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リバウンドにさよなら!!心と肥満

 
今回、「心と肥満」についてお話を伺うのは、九州大学病院心療内科、医師の野崎剛弘(のざき・たけひろ)先生です。

■ダイエット失敗と意志の弱さは関係ない!?
今度こそは絶対やせよう!一大決心してがんばってはみたものの、やっぱりダメだった…そんな経験はありませんか?つい自分の不甲斐なさを責めたくなりますが、ダイエットがうまくいかないのは、決して意志が弱いからではありません。それよりもダイエットの間違った考えに囚われているアナタの心が、肥満を招いているのかも…!?やせたと思えばリバウンドするような、同じ過ちを繰り返さないためにも、心理面から肥満にアプローチする必要があるんです。

■心と肥満の気になる関係
いつの間にか太ってしまうとか、ダイエットしてもすぐリバウンドしてしまうという人は少なくありません。その原因として食生活の乱れや運動不足はもちろんですが、実は心の問題が深く関係しています。
心の問題というのはモノの考え方や感じ方のことで、これを認知と言います。例えば「水を飲んでも太る体質だからやせられない」とか「体重は減ったけど、理想的な体形にはほど遠いのでヤル気を失った」とか、あるいはダイエットの途中でちょっとでも体重が増えてしまうと「何をやってももうダメだ」と考えてしまうような、ある種の思い込みや信念、思考パターンといったものがダイエットに対する誤った認知となって、それが肥満を招く行動へとつながっていきます。

■肥満の認知行動療法とは?
そこで、こうした誤った認知を修正して、行動の変化をうながすのが認知行動療法です。肥満の認知行動療法では考え方や気分に注目して、肥満を維持している生活習慣を改善することによってダイエットを成功させます。欧米ではライフスタイル変容法ともいわれ、外科治療以外では最も有効な肥満治療とされています。
肥満の認知行動療法はおよそ10ヵ月間、44週にわたって全部で38回行われます。きめ細かいプログラムで構成されていて、毎回出される課題の実行と、その結果の検討を繰り返していきます。この治療法が画期的なのは、通常の内科治療であれば減量だけで終わるところが、減量と体重維持の方法は全く違うという考えから、減量した体重を維持するための期間を設けていることです。つまり最初の26週を減量期、後半の18週を減量した体重の維持期として、体重を一定に保つためのスキルを実践的に身につけることで、治療終了後のリバウンドを防ぐことができるようにしているのです。
減量期はおよそ6ヶ月間、計26回のセッションで行われ、大きく4つのパートに分かれています。まず6週目までは食事日誌を中心に、食生活の注意点から間食への対策、つい食べ過ぎてしまいがちな飲み会などへの対処法に至るまで、具体的に学びます。7週目からは運動に焦点を当てて、身体活動のレベルを上げていきます。さらに13週目からはストレス対策として、問題解決の技法や認知の再構成、コミュニケーションを円滑にする自己表現の方法などを習得します。日常のストレスは食生活の乱れや過食に結びつきやすいので、上手に対処することがとても大切です。そして21週目以降は、体重維持へ向けての準備に入ります。
体重の維持期では発想の転換が必要になります。もちろんこの時期に体重が増えてはいけませんが、減ってもいけないということです。減量期に達成した体重±2kgの範囲で維持していくことを目標にします。そのためにはもっと体重を減らしたいと思うのではなく、減った体重や変化した体形を受け入れる心の準備が必要になります。次に減量期に達成できたことや不十分だったことを確認します。そこでやり残した課題に取り組みながら、将来の体重増加に結びつくあらゆる状況を想定して、それにどう対処していくかということをトレーニングしていきます

■九州大学病院の新たな試み
肥満に対する認知行動療法はこれまで個人が対象で、1回の治療が50分程度要することから、あまり多くの患者さんを診ることができませんでした。そこでより効果的な治療を効率良く行うために、集団療法の導入が検討されることになり、現在九州大学病院では認知行動療法を10人前後の集団で行う臨床試験が行われています。さらに体重の維持期には、患者さんをそれまで行なってきたことを復習するグループと、運動習慣をしっかりと身につけるグループの2つに分けます。そして治療終了後も定期的にフォローして、2年後にどちらのグループがよりバウンドを防止できたかを比較することになっています。

■臨床試験の現場からリポート
臨床試験は30名の患者さんを3つのグループに分けて、週に1回のペースで今年の1月から始まりました。今回取材させていただいたのは減量期の17週目で、医師2名と管理栄養士1名が加わって、ストレス対策としてダイエットを邪魔する考え方を修正する“認知の再構成”が行われていました。
認知の再構成では、まず最初にストレスの多い状況を想定して、自然と思い浮かぶ考え、すなわち認知を確認します。次にその認知を様々な視点から検証して、誤りを修正した新しい認知を導き出します。例えば「毎日ウォーキングできない」状況を想定して、「ずっと続けていないとやせられないから、やっても意味がない」という認知を検証して、「1日できなくても続けることに意味がある」と言う認知を導き出します。こうしたトレーニングを通して、最終的にはストレスを感じた時に、認知の誤りに瞬間的に気づいて、その場で修正できるようにするのです。
臨床試験に参加している患者さんにお話を伺ったところ、「同じ悩みを抱えた参加者同士で励まし合えたりして、週1回の集団療法を楽しみにしている」といった意見や「途中で減量がうまくいかなくても、皆で盛り上げて気分を上向きにしてくれるので、挫折しづらい」といった声が聞かれました。中にはすでに10kg減量を達成した参加者もいるそうです。

ダイエットは本来、スタイルを良くしたり健康な体になるのが目的のはず…体重に一喜一憂する無理な減量はもうやめて、これからはリバウンドしないダイエットを目指しましょう。

眼精疲労

 
今回、眼精疲労についてお話を伺ったのは、福岡大学医学部眼科学 教授の内尾 英一(うちお えいいち)先生です。


■眼精疲労とは?

目の使い過ぎなどで普段の生活に支障が出るような何らかの症状が起きている目の状態です。
眼精疲労は中高年に多く起こりますが、パソコンやテレビゲーム、携帯電話が一般化した現代では社会人や子どもにも多く見られます。


■“VDT(ビデオ・ディスプレイ・ターミナル)症候群”とは?

職場で家庭でパソコンを使うようになって、画面を長時間見ることが増え、それによる症状を訴える人が増えたためにできた症候群です。
だいたい50pよりちょっと遠くの画面をちゃんとした姿勢でずっと見なければいけないという点が問題で長い時間続けると目の疲れ、乾きが生じてくることになります。


■目の仕組みと眼精疲労の原因

眼精疲労は目の水晶体の働きが悪くなって起こります。
水晶体はカメラで言うとレンズに当たる部分で、体の自律神経によって近くを見るときには厚く、遠くを見るときには薄くなってピントを合わせます。
しかし同じ距離のものを長時間見続けると水晶体の厚さを調節する筋肉組織が固くなり、ピントが合いにくくなります。
また、まばたきの回数が減り、目の表面が乾くドライアイが続く。
視力に合わない眼鏡やコンタクトレンズを使っている。
これらも眼精疲労の要因となります。






■眼精疲労の症状

眼精疲労の代表的な症状は物が見えにくくなることです。
近くから遠く、遠くから近くへと視線を変える際にピントが合いにくくなります。
さらに目だけではなく人によっては頭痛や頭が重たい感じ、肩こり、めまいといった全身症状。
物が見えにくくなってストレスが溜まり、イライラ感や不眠、
食欲の減退といった精神症状も見られます。


■注意点

最近増えているのは眼精疲労だと思っていたら緑内障だったというケースです。
緑内障は眼圧が上がり、それによって次第に視野が狭くなる病気ですが、物を見るときに目が疲れる、重い感じがするなど、
最初は眼精疲労(=疲れ目)と同じような症状なので注意が必要です。


■眼精疲労の検査

基本的には視力がまず大事です。
遠視、近視ともに計測して、自分の眼鏡が合っているのかどうかという検査を必ずやります。
また緑内障の可能性があるので眼圧を測ります。
場合によっては眼底検査とか視野検査といったさらに細かい検査をするということもあります。
さらにドライアイが眼精疲労を起こしていることがあるので、
角膜の表面の涙液とか角膜に傷がないかといった検査を行います。


■眼精疲労の治療

水晶体の調節の問題による場合は眼鏡を合わせます。
それで症状がなくなれば良いですが、ドライアイが付随している場合では涙を補充するための目薬をさしたり、もっとひどいドライアイでは、涙の量を調節するために目の周りに器具を入れて十分潤うように施す新しい治療法も出てきています(涙点プラグ治療)。


■眼精疲労の予防対策

目に適度な休息を与えることです。
長い時間近くを見たと感じたら、遠くの景色などを眺める。
それも自然の緑が良いとされています。
長い時間のパソコン作業などでは自然とまばたきの回数が少なくなっています。
時々、意識してまばたきを行うと目の表面の潤いが保たれてドライアイを防げます。
加湿器で部屋の湿度を保つのもドライアイ予防に効果的。
またストレスは目の働きをコントロールする自律神経に影響を与えます。
自分なりのストレス解消法を持ちましょう。


■まとめ

情報化社会の現代、眼精疲労は避けては通れない病気のひとつです。
何かと便利になった分、目は重労働を強いられています。
きちんと予防対策をして、目をいたわりましょう。

次の世代に新薬を!治験

 
今回、「治験」についてお話を伺うのは、九州大学先端医療イノベーションセンター、臨床試験部門、部門長、特任教授の池松秀之(いけまつ・ひでゆき)先生です。

■治験は新薬開発最後の難関!
現在利用されている薬品のほとんどは、20世紀になってから新たに開発されました。薬の開発は、まず薬の元になりそうな成分を見つけることから始まります。そして動物実験で効果や安全性を確認された物だけが、新しい薬の候補となります。次に臨床試験を行って、人に対する効果や安全性を証明します。その最終段階となるのが“治験”で、薬の候補が新薬として国から承認されるためには、欠かせないプロセスです。
成分の発見から新薬の承認までは、10年以上かかることも少なくありません。その中で最も長い時間をかけて行われる治験は、新薬の開発における最後の難関でもあるのです。

■治験のステップ
治験は一般的に、第1相、第2相、第3相という3つのステップから成り立ってます。第1相では健康な方を対象に、薬の体での吸収や排泄がどうなっていくのかを調べます。第2相では少数の患者さんで、その薬の効果や使う量、副作用の程度は想定の範囲内か、などを調べます。第3相では多くの患者さんに治療で使っていただいて、その効果を確認します。
そうやって集められたデータは、審査機関に出され、そしてデータに問題がないということになれば、新薬として承認されて治療に使うことができるようになります。

■治験の安全性について
治験を行う医師にはその目的や期間、検査内容、使用する治験薬の効果と副作用などについて、文書で説明して患者さんから同意を得ることが義務づけられています。これはインフォームド・コンセントと呼ばれる手続きで、治験は充分な医師の説明に納得した患者さんの同意が前提となっています。インフォームド・コンセントは契約ではなく、患者さんの人権と安全を守る為のもので、患者さんは同意書にサインした時点から治験に参加したことになります。このように治験への参加は、患者さんの自由な意思によって決められるのです。
薬は作用があって副作用があるのが一般的です。治験薬も動物実験などで、副作用について十分予測がされています。実際の治験では、当初想定された範囲内の副作用であるかどうかが確認されていきます。思ったよりも副作用が強い、あるいは想定外の副作用が見られる重篤な副作用が見られる場合は、すぐに治験は中止されます。
また、治験が行われる病院には、患者さんの安全性に配慮して、いくつかの条件が定められています。医療設備が十分に整っているのはもちろん、専門の医師や看護師、薬剤師が揃っていて、緊急時には直ちに必要な治療や処置を施すことができる病院で、治験は行われるのです。

■治験のメリットとデメリット
治験に参加するメリットとしては、新しい治療を受けられるということがあります。また一般の診療と違って、医師や治験コーディネーターという担当者が、患者に対してきめ細やかに対応するということがあります。
デメリットとしては、診察の回数や検査の項目が多かったり、あるいは1回あたりに採血される血液の量が多かったりと、日常生活への制限と普段よりも多い検査があります。しかし治験は正確なデータを集めるのが目的なので、不便はあっても患者のきちんとした協力が必要です。

■薬の歴史に学ぼう
富山・大和・近江と並ぶ“日本四大売薬”の1つ、田代(たじろ)売薬発祥の地として知られる佐賀県の鳥栖市には、国内でも珍しい薬に関する博物館があります。それが“中富記念 くすり博物館”で、こちらでは田代の薬売りに関する資料を中心に、薬の歴史を辿る様々な展示が行われています。
古代中国で薬を広めたとされる伝説上の皇帝“神農(しんのう)”は、草を噛んだり舐めたりして、自然の中にある植物や動物、石などすべての物を自分で試して、薬になる物を発見したと伝えられています。そのため中国では、薬の神様として多くの人に信仰されています。こうした神農の伝説は、今で言う治験のようなものだったと考えられています。さらに漢方などで使われてきた生薬の数々が展示されているコーナーには、植物だけでなく動物や虫、石などもあり、特に鉄を含んだ鉱石は、現在でも造血剤として鉄剤が用いられることから、治療効果が高かったことでしょう。
また治験の工程に関するコーナーでは、新薬の開発成功率が0.003%と紹介されています。これは新薬の候補とされたおよそ65万もの物質の中から、治験に辿りつくのはわずかに75個という現実を表したものです。このように治験薬は新薬候補の超エリートとも言える存在で、治験が行われる前に、すでに効果や安全性に関する厳しい審査が課せられているのです。

■治験のすすめ
治験は新薬が世の中に出るために、なくてはならないステップです。今、治療に使われてる薬も、すべて治験というステップを通ってきています。治験が速やかに行われるためには、なるべく多くの方々の協力が必要です。皆さんの善意によって、新しい薬が多くの人々を病気の苦しみから救う事になります。もし、担当の先生から治験への協力を依頼された時は、いきなり断らずに、きちんと話を聞いてみて下さい。

病気やケガを治し、体を正常な状態へと導く薬。研究者や医師だけでは、新しい薬を世に送り出すことはできません。次の世代で新薬が役立つために、いま、治験への理解と協力が必要とされています。人間の知恵と健康への願いが、これからも薬の歴史を刻み続けていくのです。

潰瘍性大腸炎

 
今回、潰瘍性大腸炎についてお話を伺ったのは福岡大学筑紫病院 消化器内科教授の松井 敏幸(まつい としゆき)先生です。


■潰瘍性大腸炎とは?

大腸の粘膜組織に潰瘍やただれが起きる病気です。
最新の統計では患者数がこの20年間でおよそ4倍に増加したと発表され、現在、日本には13万人程度の患者さんがいると考えられています。
はっきりとした治療法が見つかっていないことに加え、治りにくく再発しやすいという特徴があり、1973年、当時の厚生省から特定疾患に指定されました。
発症年齢は幅広く、20代・30代といった若い年代にも多く起こりますがその理由は不明です。


■潰瘍性大腸炎の発症要因

はっきり分かっていませんが、“食生活の欧米化”に伴う脂肪分の高い食事習慣が影響していると考えられています。
実際に欧米では多くの人に見られ、アメリカには日本のおよそ5倍、60万人の患者さんがいるとされています。


■潰瘍性大腸炎の特徴

下痢が多いということで、仕事場に安定して勤めるのがやや難しい面があります。
また過剰なストレスがかかると病気が増悪すると言われていて、例えば進学や就職、転職をした人などは慣れない生活環境でストレスが溜まって症状が進みやすいとされています。
風邪やインフルエンザなどで体内に細菌やウイルスが侵入すると大腸の粘膜組織に影響が及ぶ場合があります。
さらに近年では体に備わる免疫反応の不具合で潰瘍などが起こるのではないかとも考えられています。




■潰瘍性大腸炎の症状

代表的な症状は下痢と血便です。
下痢はひどくなると1日に何度もトイレに駆け込むようになります。
それがストレスとなって症状が悪化する場合もあります。
血便は血と便が混ざって赤黒い色となって現れます。
下痢や血便が続くと、貧血で倒れたり、栄養障害や体重の減少といった二次症状が起こります。
また大腸の炎症物質が体中を巡って目や皮膚、関節、肝臓やすい臓などにさまざまな合併症を発症します。


■潰瘍性大腸炎と痔の違い

痔は肛門の炎症によって、そこが弱くなり出血しますが、潰瘍性大腸炎は肛門からちょっと上の直腸からじわじわ出血します。
非常に軽い場合はほとんど区別できない場合があります。
血便がある場合には内視鏡検査を受けて、その原因を知る必要があります。


■潰瘍性大腸炎と大腸がん

潰瘍性大腸炎と密接な関係にあるのが、近年、日本人に増えている“大腸がん”です。
腸も長年、炎症が続くと発がんをしやすい状態になります。
潰瘍性大腸炎が10年、20年に及ぶような場合には、大腸がんになる確率は10倍くらい、一般の人よりも高くなるのではないかと言われています。


■潰瘍性大腸炎の治療

潰瘍性大腸炎の治療は薬物療法が中心で、症状の進行具合でさまざまな薬剤が使用されます。
重症例では手術で大腸が全て摘出されますが、その割合は3%程度とされています。




■先生よりまとめ

日本は潰瘍性大腸炎に対する治療が海外よりずっと進歩しています。
潰瘍性大腸炎とクローン病(=小腸・大腸の疾患)を合わせて
“IBD(※炎症性腸疾患)”と言いますが、私たちの病院でもIBDの患者さんを専門的に扱うセンターを作りました。
治療の専門家を養成して広く治療に当たりたいと思っています。


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