KBC九州朝日放送

KBCサイト内検索

宗像 沖ノ島〜祈りの原点をたずねて〜

KBC共通メニューをスキップ

「救命処置」
〜ひとりひとりが救命メンバー!〜

 

今回、救命処置についてお話を伺ったのは、
九州大学病院 救命救急センター長の
橋爪 誠(はしづめ まこと)先生です。


■救命処置とは?

救命処置と言った場合には、一般的には、
突然、病気とかあるいはけがで心臓が止まったり、
呼吸が止まったりして、生命の危機に瀕しているような方、
あるいはそうなる状態が非常に高い方に対して、
一刻もその動きを正常な元の状態に戻してあげる行為を指します。

救命処置には一般市民によって行われる“応急手当”と、
救急隊や、医師など医療従事者によって行われる
“応急処置”、“応急医療”があります。

街中や家庭内などで、突然意識を失って倒れた人への救命処置は一刻を争います。
従って救急隊が現場に駆けつけるまでの間に、その場に居合わせた人たちが
的確な応急手当を行うことが大切です。


■心肺停止してからの5分が大事

日本では“心肺停止状態”になって
救急車で病院に搬送される人は
年間およそ10万人と言われています。
そしてその中のおよそ6万人が深刻な不整脈など、
心臓に原因がある場合だとされています。

人が心停止に陥った場合には、約5分も経つと
脳の組織がもう戻らない不可逆性の変化というのをきたします。
心臓が止まってから心臓が再開するまで、
10分以内に動き始めるようにならないと
重篤な後遺障害が残るというふうにいわれています。

119番通報から救急車が到着するまでの時間は
全国平均でおよそ7分。
現場がビルの高層階などといった場合にはさらに数分を要します。
救急隊到着までの間に適切な応急手当が行われなければ
救命は厳しいものになります。

一方で、救急隊到着のまえに電気ショックを行うと、
救急隊が到着したあとに行った際に比べて、
社会復帰率が2倍以上にもなります。

一般の市民の方から救急隊の方、
それから救急隊の方から病院のドクターへという
この一連の流れを“救命の連鎖”というふうに言っております。
ですから一般市民の方が人の命を救うという意味においては
非常に重要な役割を果たすことになります。


■応急手当てとは?

一般市民による応急手当とは、胸骨を圧迫して止まった心臓の代わりに
全身に血液を送る心肺蘇生。そしてAEDによる心臓への電気ショックです。
「AED」は止まった心臓に電気ショックをかけて、正常な状態に戻すもので
公共交通機関をはじめ、街中に広く設置されています。
応急手当は「救急車の要請」と、「AEDの手配」が第1歩になります。

次は「気道の確保」。
空気が肺に達するまでの通路を開きます。
気道確保は片手を額に当て、もう一方の手の指であごを引き上げる感じで行います。

続いては「呼吸の確認」。
息使いや胸の動きを“見て”“聞いて”“感じて”チェックします。
胸骨圧迫は手の付け根を胸骨の中央部分に当て、その奥にある心臓を押して、
心臓の代わりに全身に血液を送るものです。

乳頭を結んだ線と、重ねた下の手の中指が一直線になるようにした状態で、
手の付け根で押します。

胸骨圧迫は腕を伸ばして腰を軸に真下に5cmほど押し、
押したらしっかり戻します。目安は1分間に100回。
周囲の人と交代しながら中断することなく続けます。


■応急手当の実体験について

応急手当のやり方を実際に体験して自分の身につけることが大事です。
消防局で講習会をやっていますので、是非積極的に参加して、
実際に自分のものにしてください。

さらに街中で倒れた人を見かけたときには
ただ遠巻きに見ているのではなく、自分から駆け寄っていく気持ちが大切です。
あなたの勇気ある行動が、そして的確な知識がひとつのかけがえのない命を
救うことになるのかもしれないのですから。

「献血」〜命をつなぐボランティア〜

 

今回、献血についてお話を伺うのは
福岡県赤十字血液センター・所長の、
清川博之(キヨカワ・ヒロユキ)先生です。

■献血がなぜ必要なのですか?

救命救急医療とか、臓器移植とか、先端的な医療の分野は輸血がないとできません。
実験的には、輸血の血液をIPS細胞という物で作れるということになってますが、
実際にそれを実用化するには50年以上かかるとも言われています。
もう一つの理由は、生きた細胞ですので長期に保存することが不可能だからです。継続的に、血液を確保していくためには、献血が必要になります。


■献血の種類

献血には200mL献血、400mL献血、成分献血の3種類があります。

200mL献血と400mL献血は、血液をそのまま採血することから
全血献血と呼ばれています。
一方で、成分献血は、血液中の血しょうや血小板といった特定の成分だけを採血して、回復が遅い赤血球は再び体内に戻す献血方法です。

所要時間は40分から90分程度と、全血献血と比べると採血するのに時間はかかりますが、体への負担が少ないという利点があります。


■日本の献血事情

近年の少子高齢化によって、日本では輸血を必要とする65歳以上の人口が
大きく増えている反面、従来の献血対象年齢である16歳から64歳までの人口は、今後ますます減っていくと予想されています。
そのため近い将来、輸血用血液が不足して、救命医療が危機的な状況に陥る可能性があると考えられています。

今年の3月から、献血年齢を上下に拡大する政府決定がなされました。
男性に限り、400mL献血は18歳から1歳下げて17歳までできます。
血小板成分献血に関しては、54歳から69歳までできると、いうことになります。

本格的な、少子高齢化を迎えるにあたって、全ての方々が、輸血医療を、安心して受けられるためには、幅広い年齢層、特段若い世代の方々の献血が、より一層必要になります


■輸血された血液は。。。

九州各地から集められた血液は「九州血液センター」へ送られ、安全性を検査して、輸血用に様々な加工が行われます。

NAT(核酸増幅検査)室では、ウイルスを構成する核酸の一部を
約1億倍に増幅してB型肝炎などのウイルスの有無を調べます。
製剤部門では、集められた血液を主に赤血球成分と血しょう成分に分離して、
医療機関で利用しやすいように調整します
赤血球成分の必要な患者さんには赤血球を、血しょう成分の必要な患者さんには、血しょう成分を、それぞれ、輸血に使用するためです。

九州血液センターでは今年、全国で3ヵ所目となる血液の貯留保管棟が完成。
25万リットルもの血液をマイナス30度で保管する最新の施設が来月から本格稼働する予定です。

献血に協力すると、後日、血液検査の結果が通知されますが、
去年の3月からは、生活習慣病の予防を目的に、糖尿病の検査も行われるようになりました。
健康維持のためにも、みなさんもぜひ、定期的に献血してみてはいかがですか?

「過敏性腸症候群」
〜新しい生活に、新しいストレス…〜

 
今回、過敏性腸症候群についてお話を伺ったのは、
済生会福岡総合病院 心療内科 主任部長の
土田 治(つちだ おさむ)先生です。

■過敏性腸症候群とは?

英語の頭文字をとって“IBS”という名前で呼ぶことが最近では多いですが、
文字通り腸が過敏な状態となることにより
腹痛や便通異常などの症状を引き起こす病気で、
腸に目に見える異常がないというのが特徴です。

過敏性腸症候群の日本での患者数は
人口の10%から15%にのぼると言われ、
この春、入学や就職、転勤や異動といった新しい環境のもとで
生活を始めた人に今の時期、多く見られます。

一番の原因は環境の変化からくるストレスで
それによって腸にさまざまな不具合が起こります。


■過敏性腸症候群には二つのタイプが・・・

過敏性腸症候群の症状は大きく
“下痢型”、“便秘型”、“混合型”に分けられ、
下痢型では頻繁にトイレに行き、
水のような便が1日に何度も出ます。

便秘型はウサギのフンのようなコロコロした便が出て、
混合型ではそのような下痢と便秘が交互にあらわれます。

そしていずれの型でも排便を済ますと
一旦は症状が回復するという共通点があります。

またストレスを感じることのない休日では
そういった症状は見られないのも特徴です。


■治療について

脳と腸には“脳腸相関”という密接な関係があります。
脳が強いストレスを感じるとそれが腸に刺激として伝わり、
腸の不具合を引き起こします。また腸そのものの不具合が
逆にストレスとなって脳を刺激します。
従ってIBSの治療に際しては
脳と腸の両方からのアプローチが必要になってきます。

治療としては、まずは腸に働く整腸剤などや下剤・便秘薬など
排便の調整をはかる薬を服用することになります。
ただ市販の下剤などを安易に使用すると
かえって症状が悪化することがあるので注意が必要です。

また腸の治療のみで不十分な場合には、
抗不安薬や抗うつ薬などが処方されます。
さらに最近では脳に働いて下痢症状を改善するような
新薬が開発され、効果を発揮しています。

薬以外の脳からのアプローチとしてカウンセリングや
当院でおこなっている“自律訓練法”などがお勧めです。
自律訓練法とは催眠療法を応用した一種の自己催眠です。
自律神経の中のリラックスモードをつかさどる
副交感神経を活発にさせるイメージトレーニングです。


■予防・対策について

過敏性腸症候群では腹痛と共に便意をもよおし、
頻繁にトイレに駆け込むことになります。
そしてトイレが近くに見当たらない場所や
会議、打ち合わせといった場面などで
緊張や不安が強くなります。

そのような不安や緊張が長い期間続くと
パニック発作などの不安障害、
さらにはうつ状態に陥る場合もあります。

過敏性腸症候群の予防、対策には、
食事、排便を含めて規則正しい生活を心がけること。
十分な睡眠と休養。適度な運動。趣味での気分転換や
リラックスできる時間を持つことなどが挙げられます。

IBSは比較的若い世代に起こることが多いのが特徴ですが、
気をつけなければならないのはこの病気と似て非なる病気に
クローン病などの炎症性腸疾患があり、
これも若い世代に多い難病の病気です。
症状だけでは区別できないこともあるので病気が疑われたら
必ず一度は胃腸科の専門医を受診することをお勧めします。


メタボリックシンドローム

 
今回、メタボリックシンドロームについてお話を伺ったのは、
福岡大学医学部 心臓・血管内科学 教授の
朔 啓二郎(さく けいじろう)先生です。

■メタボリックシンドロームとは

内臓にたくさんの脂肪が溜まることによって
高血圧、高脂血症、糖尿病といった病気を合併しやすい状態を
メタボリックシンドロームと言います。
メタボリックシンドロームの診断基準は、
おへそ回りが男性では85p以上、女性では90p以上に加えて
1、上の血圧が130mmHg以上、下が85mmHg以上のいずれか、もしくは両方
2、空腹時の血糖値が110mg/dL以上
3、中性脂肪が150mg/dL以上、
HDL(善玉)コレステロールが40mg/dL未満のいずれか、もしくは両方
これら3つのうち2つが以上当てはまる場合とされています。


■メタボリックシンドロームになる原因
運動不足や食べすぎによってカロリーを取りすぎることが一番の原因です。
「ちょっとお腹が出てきただけ」などとそのまま放置しておくと
動脈硬化が進行しやすい状態になります。
動脈硬化とは、血管の壁にコレステロールなどがこびりついて次第に厚みを増し、
血液の通り道が狭くなった状態です。
血管の弾力も失われ硬く、もろくなってしまいます。
高血圧、脂質異常症(体内に脂肪分が多い)、糖尿病がある人はそうでない人に比べて、
動脈硬化が2倍、3倍に進行しやすくなります。
その大元にあるのがメタボリックシンドロームということになります。

日本人の死亡原因の第2位が心筋梗塞などの心疾患、
第3位が脳梗塞など脳血管疾患です。
この2つを合わせると第1位のがんに肩を並べるほどの数を示しています。
心疾患、脳血管疾患の多くが動脈硬化に由来します。
さらにその動脈硬化の原因として
メタボリックシンドロームが今、注目されています。

■メタボリックシンドロームの予防・改善

長年の不健康な生活習慣を見直すことが重要です。
何より、食生活の改善と適度な運動を
心がけることにより内臓脂肪を減らすこと。
特に、日ごろから体を動かす習慣を身につけましょう。
また動脈硬化を促進するタバコは吸わないことが大切です。

現在、「突然死」というのが社会問題になっています。
1年間におよそ6万人が急に倒れて亡くなっています。
そしてその多くには心臓病になりやすかったようなバックグラウンドがあります。
それがメタボリックシンドロームです。
ですから定期的な健診というものが非常に重要となってきます。



早期発見に明るい兆し!膵がん

 
今回、膵がんについてお聞きしたのは、九州大学大学院医学研究院、臨床・腫瘍外科、
講師の中村雅史(ナカムラ・マサフミ)先生です。

★膵がんとは
最も多くの日本人を死に至らしめる病気、「がん」の中でも特に見つけにくく、治りにくいと言われているのが、膵臓にできるがん、膵がんです。
膵がんの患者数の推移を見ると、40歳頃から増え始め、年齢が高くなるにつれて増加しますが、膵臓が体の奥にあることから早期発見が難しく、抗がん剤が効きにくいために徹底した治療も難しいとされています。しかも膵がんは年々増え続けているがんの1つで、年間2万人以上の人が新たに膵がんになっています。

★ 膵臓とは
膵臓は、胃の裏と背骨の間にある、長さ20cmほどの細長い、臓器で、ちょうど「みぞおち」の辺りにあります。膵臓には主に「食物の消化」、「胃酸の中和」、「血糖の調節」という3つの重要な働きがあります。
膵臓を、ブドウの房に見立てると、粒の部分からは消化酵素が、茎の部分からはアルカリ性の膵液が分泌されます。そして房の中に存在する、ランゲルハンス島からは血糖を調節するインスリンが分泌されます。

★膵がんの自覚症状
膵がんの自覚症状には主に腹痛と黄疸があり、その他に背中の痛み、体重減少、食欲不振、
全身の倦怠感、下痢などがあります。しかしこれらの症状は膵がんに特有のものではなく、がんがある程度大きくならないと現れないことから、膵がんが発見されにくい理由になっています。
外膵がんで最も多い症状は腹痛です。2番目は黄疸といって、胆管が膵癌で閉塞する結果、皮膚や目が黄色くなり、全身が痒くなるといった症状が認められます。
胆管の近くにできた膵癌は、このはっきり異常と自覚できる黄疸がでやすいのですが、胆管から離れた場所にできた場合は黄疸がでにくく、腹痛など他の症状を我慢してしまうとより大きくなってから発見されることになります。

★ 膵がんの生存率
ある調査によれば、無症状あるいは腹痛で膵がんが発見されれば、手術後の5年生存率はおよそ40%です。一方で、黄疸や背中の痛みがきっかけでがんが見つかった場合、それが2センチ以下であっても、生存率は20%程度にまで下がってしまいます。従って、膵がんの早期発見のためには、無症状のうちに、健診で見つけてもらったり、腹痛を我慢しないで早めの検査を受けることが大切です

★ 膵がんの危険因子
現在のところ、日本人における膵がんの危険因子とされているのは、「年齢」・「性別」・「喫煙」の3つです。この中で「年齢」と「性別」はどうすることもできないので、「喫煙しないこと」が膵がんの重要な予防対策だと考えられています。
特にお酒を飲むと顔が赤くなりやすい人、つまりお酒に弱い人が日常的に飲酒して喫煙すると、お酒は飲んでもタバコは吸わない人と比べて、膵がんの発症リスクが「10倍」になることが分かっています。さらにお酒が強い人でも日常的に飲酒していると、「喫煙者は非喫煙者の3倍」に発症リスクが高まることも分かっています。

★膵がんの早期発見のカギ
膵がんは、早期発見が難しいとされていますが、最近の研究で、新たに発見された、膵管内乳頭粘液性腫瘍、「IPMN」という病気が、早期発見のカギとして注目されています。「IPMN」とは、膵管の粘膜に粘液を作る腫瘍細胞が発生することでできたのう胞のことです。放置すれば、がん化していく危険があることが、分かっています。さらに「IPMN」患者は、通常の膵管癌を合併する危険性が高いことも明らかになりつつあります。膵がんに比べると、「IPMN」は、画像検査などで発見されやすく、今後さらに研究が進むことで、「IPMN」をきっかけとした精密検査が、より正確な膵がんの早期発見につながると期待されています。

★膵がんの治療
膵がんの治療には、主に「手術療法」、「放射線療法」、「化学療法」の3つがあり、がんの進行程度と、全身状態を考慮して、これらの1つ、あるいは、組み合わせた治療が、行われます。膵がんを完治させるための唯一の治療法は手術ですが、膵臓の切除は、腹部外科手術の中でも難易度が高い手術の1つです。これまでは手術後の5年生存率が10%程度と決して高くはありませんでした。ただし最近では、手術後に抗がん剤を投与することで、5年生存率が20%程度にまで、上がってきています。

膵がんの治療では、他の臓器にがんが、転移している場合や、主要な動脈にがんが拡がっている場合は、手術以外の治療法が選択されます。放射線療法は患部にX線を照射してがん細胞を壊そうとする治療法です。一般に化学療法と併用されることが多く、痛みの除去などの症状改善に効果があります。化学療法は抗がん剤を使ってがん細胞を殺す治療法です。抗がん剤については、近年、塩酸ゲムシタビンという新薬が開発され、症状の緩和や、生存期間の延長に、大きな効果を上げています。

過去の記事


All Rights Reserved. Copyright © KBC Co.,Ltd. 1998 -  許可なく転載を禁じます