこの数カ月を経験した後であっても依然として私にとって何ものにも代え難い記憶であり、大切な財産です。  私がお伝えしたい3点目は、今起きていることが「陰謀」だということです。これは単に事件ということではありません。言われているような「強欲」「独裁」などという話でもありません。これは「陰謀」「謀略」「中傷」ということです。なぜか。なぜ、このようなことが起きたのか。それは、何よりもまず「恐れ」があったということです。アライアンスの次のステップ、統合、すなわち合併に向けて進むということがある人たちには確かな脅威を与え、それがゆくゆくは日産の独立性を脅かすかもしれないと恐れたのです。ところが、日産の独立性はこのアライアンスが誕生してから19年間、一度たりとて脅かされたことなどありません。私もこれまで日産の独立性を最も強力に守ってきました。将来、「次のステップ」がどのような形に展開しても日産の独立性は保ち続けるということを明確にしてきました。当然、こうした独立性というものは業績に支えられたものでなければいけません。独立性を得ること自体が目的となることはあり得ません。それが目的化してしまったために生じた「恐れ」です。日産の業績が振るわず、大きく低下しています。この2年で3回の業績の修正があり、何度も不祥事(検査問題)がありました。会社が多くの難題に直面しているからということで、問題なのではありません。起きた問題への対処の仕方が会社の信頼を損なっているのです。問題が解消されていないにもかかわらず、会社として解決したと発言することは信頼を失うのです。これは会社(日産)の現経営陣に問題があったということです。これらの人物のことはご存知だと思います。私が尊敬している日産の従業員の方々について言っているのではありません。数名の幹部、つまり明らかに自分たちの利益のため、そして自分勝手な恐れを抱いたために会社の価値を毀損している人たちのことを指しています。それらの名前は皆さんご存知です。今回の汚いたくらみを実現させるべく仕掛けた多くの名前を挙げることができます。真相や事実が明らかになることを願っています。  しかし、結局のところ、この間、私は自分の事件にだけ苦しめられてきたわけではありません。一体、誰が日産の舵(かじ)取りしてくれるのか、ブランドを守っているのか、企業価値を守っているのか、株主の利益を守っているのか、株価の下落と業績の低下を目にしながらも幹部たちはあれはしない、これはしないといって、未来のビジョンもなく、日産の業績を向上させるためのビジョンもなく、アライアンスの将来をより強化するためのビジョンもなく、自らを誇っている現経営幹部たち。それを見ることは非常に悲しいことです。私にとっては本当にうんざりさせられることです。19年から20年もの年月をかけてこれらとは真逆のこと、つまり企業価値を創造し、ブランドを強化してきた人間にとって、今のように退廃して無頓着になっているのを目にするのは本当につらいものです。明らかに日産の業績が低下していることを心配しています。  さらには、アライアンスを構築するためのビジョンがあるとは思えないので心配しています。率直に言って、テーブルを囲んでコンセンサスで意思決定をしていくということは、自動車業界ほど競争の激しい産業においては何らのビジョンをも生み出しません。将来像を見せなければなりません。これから未来に向けて私たち(日産やアライアンス)の役割は何なのかについて明確にする必要があります。必要な時にはリーダーシップを発揮しなければいけないものです。そして、リーダーシップというものは会社にとって良いことのために発揮されるものであって、(コンセンサスによる)妥協の産物を目指すものではありません。これは「独裁」などではなく、「リーダーシップ」なのです。いかなる会社でも行われていることです。コンセンサスか独裁か、この2つの選択肢しかないと考えている人は「リーダーシップ」の本質を理解していません。アライアンスや日産ほどに複雑かつ巨大な組織のトップだったものとして、これはとても悲しいことです。最後に、私がお伝えしたいのは私の切実な希望です。私が最も強く望むことは、公正な裁判を受けることです。私は幸いにして、この訴訟で3人の有能な弁護士に弁護してもらうことができますが、彼らからは裁判の公正性についての安心材料は提供してもらえていません。私は弁護士ではありません。私はこの点について詳しくありませんが、今回の裁判において公正性を保証するために必要とされる具体的な条件について3人の弁護士に説明してもらいます。この裁判で私の無実を証明したいと切に願っています。ご清聴ありがとうございました。より多くのことを皆さんにお伝えしたり、皆さんの心にある多くの質問にお答えすることができなかったことを申し訳なく思います。しかし、将来、それがかなうことを願っています。