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脳血管内治療

 
今回、脳血管内治療についてお話を伺ったのは、
福岡大学筑紫病院 脳神経外科部長 教授の
風川 清(かぜかわ きよし)先生です。


■脳血管内治療とは

脳血管内治療とは脳の病気に対して開頭することなく、
血管を利用して体の中からアプローチする手術のことです。
もともとはカテーテルと呼ばれる
医療用の細い管と造影剤を使って脳の血管の検査をする
「脳血管造影」という検査法から発展した治療法です。
主に足の付け根など体の表面近くにある
比較的太い血管からカテーテルを挿入して、
大動脈を経由して脳内の病変まで進ませて、
さまざまな器具や薬品を用いて病気を治療します。
カテーテルなどの器具の改良に伴って
1990年代から急速に広まっていて、
現在、国内では年間1万件以上の脳血管内治療が行われています。


■脳血管内治療の手順

脳血管内治療の手術ではまず足のつけ根から
“シース”と呼ばれるチューブを血管に刺し込みます。
そしてその中に“ガイドカテーテル”と呼ばれる
直径3mm程度のチューブを挿入して、首の辺りまで進めます。
さらに“ガイドカテーテル”の中に
“マイクロカテーテル”と呼ばれる直径1mmほどの
非常に細くて柔らかいチューブを通して、
脳の患部へと到達させて血管の中から治療を行います。


■対象となる病気

脳血管内治療の対象となる病気は脳動脈瘤や、
脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻といった、
出血を引き起こしたり脳血流の異常を引き起こす病変で、
プラチナ製のコイルや、
血液中で固形に変化する液体塞栓物質を注入し、
異常血管、動脈瘤を閉塞して治療します。

さらに脳梗塞を引き起こす、
脳内や首の細くなった血管に対してはバルーンを挿入したり、
ステントという金属製のメッシュの筒を挿入して、
血管を拡げて血流を改善させます。
またコイルとステントを併用することによって、
コイル単独では治療できなかった入り口部分の広い動脈瘤でも
正常血管にコイルが逸脱することなく
安全に治療できるようになってきました。
このように新しい技術の進歩に伴って、今後ますます
脳血管内治療の対象疾患は拡大していく傾向にあります。


■脳血管内治療のメリット

脳血管内治療は手術に伴う傷が小さく、
医師の手が脳に直接触れることもないので、
開頭手術と比べて患者の身体への負担が極端に軽く、
入院期間も短くて済みます。
さらに開頭手術では治療が難しい脳の中心部分に対しても、
患部周辺の脳に影響を与えることなく到達して
治療を行うことができます。
また脳血管内治療は全身麻酔で行われることが多いですが、
局所麻酔でも行うことができるため、
高齢者や心肺機能の低下した人など
全身麻酔では危険が伴う場合でも
治療ができるというメリットがあります。


■脳血管内治療のデメリット

脳血管内治療のデメリットとして、
まれに合併症が起きることがあります。
脳血管内治療で使用するコイルやステントは
人体にとっては異物となるため、
血管の中で血液が付着して血栓ができて、
脳梗塞の原因となることがあります。
また極めてまれですが、治療中に脆弱な脳血管が破綻して、
くも膜下出血を引き起こしてしまうこともあります。

さらに血管内治療は血管撮影を行いながら行うので、
造影剤に対するアレルギーには気をつけなくてはいけませんが、
重篤なアレルギーの発生は20万人から40万人に1人の割合
と言われています。
このように脳血管内治療には多少の合併症はありますが、
従来の開頭手術に比べて危険性が高いということはなく、
治療前に主治医から十分な説明を聞いて、
納得して治療を選択することが大切です。


■まとめ

現在(2014年7月5日現在)、脳血管内治療の専門医は全国に872名で、
これからますます増えていくと予想されています。
今なお進化する医療技術とそれを駆使する人の努力が、
より安全で効果的な脳血管内治療の普及を支えています。

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