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くも膜下出血

 
今回、くも膜下出血についてお話を伺ったのは福岡大学医学部 脳神経外科 准教授の東 登志夫(ひがし としお)先生です。


■くも膜下出血とは

脳は硬膜、くも膜、軟膜に覆われ、くも膜と軟膜の間には、くも膜下腔と呼ばれる空間が広がっています。
くも膜下出血とは、脳の動脈が破れて血液がくも膜下腔に流れ出る疾患で、日本では年間およそ2万人が発症しています。
死亡率が高く、40〜50代といった働き盛りの年代に多く見られます。
性別では女性に多いとされています。
発症による出血の量や広がり方によっては極めて深刻な事態に陥る場合があります。


■くも膜下出血の原因

くも膜下出血の発症要因のおよそ8割を占めるのが脳動脈瘤です。
脳動脈瘤とは枝分かれした脳の動脈の一部がふくれてコブのようになった状態です。
くも膜下出血はこのコブが破れることで発症しますが、ほとんどの場合、破れるまで自覚症状はありません。
脳動脈瘤は中高年以降では20人にひとりが持っていると言われています。
一方でそれが実際に破れる確率は年間1%程度とされています。
脳動脈瘤があるから必ずくも膜下出血になるわけではありません。

また発症を高める因子としては長年の高血圧、喫煙、1週間で150g以上のアルコール摂取が挙げられます。
ちなみに1週間で150gのアルコール量は毎日ビールで中瓶1本、日本酒で1合、ウイスキーでダブル1杯が目安になります。


■くも膜下出血の症状

代表的な症状は非常に激しい頭痛です。
それは「これまでに経験したことがないような」、「バットやハンマーで殴られたような」と形容されるほどです。
その他には激しい吐き気、程度がひどければ意識障害が起こったりします。
家族など周囲の人にこのような症状が見られたら、すぐに救急車を呼んで病院に搬送しなければいけません。


■発症後に大事なこと

脳動脈瘤が破れて、くも膜下出血を発症すると3分の1の人は死に至るとされるため、的確な処置が重要となります。そこで一番大事なのは再破裂を予防することです。
一般には24時間で数%、2週間で10数%程度の割合で再破裂をすると言われています。


■くも膜下出血の治療

くも膜下出血ではCT検査や脳血管撮影といった画像検査で患部の場所や大きさなどを確認した後、治療が行われます。
主な治療法には頭蓋骨を開き、クリップで根本をはさんで出血を止める“クリッピング術”。
血管内にカテーテルという細い管を入れ、柔らかい針金で内部を塞いで破裂を防ぐ“コイル塞栓術”があります。
どちらを選択するかは脳動脈瘤の場所、大きさ、状態、患者さんの年齢などによって決められます。


■先生よりまとめ

くも膜下出血は、ある日突然に起こる油断のならない病気ですが、全ての人に起こるわけではありません。
もし脳ドックなどで、まだ破裂していない脳動脈瘤が見つかったときは過剰に心配せず、専門医に相談して、治療など今後の方針を決めていかれたらいいと思います。

前立腺がんと尿失禁

 
今回、前立腺がんと尿失禁についてお話を伺ったのは、原三信病院 泌尿器科 部長の武井実根雄(たけい みねお)先生です。


■前立腺がんと尿失禁について

前立腺がんでは病巣の場所にもよりますが、前立腺とがんを含めた周囲の健常な部分まで摘出する必要があり、その場合に周囲にある括約筋という組織を多少損傷することがあります。
さらにもともと括約筋の弱い人もいるので、前立腺がん摘出後に尿失禁が止まらない場合があります。


■前立腺がんの手術後

手術後は多かれ少なかれ尿失禁が現れ、術後3ヵ月から半年は尿もれパッドが必要となりますが、1年も経つと90%の人は必要なくなります。
しかし残りのうち1〜3%の人には1日5、6枚も必要となるような重い尿失禁が残ります。


■尿失禁による影響

尿もれパッドはペニスの先端にちゃんと当たるようにつけなければならず、装着は非常に難しいとされています。
また水分をたくさんとると尿もたくさん作られるので、患者さんは水分を取るのが制限されます。
すると脱水症や熱中症になる危険が高まります。


■改善方法

前立腺がんの手術後に起こる尿失禁のほとんどは術後6カ月までに改善します。
ただし十分な改善が見られない場合、一般的に術後1年間は
骨盤を支える筋肉“骨盤底筋”を鍛える運動療法などの保存的な治療が行われます。
術後1年を経過しても重症の尿失禁が続くと外科的な治療が検討されます。

■「人工尿道括約筋」について

人工尿道括約筋は尿失禁に対する手術法で、機具が体の中に埋め込まれます。
欧米では20年以上前から定着していますが、日本では自費診療となりあまり使用されてきませんでした。
しかし今年(2012年)4月から健康保険が認められるようになりました。


■人工尿道括約筋手術の課題

この手術を行える施設が限られていたので、技術が広く普及するような指導の徹底が今後の課題です。
また例えば交通事故や脳梗塞といった場合、尿道に「カテーテル」という細い管を入れることありますが、そのままカテーテルを入れると尿道自体が大きなダメージを受けてしまいます。
そういう場合には「患者カード」によって、人工尿道括約筋の手術をした主治医に連絡が取れるようになっています。
その他、学会で作られたコールセンターもありので、連絡先が分かれば安全に対処してもらえるよう、対策がとられています。

変形性ひざ関節症

 
今回、「変形性ひざ関節症」についてお話を伺ったのは、
福岡大学病院整形外科 教授の内藤正俊(ないとう・まさとし)先生です。

■変形性ひざ関節症とは

変形性ひざ関節症の多くは筋肉の衰えや肥満、無理な動作など様々な要因が影響し合いながら、ひざに負担がかかり続けて発病します。O脚で肥満気味の人やひざの負担が大きいスポーツをしている人、ハイヒールや足に合わない靴を履いている人は注意が必要です。
整形外科では腰痛の次に多い病気で全国の患者数は1,000万人以上と言われています。


■変形性ひざ関節症のメカニズム

変形性ひざ関節症はひざ関節のクッションである関節軟骨がすり減って、関節の炎症や変形によって痛みが生じます。
関節軟骨には神経がないので初期では自覚症状がないまま関節軟骨がすり減り始めます。
やがてすり減った関節軟骨や半月板の変性による刺激で関節炎と痛みが起こります。
また関節に水がたまることもあります。
放置すると関節軟骨の摩耗がさらに進み、関節軟骨の下の骨が露出して骨同士が直接ぶつかるようになり、骨そのものが変形して強い痛みとともに関節の可動域が制限されるようになります。


■変形性ひざ関節症の症状

最も早く現れる症状は朝起きて歩き始めた時に感じるひざの違和感です。
痛みを感じてもほとんどの場合はしばらく休むと痛みがなくなります。
その後は痛む頻度が増えてひざの曲げ伸ばしが完全にできなくなり、正座やしゃがむ動作、階段では特に下りが苦痛になってきます。
またひざに炎症が生じて腫れたり、体重をかけるとゴリゴリと音がするような感じがします。
さらに放置すると日常生活に支障をきたすほどの痛みで思うように動けなくなります。
見た目で関節が曲がっているのが分かるほど骨の変形も進みます。



■変形性ひざ関節症の治療

一度すり減った関節軟骨を元の完全な状態に修復することはできません。
変形性ひざ関節症の治療は進行の防止と痛み除去、ひざの動きを改善することを目指して行われます。
治療方法は症状の程度によって異なりますが、基本的には肥満に対する生活指導と共に、薬物療法、物理療法、運動療法といった保存療法を組み合わせて治療します。

薬物療法には一時的な痛みや炎症を抑える消炎鎮痛剤と、関節内の潤滑成分であるヒアルロン酸の注射があります。
ヒアルロン酸の注射は関節の動きを滑らかにして痛みを抑える効果があります。

物理療法は患部に熱や氷などの物理的な刺激を加える治療法です。
主に患部を温めることで血行を良くして痛みを和らげたり関節や筋肉をほぐしたりします。

運動療法の目的はひざの曲げ伸ばしを制限なく行えるようにすると共に、ひざを支える筋力の回復や増強です。さらに運動療法によって血流が改善されると関節内組織の新陳代謝が促されるので、
関節軟骨やひざ周辺に栄養がいきわたり、炎症の原因となる老廃物が排せつされるといった効果も
期待できます。


■変形性ひざ関節症の手術について

保存療法でも症状の改善が認められない場合には手術が検討されます。
変形性ひざ関節症の手術には主に関節鏡視下かく清術、高位脛骨骨切り(こういけいこつこつきり)術、人工関節置換(じんこうかんせつちかん)術があり、病状や患者さんの年齢、体力、どこまでの回復を望むかなどを総合的に考慮して適切な方法が検討されます。

関節鏡視下かく清術は、内視鏡を使って問題のある組織や軟骨、骨のでっぱりなどを取り除く手術で、主に関節の変形が小さい人を対象に行われます。手術の傷は数センチで患者の負担が小さい反面、術後数年で腫れや痛みが再発することもあり効果が長続きしない場合もあります。


高位脛骨骨切り(こういけいこつこつきり)術はすねの骨をひざに近い部分で切って金属などで固定する手術で、40歳代から60歳代の比較的動ける人が対象となります。
術後は痛みも取れひざの動きもほぼ元通りになりますが、骨が完全につながるまでおよそ2ヵ月、さらにリハビリで1ヵ月程度と長期の入院が必要です。

人工関節置換術は変形した関節をセラミックやポリエチレンなどの人工関節と入れ替える手術で、ひざ全体が大きく変形して痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合に行われます。
高齢者でも手術が可能で術後2〜3日で歩けるようになり、入院期間も1ヵ月程度ですみますが、ひざの動きがある程度制限されるため正座は出来なくなります。


■まとめ

人工関節置換術に限らず関節鏡視下かく清術や高位脛骨骨切り術によって多くの場合は痛みがなくなって動けるようになり、活動範囲も広がって生活が明るくなります。
ひざの痛みを我慢したり年だからとあきらめたりしないで専門医とよく相談してしっかり治療しましょう。

ちくのう症

 
今回、ちくのう症についてお話を伺ったのは、福岡大学筑紫病院 耳鼻咽喉科 診療部長の坂田 俊文(さかた としふみ)先生です。

■ちくのう症とは

ちくのう症とは別名“副鼻腔炎”と言います。
副鼻腔と言うのは我々の顔を形作る骨の中に広がる空洞で、ここにウイルスや細菌、カビといった病原体が侵入し、炎症が起きて膿が溜まった状態が副鼻腔炎(ちくのう症)ということになります。


■鼻の仕組み

鼻は鼻腔、副鼻腔からできています。鼻腔は鼻の穴から喉に続く空気が出入りする部分、副鼻腔は鼻腔の周りの骨にある空洞のことで、上顎洞(じょうがくどう)、篩骨洞(しこつどう)、前頭洞(ぜんとうどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4つがあります。
鼻腔と副鼻腔は小さな管(くだ)でつながっていて
通常、副鼻腔内に溜まった膿や分泌物などはその穴から鼻腔へ送られて排せつされます。
しかし何らかの原因でその管が狭くなったり詰まったりしてしまうと副鼻腔に溜まった分泌物などが鼻腔に出せなくなってちくのう症が起きます。


■副鼻腔の働き

副鼻腔の働きはまだはっきり分かってはいませんが、声を通す、よく響かせるといった働きがあります。
その証拠に、ちくのう症になると声が曇ったり鼻声になったりします。
その他にも頭の骨に副鼻腔の空間があることで頭の軽量化につながっています。
頭が外側から衝撃を受けた際に、その空間で衝撃を和らげて脳を守る働きがあるとも言われています。


■ちくのう症の原因

ちくのう症の原因の多くはかぜやインフルエンザによるものです。
またアレルギー性鼻炎や花粉症でも起きます。
さらには鼻中隔湾曲症も原因のひとつになります。
鼻の中を左右に分ける壁がどちらかに強く曲がっていると、鼻づまりがとても強くなり、それが原因でちくのう症が起こることもあります。


■ちくのう症の症状

ちくのう症の主な症状は鼻水や鼻づまり、臭いが分かりにくくなるといったものです。
鼻水は黄色や緑色の粘り気のあるものです。
鼻以外では顔面の痛み、頭痛、頭が重い感じ、集中力の低下といったものがあります。
また合併症として、副鼻腔の近くにある視神経や脳に影響が及んで視力障害や脳に炎症が起きることがあります。


■ちくのう症と咳

ちくのう症は最近“慢性の咳”との関連で注目されています。
ちくのう症ではベタベタした分泌物が喉の方に絶えず流れ込みます。
これが気管や気管支に流れ込むことで咳が続くと言われています。
呼吸器内科で診てもらっても原因がよく分からないといった場合には
耳鼻科でちくのう症がないかどうかを調べてもらうことが大切です。


■ちくのう症の予防対策

ちくのう症はかぜが原因で発症することが多いとされているので、かぜを引かないことがちくのう症の予防につながります。
また日頃から規則正しい生活を心がけ、細菌やウイルス、カビといった病原体に負けない強い体を作ることも大切です。



■まとめ

ちくのう症は命に関わるような病気ではありませんが、慢性的な鼻づまり、鼻水、匂いを嗅ぐ力が悪化するといった症状は
生活の質を悪化させてしまいます。
ちくのう症と診断された人、あるいは自分がちくのう症ではないかと心配な人は、一度耳鼻科で診断や治療を受けることが大事です。

病気ではなく病人を治す!漢方

 
今回、「漢方」についてお話を伺うのは、九州大学病院、総合診療科、漢方外来担当医師の貝沼茂三郎(かいぬま・もさぶろう)先生です。

■漢方は日本の伝統医療
漢方は中国から伝わって、日本の気候や風土、日本人の体質に合わせて独自に発展した伝統医療です。漢方で用いられる生薬は植物や動物など、自然界に存在する天然物を原料としながら、心身の何気ない不調から慢性疾患にいたるまで、現代医療でも幅広い効能が認められています。
西洋医学では、体を臓器ごとに分けて病気の原因を究明し、その原因を取り除くことで病気を治そうとします。それに対して漢方の場合は、人にはもともと自分で自分の病気を治す力、いわゆる自然治癒力があるという考えから、それを最大限発揮できるように、体全体のバランスを整えて病気からの回復を図ろうとします。つまり病気ではなく病人そのものを診て、治療をしていくという大きな違いがあります。

■漢方の考え方
漢方では患者を診断するのに“証(しょう)”という言葉が使われます。証とは、体質や体型、症状などから患者の状態を総合的に評価した診断結果のことで、この証を決定するために最も重視されているのが、“陰陽”と“虚実”です。
陰陽とは万物は相反する2つの要素、陰と陽で成り立っているという古代中国の思想です。漢方では体の熱を中心に、陰証は新陳代謝が低下して体が冷えている状態、陽証は新陳代謝が活発で体が熱っぽい状態を指します。
虚実とは体質を分類する考え方で、主に病気に対する抵抗力を表します。虚証は必要なものが足りずに体の機能が低下した状態で、病気になりやすい虚弱な体質、実証は余分なものがたまって体の機能が停滞・亢進した状態で、病気に強く反応する強壮な体質を指します。
陰陽や虚実はどれに偏っても病気になりやすく、それぞれの調和が保たれていることを“中庸(ちゅうよう)”と言って、人が本来あるべき健康的な状態とされています。

■気・血・水とは?
虚実や陰陽に並ぶ漢方の代表的な概念が“気・血・水”で、人間の生命活動は気・血・水の3つの要素が循環することで成り立ち、これらが不足したり滞ったり偏ったりした時に、病気や障害が起きてくると考えられています。気というのは、人間にとって最も根源となるようなエネルギーとして考えられています。そしてそれが体の中を循環している物として、血は血液とその働き、水はリンパ液や体液を意味しています。
それぞれのバランスがとれてればいいのですが、1人の患者さんの中に気の異常もあれば血の異常もある、水の異常もある場合が少なくありません。その中で患者さんの病気の中心がどこにあるのかということを、診察によって見つけていきます

■漢方の診察について
患者の証を見極めるために、漢方には五感を駆使した“四診(ししん)”と呼ばれる独自の診察方法があります。四診には目で見る“望診(ぼうしん)”、耳で聞き鼻で匂いを嗅ぐ“聞診(ぶんしん)”、口で質問する“問診(もんしん)”、手で脈や腹を触る“切診(せっしん)”があり、患者が訴える自覚症状と医師が観察した他覚症状を総合的に判断します。
そのため漢方では、初診の場合は30分ほどかけて診察がわれます。正確な診断のために化粧や香水、マニキュアなどはしないで、なるべく自然な状態で受診する必要があります。また切診を行うので、お腹を出しやすい服装で受診するようにしましょう。

■漢方薬の取り扱いに気をつけよう!
漢方薬は1人1人の体質や、病気の状態などに応じて処方されるので、同じ病気や症状だからといって、同じ薬が処方されるとは限らないし、同じ薬でも効き方には個人差があります。たとえ自分と似た症状であっても、素人判断で自分の漢方薬を他人にすすめたり、他人の漢方薬を服用したりせずに、医師や薬剤師の指示をきちんと守ることが大切です。


最近では西洋医学の薬に漢方薬を併用するなど、それぞれの長所を活かした治療の研究も進んでいます。これからの東西医療の連携に期待しましょう。

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