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酒に支配されないで!アルコール依存症

 
今回、「アルコール依存症」についてお話を伺うのは、雁の巣病院、理事長・院長の熊谷雅之(くまがい・まさゆき)先生です。

■飲酒運転の原因!?
後を絶たない飲酒運転。様々な啓発運動や罰則の強化、大規模な取り締まりにもかかわらず、なかなか飲酒運転が減らない背景には、実はある病気が潜んでいると考えられています。それがアルコール依存症…厚生労働省の調査では、全国のアルコール依存症患者は推定で450万人とも言われていて、飲酒運転の違反歴があるドライバーを調べたところ、男性ドライバーの2人に1人、女性ドライバーの3人に1人はアルコール依存症の疑いがあることが分かったのです。
何かとお酒を飲む機会が多い年末年始、飲んだら乗るな!を守れない人は、身も心もアルコールに支配されているのかも知れません。

■アルコール依存症は否認の病気
アルコール依存症というのは、自分で飲酒がコントロールができなくなる病気です。例えば飲んではいけない時に飲んでしまったり、一定の量で切り上げようと思っても切り上げることができなくなったりということがあります。そしてもう1つ大きな特徴は否認の病気とも呼ばれるように、本人がなかなか自覚できないということです。
アルコール依存症は意思の弱い人がなると思われがちですが、実際はそうではありません。
長年飲酒を続けていると、体にアルコールが入っている状態を当たり前だと脳が認識するようになり、自分の意思とは関係なく酒を欲しがる精神的な依存に陥ります。さらに飲酒を続けることで、酒をやめたり量を減らしたりすると、体に様々な異変が生じる身体的な依存の段階へと進み、やがて寝てる時以外は酒を飲まずにはいられなくなってしまいます。
つまり酒が飲めれば、誰でもアルコール依存症になる可能性があるのです。

■晩酌と寝汗は要注意!?
アルコール依存症の症状には2つの特徴があります。1つは病的飲酒行動、もう1つはお酒が切れかかった時に起こってくる離脱症状、いわゆる禁断症状です。
まず病的飲酒行動というのは、時と場所などが間違った飲み方のことです。例えば昼間から飲酒するとか、職場で飲酒するとか、お酒を飲んで運転をしてしまうような状態を指します。ただし、注意をしなければならないのは習慣性の飲酒、例えば晩酌のようなもので、自分で能動的に飲んでいるつもりが、実は知らない内にお酒に飲まれてしまっているような場合です。ですから晩酌というのは比較的危険な行為、ということも言えます。
離脱症状とはお酒が切れるとイライラしたり、けいれん発作や幻覚妄想状態などが起こることですが、実は最初に現れる離脱症状は寝汗です。明け方などに寝汗をかくというのは、ひょっとしたら離脱症状の初期段階かもしれません。

■アルコール依存症の合併症
アルコール依存症になると、身体にも深刻な影響が及びます。特に肝臓は影響を受けやすく、脂肪肝から肝炎、肝硬変へと進行することがあります。他にも胃炎や膵炎など消化器系の病気には注意が必要です。また脳への影響も大きく、眼球運動の麻痺や意識障害を伴うウェルニッケ脳症を併発したり、酒の飲み過ぎで脳が萎縮して認知症になることもあります。

■女性患者が増加中!
アルコール依存症は圧倒的に男性に多い病気ですが、最近は女性の患者さんが増える傾向にあります。その理由に女性は男性と比べてアルコールの害を受けやすいということが上げられていて、例えば男性が10年から20年でアルコール依存症になるのに対して、女性の場合にはその3分の1から半分の期間、5〜6年でだったり、飲んでいる飲酒量も男性の2分の1から3分の1ぐらいの量で、アルコール依存症が発症してしまうとされています。

■アルコール依存症チェックリスト
アルコール依存症かどうかを判定する手段の1つに、スクリーニングテストがあります。今回はKAST(キャスト)と呼ばれる“久里浜式アルコール症スクリーニングテスト”をご紹介します。最近半年間を振り返って14の質問に該当する答えを回答欄から選び、その合計点で判定します。

Q)最近6ヵ月の間に次のようなことがありましたか?
@酒が原因で、大切な人(家族や友人)との人間関係にひびが入ったことがある。
『○』3.7点
『×』−1.1点
Aせめて今日だけは酒を飲むまいと思っても、つい飲んでしまうことが多い。
『○』3.2点
『×』−1.1
B周囲の人(家族・友人・上司など)から大酒飲みと非難されたことがある。
『○』2.3点
『×』−0.8点

C適量でやめようと思っても、つい酔いつぶれるまで飲んでしまう。
『○』2.2点
『×』−0.7点
D酒を飲んだ翌日に、前夜の事をところどころ思い出せないことがしばしばある。
『○』2.1点
『×』−0.7点
E休日には、ほとんどいつも朝から飲む。
『○』1.7点
『×』−0.4点
F二日酔いで仕事を休んだり、大事な約束を守らなかったりしたことが時々ある。
『○』1.5点
『×』−0.5点
G糖尿病、肝臓病、または心臓病と診断されたり、その治療を受けたことがある。
『○』1.2点
『×』−0.2点
H酒がきれた時に、汗が出たり、手が震えたり、イライラや不眠など苦しいことがある。
『○』0.8点
『×』−0.2点
I商売や仕事上の必要で飲む。
『よくある』0.7点
『時々ある』0点
『めったにない』−0.2点
J酒を飲まないと寝つけないことが多い。
『○』0.7点
『×』−0.1点
Kほとんど毎日3合以上(ウイスキー1/4本以上、ビール大びん3本以上)の晩酌をする。
『○』0.6点
『×』−0.1点
L酒の上の失敗で警察のやっかいになったことがある。
『○』0.5点
『×』0点
M酔うといつも怒りっぽくなる。
『○』0.1点
『×』0点

2点以上「きわめて問題」
0〜2点「問題あり」
−5〜0点「まあまあ正常」
−5点以下「まったく正常」

選択した答えの合計が2点を超えると、アルコール依存症の疑いが強いと判断されますが、実はこのスクリーニングテストは点数が高い順に質問が並べられていて、特に質問@〜Cはアルコール依存症の診断基準の1つである飲酒のコントロール障害に関する質問になっています。合計点が低くても質問@〜Cに該当する人は、お酒の飲み方に気をつけましょう。

■治療は断酒が肝心!
アルコール依存症を治療するには、お酒をやめる必要があります。ただやめるだけでなく、一生断酒を続けなければなりません。断酒を継続していくためには、まずは断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)といった、お酒をやめようとしてる人たちの集まりへ参加することが非常に大事です。そして病院等で定期的なカウンセリングを受けたり、飲酒すると具合が悪くなる抗酒剤という薬物を服用する場合もあります。
ただし、患者さんの多くはなかなか自分では自覚していません。そこで家族など周囲の人が気づいた時には、アルコール専門病院を受診して早めに相談することが大切です。病院以外にも地域の保健所や精神保健福祉センターでは、よくアルコール相談が行われることもあるので、そういう所に相談すれば、早めに患者さん本人の自覚をうながすことができるかも知れません。

アルコール依存症は糖尿病などと同じで、環境によって引き起こされる生活習慣病の1つです。“誰もがなるかもしれない”ことを本人はもちろん周囲の人も十分に理解して、日頃から適度な飲酒を心がけましょう。酒は飲んでも飲まれるな!ですよ。

飲みすぎ

 
今回、“飲みすぎ”についてお話を伺ったのは久留米大学医学部 消化器内科 講師の井出 達也(いで たつや)先生です。


■“飲みすぎ”と、酔う仕組みについて

飲みすぎとは簡単に言えばアルコールによって“脳が段階的にマヒする”状態です。
通常、お酒を飲むと、大脳の一部分がマヒして、気持ちが緩んでリラックスした状態になります。いわゆる“ほろ酔い気分”です。
この程度であれば“良いお酒”ということになるんですが、なおもお酒が進むと大脳にさらにマヒが進んで、話をしていて同じことを繰り返す、“ろれつ”が回らない、といった状態が見られます。
さらにバランス感覚をつかさどる小脳が影響を受けるとフラフラと千鳥足になったり、記憶をつかさどる海馬(かいば)という部分が影響を受けると“昨日のことを覚えていない”といったことになります。
そしてその後もずっと飲み続けると大脳全体がマヒして、完全に酔いつぶれた状態に。
併せて呼吸をつかさどる延髄(えんずい)にまで影響が及ぶと自分で呼吸ができないという深刻な事態になります。


■お酒の良い点

適度なアルコールは食欲を増進させる、緊張を緩めてストレスを解消させる、コミュニケーションを進めるといった良い点があります。
また最近の研究では、日本酒換算で1合程度飲むと、動脈硬化を防ぐ“善玉コレステロール”が増えることが分かっています。
ただし、あくまで適量の範囲内であり、またもともと飲めない人が無理に飲む必要もありません。









■アルコールの処理能力と処理の仕組み

処理能力はかなり個人差がありますが、一般的には日本酒1合を処理するのに3〜4時間かかると言われています。
飲酒によって体内に入ったアルコールは胃から20%、小腸から80%が吸収され、最終的に肝臓へと運ばれます。
アルコールの大部分は肝臓で代謝され、酵素の働きによって有害なアセトアルデヒドから無毒の酢酸へと分解されます。
酢酸は全身を巡り、最終的に水と二酸化炭素に分解されて、体の外に放出されます。
ちなみにごく一部のアルコールはこのような代謝をされることなく、尿や汗、呼気とともにそのまま排泄されます。


■飲みすぎと生活習慣病

飲みすぎは二日酔いや「記憶がとぶ」などいった一時的なものだけではなく、さまざまな生活習慣病の発症に大きな影響を与えています。
長年の飲みすぎでは、すい炎、糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中などの発症頻度が高くなることが分かっています。
また、がん発症のリスクが上がるともされ、過度の飲酒に関連するがんとして口腔がん、咽頭がん、食道がん、大腸がん、乳がんなどが挙げられます。
そして何と言っても、もっとも影響を受けるのが肝臓です。
肝臓内に脂肪が溜まる脂肪肝から肝炎につながり、長年の肝炎から肝硬変へ、さらには肝臓がんへ進行する場合があります。


■まとめ

習慣的に飲む人は1週間に1、2回は必ず肝臓を休める日を作りましょう。
“酒は百薬の長”などと言いますが、飲みすぎてしまったら一転していろいろな病気のもとになります。お酒はほどほどに…。

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