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のりもの酔い

 
今回、のりもの酔いについてお話を伺ったのは、
九州大学病院 耳鼻咽喉科 助教の久保 和彦(くぼ かずひこ)先生です。


■のりもの酔いとは?

乗り物に乗ったときに起こる不快な症状のことで、
“動揺病”という医学的な病名があります。
自動車や電車、船など近代文明の発達で生まれた
「乗り物」に由来する病気だけに、
広い意味では“現代病”と言えるかもしれません。


■のりもの酔いの仕組み

人がバランスをとるためには大きく3つのシステムがあります。
ひとつは目で見た情報“視覚”です。
2番目が耳からの情報“平衡覚”です。
3番目は筋肉の収縮具合や関節の角度からくる
“深部知覚”と呼ばれるものです。
これらを脳が整理して体のバランスを保っています。
しかし乗り物に乗って予測できないような体の揺れが起こると、
人によっては脳が体からの情報をきちんとまとめることができなくなります。
すると実際の揺れ具合と自分がイメージした揺れが一致しなくなって、
のりもの酔いが起こります。


■のりもの酔いの症状

頭の中で視覚の情報と平衡覚の情報が一致できないと
その情報が“おう吐中枢”という脳の組織に伝わってしまいます。
すると自律神経に乱れが生じて症状が起こります。
のりもの酔いの症状はあくびや気分の不良、胃の不快感などで始まり、
ひどくなると吐き気やおう吐、冷や汗、顔面蒼白、頭痛、
さらに人によってはめまいを自覚することがあります。


■のりもの酔いを起こしやすい人

のりもの酔いを起こしやすいのは小学生から中学校の前半です。
小さいころは脳が発達段階であるために
目で見た情報と耳からの平衡覚の情報を上手に照らし合わせるのが
大人ほどうまくできないと考えられています。
本来は小学生〜中学生前半で治まることが多いですが、
一部の人が大人になってものりもの酔いを起こします。
大人になっても のりもの酔いが続く理由としては
以前、症状が起きてとても不快な思いをした、
それで周りから冷たい視線を浴びたなど
過去のつらい経験が影響していると考えられています。


■先生よりまとめ

のりもの酔いは起こってからでは遅いのですが、
みなさん、起こってから何かをしようと考えがちです。
最も重要なのは事前に起こらないようにどれだけの準備ができるか、
そして乗り物に乗るときに“自分は大丈夫だ”と暗示をかけることが重要です。
事前の準備をしっかりして乗り物に乗っていただきたいと思います。

免疫

 
今回、免疫についてお話を伺ったのは、
福岡大学病院 総合診療部 部長・准教授の鍋島 茂樹(なべしま しげき)先生です。


■免疫とは?

私たち生物は常に外敵、つまり病原微生物の侵入に晒されています。
免疫とは外敵から体を守る、一連の生体防御システムのことを言います。
免疫の働きを司るのが免疫細胞と呼ばれる白血球です。
数多くの病原微生物に対処するため白血球には様々な種類があって、
それぞれに異なる働きをしています。


■白血球とは?

白血球を大まかに分類すると、およそ60%が好中球で35%がリンパ球、
5%がマクロファージから構成されています。
皮膚や粘膜といった一連のバリアを破って体内に病原微生物が侵入すると、
まずは好中球とマクロファージが細菌を食べて排除しようとします。
一方でリンパ球の一種であるナチュラル・キラー細胞が常に体内をパトロールしていて、
ウイルスに侵された細胞を見つけると攻撃して破壊します。
こうした働きは生まれながらに自然に備わっているため
“自然免疫”と呼ばれていて、
これで細菌やウイルスを撃退できない場合は
マクロファージが信号を発信して、“獲得免疫”が発動します。


■獲得免疫とは?

リンパ球が担当する最も強力な免疫で、
様々な細菌やウイルスに感染することで初めて獲得することができます。
一度感染した細菌やウイルスの特徴を記憶して、次に同じ細菌やウイルスが
体内に入ってきた時にすみやかに対抗策を練ることができるため、
発症の予防や症状の軽減につながります。


■獲得免疫のしくみ

病原微生物を食べたマクロファージからの信号は、
リンパ球の一種であるT細胞がキャッチします。
するとT細胞は分裂増殖して同じ病原微生物に感染した細胞を探して排除する、
キラーT細胞へと分化します。さらに同じリンパ球の一種で、
細菌やウイルスを直接攻撃する抗体というタンパク質を作るB細胞が連携して、
病原微生物を効果的に排除します。
こうした獲得免疫の仕組みは、細菌やウイルスだけではなく
がん細胞に対しても有効で、自然免疫と獲得免疫が
状況に応じて適切に働くことで私たちの健康は保たれています。


■免疫を弱体化させる要因

最も大きな要因は薬の乱用です。
特に発熱は免疫を活性化させるために必要な生体反応なので、
安易に解熱剤や鎮痛剤を服用すると免疫力の低下につながります。
また殺菌作用のある抗生剤を長期に渡って服用すると、
その抗生剤に対する耐性菌が生まれる可能性があり、
より強力な抗生剤が必要になります。
抗生剤だけで病原菌を排除しようとしないで病原菌の増殖をある程度抑えながら、
その人が本来持っている免疫力で病原菌を排除していくことが大切です。


■まとめ

免疫は様々な作用があり全ての免疫細胞を強化する物質というのはありません。
特定の免疫のみが強化されると、逆に自己免疫疾患になる危険があります。
例えば漢方薬では自然免疫の一部を強化することが分かっていて、
特に補中益気湯や人参湯などの漢方薬は感染症の予防に効果があると言われています。
また肥満になってしまうとインフルエンザなど
感染症が重症化しやすいということが分かっています。
過度のストレスを避け、栄養バランスのとれた食事を腹八分とることを心がけて、
また規則正しい生活に努めることが免疫力の強化につながると思います。

頭痛

 
今回、頭痛についてお話を伺ったのは、
九州大学大学院 医学研究院 神経内科 准教授の村井 弘之(むらい ひろゆき)先生です。


■頭痛とは?

読んで字のごとく頭が痛いことです。
みなさんの周りにも“頭痛持ち”の人、多くないですか?。
ある統計によると、実に日本人のおよそ3人にひとりが頭痛に悩んでいるとされています。


■頭痛の種類と症状

疾患に由来しない“普通の頭痛”である「一次性頭痛」。
何らかの疾患に由来する「二次性頭痛」、さらに「神経痛による頭痛」があります。


■一時性頭痛とは

一次性頭痛のひとつが“片頭痛”で、
女性に多く、頭の片側がズキンズキンと脈を打つように痛みます。
また吐き気を伴い、光や音に敏感になることがあります。
さらに前ぶれ症状として目の前がチカチカしたり、ギザギザ模様が見えることもあります。
血管に分布している三叉神経に何らかの原因や刺激が加わると
その末端から“神経ペプチド”という物質が放出されます。
これが血管を拡張させて片頭痛が起きると言われています。

もうひとつが“緊張型頭痛”で頭全体や後頭部が締めつけられるように痛んだり、
頭が重く感じるもので、しばしば首や肩のこりを伴います。
これは長時間のデスクワークや悪い姿勢などで
首や肩、背中の筋肉が緊張し、血流が悪くなることで起こります。
またストレスも要因となります。
さらに片頭痛を併せ持つ場合も少なくありません。


■二次性頭痛とは

二次性頭痛には実に多くの種類があります。まずは血管障害で、
脳の血管障害で頭痛を起こすものの代表として“くも膜下出血”があります。
これは脳にできた脳動脈瘤というこぶのようなものが破裂して起きるもので、
これまで経験したことがないような頭痛が突然起きるのが特徴です。
また血管の壁が裂けるようなタイプの脳梗塞で起こることがあります。
その他にも脳腫瘍などの病変があったり
脳を覆う髄膜(ずいまく)に炎症が起こる髄膜炎でも頭痛が起こることがあります。
また副鼻腔炎、いわゆるちくのう症や、緑内障、歯の疾患など脳以外の病気、
他、“うつ”やストレスといった精神的な要因で引き起こされることもあります。


■神経痛による頭痛とは

神経痛としては代表的なものは後頭神経痛と三叉神経痛です。
後頭神経痛は頭の後ろから頭のてっぺんにかけての痛みを呈することが多いです。
また三叉神経痛は顔面のビリッとしたような痛みが特徴的です。

頭痛にはこのようにさまざまな種類があり、
頭痛と併せて別の症状を伴っている場合には注意が必要です。


■頭痛の治療

片頭痛の場合は頭痛が軽い場合には市販の鎮痛薬で十分ですが、
頭痛が激しい場合には「トリプタン製剤」と呼ばれる薬剤を処方します。
最近では片頭痛の予防薬もあるので発作回数の多い人は主治医にご相談ください。
また薬は長い期間に渡って多くの量を服用すると
かえって頭痛を引き起こすことがあるので用法や用量、医師の指示を守って使いましょう。

一方、緊張型頭痛では鎮痛薬の他に湿布や筋肉をほぐすような薬が処方されます。
また二次性頭痛ではもともとの疾患の治療が大事です。


■先生よりまとめ

頭痛は病気とみなされていなかったような面があります。
しかし「頭痛は病気」という認識でとらえることが重要です。
またストレスや生活リズムの乱れで頭痛が増悪する場合もあるので、
生活リズムや環境の改善も重要です。

過敏性腸症候群

 
今回、過敏性腸症候群についてお話を伺ったのは、
九州大学病院 心療内科 教授の須藤 信行(すどう のぶゆき)先生です。


■過敏性腸症候群とは

大腸や小腸に異常がないにもかかわらず、
便秘や下痢、腹痛、腹部の不快感などの症状が続く病気です。
便通異常の他に食欲不振や腹部膨満感、吐き気、おなら、頭痛などの身体症状を伴い、
食事をとると悪化して排便すると治まる傾向にあります。
また睡眠中には症状が出ないといった特徴もあります。


■過敏性腸症候群の種類

便通の様子から便秘型、下痢型、混合型の三つに分けられます。
便秘型は女性に多く、排便の前にお腹が苦しくなることがありますが、
トイレに行っても便が出なかったり、
出てもウサギの糞のようなコロコロとした固い便しか出なかったりします。
下痢型は男性に多く、些細な緊張がきっかけで腹痛が起きて、
一日に何度もトイレに行きたくなるなど慢性的な下痢に悩まされます。
混合型は男女ともに患者のおよそ半数を占める最も多いタイプで、
数日おきに便秘と下痢を交互に繰り返すのが特徴です。


■過敏性腸症候群の原因

充分には解明されていません。
しかし緊張や不安といったストレスによって腸の働きを司る自律神経のバランスが乱れ、大腸全体が痙攣すると下痢となって、
肛門に近い部分が一部痙攣すると便秘になると考えられています。
比較的神経質でデリケートな性格の人に多く、
家庭や職場での人間関係のストレス、転居や転職などによる環境の変化、
過労や暴飲暴食が引き金となって発症することが多いです。
また過敏性腸症候群による様々な症状がストレスとなって、
さらに症状が悪化するという悪循環に陥ってしまう人が少なくありません。


■過敏性腸症候群の治療

食事療法や運動療法による生活習慣の改善で朝の排便を習慣づけることから始めますが、
それで十分な効果が得られない場合は薬物療法が行われます。
処方される薬は整腸剤から向精神薬まで症状に応じて様々ですが、
最近になってストレスの影響で腸の粘膜から分泌されるセロトニンという神経伝達物質が、
腸を痙攣させて下痢を引き起こすことが分かってきました。
そこでこのセロトニンの作用を抑えて腸にまでストレスが響かないようにする
「セロトニンタイプスリー受容体拮抗薬」が新たに登場し、
下痢型の男性向け治療薬として注目されています


■その他に…

過敏性腸症候群の発症にはストレスが深く関わっていますので、
ストレスに対する考え方や気の持ちようを自分でコントロールできれば、
症状をある程度抑えることができます。
そこで効果的なのが心理療法の1つである「自律訓練法」になります。
自分自身を暗示によってリラックスした状態にすることで、
ストレスや緊張で乱れた自律神経のバランスを整えて、
腸の状態を正常に導くというものです。
自律訓練法を習得するには専門の臨床心理士の元でしばらく練習する必要があります。
慣れれば電車の中や自宅などどこでもリラックスできるようになって、人によっては
これだけで過敏性腸症候群の症状をコントロールできるようになる場合があります。

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