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糖尿病網膜症

 
今回、糖尿病網膜症についてお話を伺ったのは、
九州大学大学院 医学研究院 眼科学分野 講師の江内田 寛(えないだ ひろし)先生です。


■まず糖尿病とは?

糖尿病とは食事などで摂取された糖がうまく代謝されない状態です。
糖尿病にはいくつかの種類がありますが、
我が国では生活習慣の乱れで起こる「2型糖尿病」が
患者全体の95%を占めると言われています。
糖尿病そのものの症状としては口の渇きや全身の倦怠感、
頻尿などが挙げられますが、実際にはそれに伴う「合併症」がより大きな問題とされます。


■糖尿病網膜症とは?

糖尿病による慢性の合併症で“3大合併症”のひとつとして挙げられます。
3大合併症とは糖尿病の網膜症、腎症、神経症です。
糖尿病網膜症とは糖尿病による血糖が高い状態が続くことで
眼球内部を覆う網膜に不具合が起こる疾患です。


■網膜とは

カメラで言うとフィルムに当たる薄い膜で、
光の明暗や色などを神経細胞が感知して脳に伝える働きをしています。
網膜には酸素や栄養を送るための無数の細かい血管が張り巡らされていますが、
血糖が高い状態が長く続くと大きな負担がかかり、血液の流れが悪くなります。
また血管が詰まると、網膜は新しく血管を作って酸素不足を補おうとします。
しかしこの血管はとてももろく眼球内にしばしば出血を起こします。
さらに出血すると網膜にかさぶたのような膜が張り、
網膜がはがれる網膜剥離(もうまくはくり)を起こすことがあります。
糖尿病網膜症でもっとも問題となるのは視力の低下ですが、
かなり進行するまで自覚症状がない場合も少なくありません。


■糖尿病網膜症になりすい人

ひとつは罹病期間です。糖尿病になって10年以上経過してしまうと
糖尿病網膜症になる確率が上がります。
もうひとつは血糖のコントロールです。
血糖のコントロール指標として
「ヘモグロビンA1c」という指標があります。
最近、国際指標になって少し値が変わりましたが、
新しい指標で7.4%を常時超えるようなコントロールやや不良の状態が続くと、
かかる率が急激に上がると言われています。
これに加えてコントロール不良の高血圧や未治療の高脂血症があると、
糖尿病網膜症の発症が上がると言われています。


■糖尿病網膜症の検査

糖尿病網膜症などの眼の検査ではまず視力、眼圧検査、
眼球内を観察する細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査、眼底検査を行います。
また蛍光眼底造影検査では特殊な色素を注射して網膜の血管を撮影し、
病気の進行具合をチェックします。
さらに網膜光干渉断層計“OCT”を使って、
10層からなる網膜の断層画像を撮影し
表面からの観察だけでは分からない網膜の状態を調べる
「OCT検査」を行う場合もあります。


■糖尿病網膜症の治療

糖尿病の網膜症は言うまでもなく糖尿病の合併症なので、
まずは血糖のコントロールが非常に重要です。
これに加えて眼科での治療が行われます。
内科的な治療では血糖のコントロールと併せて、
高血圧や高脂血症があればその治療も進められます。
眼科では、視力が良ければ積極的な治療は行わず病院での定期的な観察が続けられます。
しかし症状が進んだ場合にはレーザー治療や、眼球に小さな穴を開けて器具を入れ、
顕微鏡で見ながら硝子体(しょうしたい)手術が行われる場合もあります。


■まとめ

眼の症状というのは実は糖尿病の症状が出てからでは
比較的もう進んでいることが多いです。
視力が落ちる前から治療が必要になってくる場合が多々あるので、
内科と並行して眼科の定期的な診察を受けることが非常に重要です。

アンチエイジング

 
今回、アンチエイジングについてお話を伺ったのは、
福岡大学医学部 形成外科学 教授の大慈弥裕之(おおじみ ひろゆき)先生です。


■アンチエイジングの意義

人はどういうところで「年をとった」と感じるかというと朝、起きて鏡を見て、
今までなかったしわやしみが出てきた、というあたりではないでしょうか。
それに併せて「自分は老けてしまったなあ」と気持ちも年を取ってしまいます。
またデンマークのある研究者が70歳以上の一卵性双生児を比べて統計を取ったところ、
若く見える人の方が長生きをして、老けて見える方が病気になって早く亡くなるという
結果になりました。見た目というのは健康と非常に関係があると考えられます。


■治療いろいろ@

年齢を重ねるごとに気になってくるお肌の悩みと言えば、しみ・しわ・たるみです。
しみは主に紫外線の影響から、皮膚の表皮層にメラニン色素が沈着した状態で、
比較的安全な治療法としてケミカルピーリングやレーザー治療が広く行われています。

ケミカルピーリングは酸の入った薬剤を皮膚に塗ることで表面を薄くはがし、
皮膚の新陳代謝を促してしみを消す治療法で、
ニキビ跡や小ジワにも効果があるとされています。

レーザー治療はメラニン色素に反応すると熱を発生するレーザー光線を照射して、
しみを破壊する治療法で、より深く照射するとコラーゲンを活性化して、
しわを改善する効果も期待できます。

ただしケミカルピーリング、レーザー治療ともに
治療後の肌は紫外線に敏感になっています。
そのため日に当たるとしみができやすいので、
日焼け止めや帽子といった紫外線対策を徹底して行う必要があります。


■治療法いろいろA

しわやたるみは、以前は伸びきった皮膚を引っ張って余った分を取る「フェイスリフト」という手術しか方法がありませんでした。今は外科的な治療は非常に少なくなり、
代わって注射が8割を占めるようになってきました。
以前から使われていたコラーゲン代わって、最近ではヒアルロン酸や
ハイドロキシアパタイトというものを皮膚の下に注入してしわを伸ばす方法があります。
また、額のしわなどは表情筋という筋肉の収縮によって起きるので
それらをボツリヌス菌の毒素でマヒさせる「ボトックス」と言われる方法も増えています。

さらに最近では様々なお肌の悩みを一気に解消させる「光治療」が広く普及してきました。
光治療は「フォトフェイシャル」とも呼ばれ、カメラのフラッシュのような光を照射して、
肌の広い範囲をごく軽い火傷状態にすることで新しい皮膚の再生を促し、
しみやしわ、たるみを同時に改善します。
ケミカルピーリングやレーザー治療に比べて肌への負担は小さいのですが、
1回では効果が出にくく、一般的には5〜6ヵ月で4回〜8回の治療が必要です。


■治療での注意点

黄色人種と白色人種ではしみのでき方など全然違います。
しかし治療機器はほとんど欧米で開発されたもので、白色人種を対象にしています。
ですから、それらの機器をそのまま東洋人に使用すると、
人によっては、後で思わぬしみや炎症による色素沈着ができることが分かってきました。
そこで最近は日本人に合った条件、あるいはいろいろな機器を組み合わせることによって、より負担が少なく効果が出るものが使われるようになってきました。


■まとめ

皮膚は「ターンオーバー」といって常に若返っているわけですが、
光治療、レーザー、ケミカルピーリングなどは皮膚を刺激することによって
若返りを早くするという治療法です。
さらに幹細胞や血液から採ってきた物質を使った「再生医療」による
美容医療が行われています。
現在はその効果や安全性に対する科学的なデータの検証が進められているところです。

PTSD

 
今回、PTSD(心的外傷後ストレス障害)についてお話を伺ったのは
九州大学病院 精神科神経科 助教の實松 寛晋(さねまつ ひろくに)先生です。


■PTSDとは?@

PTSDとは生命の危機に瀕するような体験をしたあとに出てくるストレス反応が
長期間続いて、生活に支障が出ているような状態を言います。
阪神淡路大震災時には自宅全壊・全焼被災者の約10%の方々が
PTSDを発症したという報告があります。
2年前の東日本大震災についてはまだ正確なデータは出ていませんが、
やはり相当数の患者さんがいるものと推測されます。


■PTSDとは?A

通常、生命の危機を感じるような大きな体験をしたら
誰にでも心身に何らかの症状が起きるもので
そのこと自体に問題があるわけではありません。
またそれらの症状は時間の経過や医療機関などでの適切な対処によって
次第に改善することが多いといわれています。
しかし人によっては症状が消えることなく長く続いて、
普段の生活に支障をきたす状況になります。これがPTSDです。


■PTSDの発症要因

自然災害や交通事故、性暴力被害、配偶者間の暴力、虐待などが挙げられます。


■PTSDの症状

3大症状として再体験症状、回避・麻痺症状、過覚醒症状があります。
再体験症状では、過去の不快で苦痛な記憶が突然よみがえる
“フラッシュバック”という症状が出現します。
さらに思い出した際に気持ちが動揺したり動悸や発汗が起こったりします。
回避・麻痺症状では過去の体験を話すことや、
それを思い出すような状況を避け、
生き生きとした感情が麻痺したように感じます。
過覚醒症状では、睡眠障害やイライラ感、集中することが困難になる、
過剰な警戒心が起こるなどいった過敏な反応が見られます。


■起きやすい人とは?

PTSDは誰にでも起きる可能性があるとされていますが、
特にストレスに弱い人や、これまでに同じようなストレスやトラウマの体験が
あるような人には起きやすいと言われています。
また自然災害においては、一人暮らし、家族に介護者がいる、
家族以外に関わる人がいない、体に疾患がある、高齢であるなど
何らかの社会的なサポートを必要とする人はPTSDを発症しやすいと言われています。


■PTSDの予後

PTSDは発症してだいたい1年後で3〜4割ぐらいの人は回復して、
発症後6年経つと6割ぐらいの人は改善してくると言われています。
ただ裏を返せば6年経っても4割の人はまだ症状に苦しんいることになるので
そういう人たちに対して早く回復をする手助けをするために
治療が必要になってきます。


■PTSDの治療

大きく分けて薬物療法とカウンセリングがあります。
薬物療法では“SSRI”という抗うつ薬の処方が中心ですが、
それだけで効果が不十分な場合では症状に応じて他の薬も併用されます。
またカウンセリングでは“トラウマ焦点化精神療法”が有効とされています。
PTSDの患者さんは過去のつらい体験の記憶が適切に処理されず
断片的に残ることでその頃のことが突然よみがえると考えられています。
トラウマ焦点化精神療法は安全な環境の下で
本人に当時のことを思い出し語ってもらうことで記憶の再処理を行う治療法です。


■先生よりまとめ

(※實松先生の所属する九州大学精神科チームは
2011年に福島県いわき市で心のケア活動を行いました)
実際、被災者の方はですね、
なかなか自分が精神的な問題を持っているというふうには
思われない方が多くて、心の相談窓口を作っても
そこに来てくれるような方は少なかったです。
今回の話を聞いて、みなさん自身やみなさんの周りに該当するような症状がある方が
おられれば専門の機関に気楽に相談していただけたら良いかと思います。

抗酸化力

 
今回、抗酸化力についてお話を伺ったのは、
国立病院機構 九州医療センター 名誉院長、博多駅前かしわぎクリニック院長の
柏木 征三郎(かしわぎ せいざぶろう)先生です。


■抗酸化力とは

体内で生まれた“活性酸素”の働きを抑える力のことです。
活性酸素はほとんどの生活習慣病の発症に関係していると言われています。


■活性酸素とは@

通常、呼吸によって酸素が体内に入ると、
その一部が他の分子と結びついて活性酸素に変化します。
活性酸素は体の酸化、つまりは“老化”に
大きな影響を与えているとされています。
また活性酸素は細胞やDNAを傷つけたり、
体の免疫力を低下させることから、
がんの発症にも密接な関係があると考えられています。
さらに慢性の炎症が体内にあると活性酸素がたくさん出ると言われています。
慢性の炎症疾患、例えば関節リウマチでは呼吸で生まれるものとは別に
体内に活性酸素がたくさん生まれると言われています。
また血管の老化現象である動脈硬化も慢性の炎症性疾患とされ、
脳梗塞や心筋梗塞といった深刻な病気の原因となります。


■活性酸素とはA

活性酸素は通常の呼吸の他に、肉体的にきつい作業や激しいスポーツをするなどして
大量に酸素を消費したときにも多く生み出されます。
その他にも喫煙やお酒の飲みすぎ、肥満、ストレス、排気ガス、紫外線など、
現代社会は活性酸素を生み出すものが実に多く存在しています。


■活性酸素の働きを抑えるもの

それは抗酸化物質と言われています。
別名“抗酸化ビタミン”とも言われる ビタミンA、C、E。
野菜や果物に含まれる化学成分“ファイトケミカル”に属する
ポリフェノール、リコペン、カロテノイド、カテキンなどがその代表格ですが、
そういう物質の中でビタミンCが最も抗酸化力が強いと言われています。
ビタミンCに関するトピックスとしては
最近、脂溶性の“ビタミンCパルミテート”という物質が開発されました。


■ビタミンCパルミテートとは

ビタミンCは水溶性なので野菜や果物などから体に取り込まれても、
長く体内に留まることができず、
多くは尿として体外に排出されてしまいます。
一方、脂溶性のビタミンCパルミテートは長く体内に留まって、
細胞内にまで深く浸透できるため、
活性酸素の働きをより効果的に抑えるとされています。
ビタミンCパルミテートは現在、
一部のサプリメントに含まれる形で使用され始めていて、
新しい抗酸化物質ということで期待がもたれています。


■まとめ

ビタミンCは本来、野菜や果物といった食物からの摂取が望まれますが、
“野菜離れ”の進む現代ではサプリメントでの摂取も有効とされているので
栄養補助食品として上手に利用することもひとつの方法です。

海外旅行外来

 
今回、海外旅行外来についてお話を伺ったのは、
久留米大学医学部 臨床感染医学部門 主任教授の渡邊 浩(わたなべ ひろし)先生です。


■海外旅行外来とは?

旅行や仕事などで海外に出向く人を対象にした相談窓口で、
渡航先で流行している感染症にかからないためのワクチン接種や
現地で病気にかかった時の対処法、留学するために必要な英文の診断書を作成するなど、いろいろなアドバイスを行っている外来です。


■海外で注意したい感染症

食べ物や飲み物から感染するA型肝炎や下痢症、
インフルエンザのように国内でも見られる病気が流行している事があります。
発展途上国では蚊に刺されることで感染するマラリアやデング熱、
性行為で感染するB型肝炎や梅毒、動物から感染する狂犬病、
傷口から感染する破傷風などに注意が必要です。


■注意点@

ワクチンはすぐに効くわけではありません。
効果が出てくるまでに数週間かかり、
2回3回打って有効性が出てくるワクチンもあります。
出発前までに1ヵ月以上はゆとりを持って受診しましょう。


■注意点A

感染症の予防はワクチン接種さえしておけば安心という訳ではありません。
日本では根絶しましたが海外では未だに狂犬病が発生しています。
有効な治療法はなく、犬以外の動物も感染源になるので、
動物にはむやみに近づかないようにしましょう。
虫の中でも特に蚊はマラリアやデング熱といった病気を媒介しますが、
マラリアには有効なワクチンがなく、
デング熱には根本的な治療法がありません。
なるべく夜間の外出を控え、防虫スプレーや肌を露出しない服装で、
蚊を寄せつけないようにしましょう。

衛生状態が悪い地域では生水や氷、生の野菜や果物、肉、魚介類から
肝炎やコレラ、赤痢に感染する恐れがあります。
欧米でも加熱が不十分な肉から肝炎や
O-157への感染が報告されているので注意しましょう。

発展途上国では下水処理が不十分なため、
川や湖が感染症の病原体や寄生虫で汚染されていることがあります。
衛生管理の行き届いたビーチやプール以外では泳いだり
足を水に浸したりするのはやめましょう。

旅行に行く際には傷害保険に入り、
渡航先で医療を受けられるようにしておきましょう。
また多くの傷害保険は帰国後2週間までは
日本にはない感染症になった場合に治療費が出る設定がなされているので
帰国後に何らかの症状が出た場合には病院で渡航先など情報を正確に伝えましょう。


■まとめ

海外旅行外来は年々増加していますが、地方ではまだ少ないのが現状です。
日本渡航医学会では2年前からトラベルクリニックサポート事業を始めていて
クリニック立ち上げのノウハウや運営方法などの指導を行っています。
これによって九州にも少しずつですが海外旅行外来が増えてきています。

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