“娘と性交”父親が無罪の理由 抵抗可能だった?

04/08 12:13 更新

 娘と性交した父親の裁判で無罪判決が言い渡されました。判決では「娘は抵抗可能な状態だった」とされていますが、その判断の理由とは。  共同通信によりますと、父親である男性は実の娘が19歳の時に勤務先の会社やホテルで抵抗できない状態に乗じ、娘と性交したとして準強制性交の罪に問われて懲役10年を求刑されていました。検察側は「中学2年生のころから性的虐待を受け続け、専門学校の学費を負担させていた負い目から心理的に抵抗できない状態にあった」と主張。弁護側は「同意があり、抵抗可能だった」と反論。名古屋地裁岡崎支部は、同意については「性交は意に反するもので、抵抗する意志や意欲を奪われた状態だった」と娘の同意はなかったと認定しました。  しかし、抵抗できる状態であったかについては「以前に性交を拒んだ際に受けた暴力は恐怖心を抱くようなものではなく、暴力を恐れて拒めなかったとは認められない」と指摘。抵抗を続けて拒んだり、弟らの協力で回避したりした経験もあったとして、「従わざるを得ないような強い支配、従属関係にあったとまでは言い難い」と判断。「被害者が抵抗不能な状態だったと認定することはできない」として、無罪判決を言い渡しました。  子どもの人権問題に詳しい寺町東子弁護士:「日本の刑法では不同意のセックスが処罰対象ではなく、暴行脅迫を用いて、あるいは抵抗不能の状態に乗じて性交などを行った場合に罪になる。被害者が同意していなかったということだけでは罪にならない。家庭内の虐待ですと、それまでの積み重ねのなかで抵抗しても無駄と刷り込まれてしまっていたり、抵抗することで暴力を振るわれた経験があったり、もっと強く抵抗した場合に何をされるか分からないという恐怖があったり、支配と従属関係というのができてしまっていることが多い。さらに抵抗がしにくい状況というのがある」  2017年の刑法改正では親から子どもなどへの性的虐待を処罰する「監護者性交等罪」も導入されましたが。  子どもの人権問題に詳しい寺町東子弁護士:「18歳未満の者に対し、監護者の影響力に乗じて、性交等を行った場合、暴行脅迫がなくても罪になる。(今回の事件の被害者は)18歳未満ではないので該当しない」  一方で、20歳未満は未成年として扱われ、親権者の同意がなければ法律行為はできません。家の契約も携帯電話の契約も親の同意が必要なのです。  子どもの人権問題に詳しい寺町東子弁護士:「18歳、19歳のお子さんが被害に遭っていて、逃げたいと思っても、家でお父さんからの被害を我慢するのと家出して路上でもっと危険な目に遭うのとどっちがいいかを突き付けられて、(暴行被害を)我慢しちゃうと『受け入れていた』という認定がされてしまう。18歳、19歳の子どもたちにとっては過酷な法的状況だと思います」