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膵がん

 
今回、膵がんについてお話を伺ったのは、
九州大学大学院 臨床・腫瘍外科 教授の
田中雅夫(たなか まさお)先生です。

■膵がんの症状

膵がんは症状がでないことで有名ながんです。
でる時には黄疸や腹痛、背中の痛み、
消化不良による下痢などが見られますが、それらは通常、
がんが大きくなってからしか出ないと言われています。

症状が出る前に膵がんが分かるヒントになるのが糖尿病です。
がんができたために膵管が塞がり、
膵臓が働けなくなって起こることが多いとされています。
中年を過ぎて糖尿病が突然出た人は注意が必要です。
また特に不養生をしているわけではないのに
糖尿病が悪くなるというような場合では
膵臓専門医に診てもらう必要があります。


■膵臓と膵がん

膵臓は体の奥深くにあって他の臓器に隠れているので
一般的な画像検査では状態が分かりにくく、
膵がんの発見が遅れがちです。
また膵がんは他のがんと違って周囲の組織に拡がりやすく、
さらに膵臓の周りには太い血管やリンパ節があるため、
がんが全身に転移しやすいという特徴があります。
がんが周囲のリンパ節や組織にまで広がった状態は
”進行がん”と呼ばれ、膵がんは発見された段階で
すでに進行がんになっていることが少なくありません。


■膵がんの危険因子

喫煙は膵がん発症のリスクが2倍になることが知られていて、
肺がんや膀胱がんなどと併せて危険因子になります。
また血のつながった親族に膵がん患者がいると、
膵がんにかかる確率が13倍に増えるという報告があります。
喫煙している人はできるだけ早いうちにタバコをやめて、
喫煙習慣がない人も40歳を過ぎたら毎年、
膵臓の検査を受けることが大事です。


■膵がんの検査

まず初めに超音波検査やCT検査といった画像検査が行われます。
そして膵がんが疑われると胃や十二指腸まで内視鏡を入れて、
膵臓のすぐ近くから超音波を照射する超音波内視鏡検査や、
膵臓に造影剤を注入してX線で撮影する膵管造影検査が行われます。
ただし膵がんは、正常な組織の中に
しみ込むように広がっていくため、
超音波検査やCT検査では がんの輪郭が分かりにくく、
早期の膵がんを見逃してしまうことも少なくありません。
ところが最近では画像検査で見つけやすい
IPMNと呼ばれる膵臓の病気が
膵がんの早期発見につながるとして大きな注目を集めています。


■IPMNとは

膵管内乳頭粘液性腫瘍という非常に長い名前ですが、
膵臓の中を流れている管に粘液を作る腫瘍ができて、
その部分がプクッと膨れて袋状になるという病気です。
IPMNはそれ自体が大きくなっていくとがん化していく
ということが分かっています。
さらに最近、IPMNは膵臓の他の部分にも
膵がんを作ることがあるということも分かっています。
IPMNは60歳以上では千人に1人
という頻度が報告されています。
IPMNは非常に見つかりやすい病気なので、
見つかったら放置せず、
早く膵臓専門医を受診することが非常に重要です。

熱中症

 
今回、熱中症についてお話を伺ったのは、
九州大学病院 救命救急センターの
藤 毅一郎(ふじさき きいちろう)先生です。

■体温調節の仕組み

人間の体温調節は
「放熱」と「発汗」の2つでコントロールされます。
放熱とは皮膚から空気に熱を逃がすことで
体温を下げようとする働きです。
発汗では皮膚から汗が蒸発する時に気化熱が発生し
皮膚の温度を奪います。
これによって体温が下がるという仕組みになります。
つまり気温が低ければ皮膚から体温が逃げやすく、
湿度が低ければ皮膚から気化熱が発生しやすい
という状況になります。

ところが気温が体温より高くなると
皮膚から空気中へ放熱するのが難しくなってしまいます。
さらに湿度が75%を超えると汗をかいても流れ落ちるばかりで、
ほとんど蒸発しなくなるため、
体温調節を上手くコントロールできなくなって、
熱中症になってしまうのです。
特に子どもやお年寄りはもともと体温を調節する体の機能が弱く、
熱中症になりやすいので注意が必要です。


■熱中症の特徴

熱中症は野外や炎天下で発生しやすいと思われがちですが、
室内でも湿度の高い環境であれば起こります。
また真夏よりも梅雨明け直後の方が起こりやすいとされています。
梅雨明け直後の気温が急激に上昇する時期は
人間の体がまだ暑さに慣れておらず、
上手く体温を調節することができにくいのがその理由です。

また体温が37℃を超えると
皮膚の毛細血管が拡張して血液量が増えることで、
皮膚からの放熱を促して体温を下げようとします。
すると血液の分布が皮膚に偏ってしまうために
肝臓や腎臓をはじめとする重要な内臓への
血流が不足することになります。
そのため熱中症を放置すると内臓や脳がダメージを受けて、
重い臓器障害や意識障害を引き起こすことがあり、
場合によっては死に至ることもあります。

■熱中症の症状

大きく分けてT度、U度、V度に分けられます。
I度は比較的軽症で、基本的には安静にして
体を少し休めることで対処が可能です。
U度は強い倦怠感や嘔吐が主な症状ですが、
水や塩分を取ったりすることができなければ
医療機関を受診した方がよいと思われます。
V度は重症で、意識が悪くなる・けいれんを起こす
といった時には救急要請をして医療機関に搬送します。
放置すると重症化することがあるので、
早く見つけて早く治療・対処することが重要です。


■熱中症予防のポイント

十分な水分を取ることが大事です。
のどが乾いたと感じた時には
かなり脱水が進行している可能性があるので
できるだけこまめに水分を取ることを心がけて下さい。
特に高齢者は のどの渇きに気づきにくい
とされているので注意が必要です。
また急激に体重が減少したり、
血圧が下がっているときは脱水症状の可能性があります。
日頃から体重や血圧をこまめにチェックすることで
熱中症を防げるかも知れません。


■まとめ

昨今は節電の影響でエアコンの使用を控えている人も多く、
室内でも気温が上がりがちです。特に乳幼児やお年寄りは
自分で体温調節が難しいとされているので、
周りの人が気にかけてあげて、
熱中症を見逃さないことが大切です。

水虫

 
今回、水虫についてお話を伺ったのは
松田ひふ科医院 院長の松田 哲男(まつだ てつお)先生です。

■水虫の現状

水虫の患者さんは現在およそ2500万人いて、
日本人の5人にひとりは足に水虫を持っていると言われています。
水虫というと“中高年の病気”という感じがすると思いますが、
最近は女性の患者さんも非常に増えていて、
男女差はほとんどなくなっています。


■水虫の特徴@

水虫とは「白癬菌」というカビが
皮膚や爪に感染して起こる病気です。
高温多湿な環境を好むので梅雨の時期から夏の間は
活動が盛んになります。
水虫は最近、社会進出が増えたことや、
夏場でもブーツを履くことなどから女性にも増えています。
さらに親からの感染などを通して
子どもにも多く見られるようになりました。
また白癬菌が足から股やお尻、わき、
耳などにうつることもあります。


■白癬菌は…

白癬菌は感染すると皮膚の一番外側の角質層に住み着き、
そこに含まれる“ケラチン”というタンパク質を栄養源にします。
やがて古くなった角質と一緒にこぼれ落ちますが、
髪の毛などに含まれるケラチンを食べて
ときに数ヵ月生き続けます。
白癬菌が皮膚に付着しても即感染というわけではありませんが
ジメジメした環境だと可能性は高まります。
白癬菌は皮膚がふやけたお風呂上がりにもっとも落ちやすく、
また付着しやすいとされています。
主な感染場所は足拭きマットやタオル、
共用のスリッパやサンダルなどです。


■水虫の特徴A

多くの水虫患者さんは何年も白癬菌を持ち続けています。
そして気候がジメジメとしてきたころ、
足の環境もジメジメとなって白癬菌が増えてくるとかゆい、
皮がむけるといった自覚症状が出てきて
水虫に気がつくということになります。


■水虫の種類

水虫には「小水疱(しょうすいほう)型」、
「趾間(しかん)型」、「角質増殖型」があります。
「小水疱型」では足の裏側や淵、
指の間に小さな水ぶくれができて、
激しいかゆみや痛みを伴います。
「趾間型」では足の指の間が赤くふやけたり皮がむけたりして、
こちらもかゆみを伴います。
「角質増殖型」は長く水虫を患っている人に多く、
足の裏が厚くなってガサガサになります。
かゆみはありませんが、ひどくなると
ひび割れを起こすことがあります。
その他、しばしば手荒れや湿疹と間違われる「手白癬(てはくせん)」。
次第に爪全体が分厚くなる
「爪白癬(つめはくせん)」にも注意が必要です。


■ほおっておくと…

趾間型、小水疱型では患部から黄色ブドウ球菌など
別の菌が奥に入っていって足が腫れ上がる
“蜂窩織炎(ほうかしきえん)”を起こすことがあります。
それがひどくなると歩けなくなるというようなことも起こります。


■水虫の治療法

水虫の治療は種類によって変わります。
「小水疱型(しょうすいほうがた)」と
「趾間型(しかんがた)」は塗り薬で治します。
白癬菌がいるのは患部だけ、
症状の出ている方の足だけとは限らないので
塗り薬は患部はもちろん、
足全体にそして両足に塗ることが大切です。
またひと月塗っても3割程度の人には
まだ白癬菌は残っているとされています。
処方薬、市販薬を問わず最低でも
2ヵ月間はしっかり塗り続けましょう。
一方“角質増殖型”や“爪白癬”では
飲み薬を使うことになります。


■水虫の予防、対策

水虫にならないためには日頃から足、
特に指の間を石鹸でやさしく洗いましょう。
強くゴシゴシこすると皮膚が傷ついて感染しやすくなるので注意が必要です。
そして水虫になってしまったら同じ靴を続けて履かないなど、
足を高温多湿の環境に長く置かないことが大切です。
また靴下は1日2足使うようにすると効果的です。
さらに家族など周りの人にうつさないよう、
足ふきマットやタオルは別にする、素足で部屋を歩かない、
スリッパやサンダルは共用しない事などが大事です。
なお白癬菌は洗濯すると流れてしまうので
洗濯物を分ける必要はありません。


■先生よりまとめ

水虫だと自己判断して薬をつけたけれど全然治らない
というケースでは、実は水虫ではなかったということも多いです。
できるだけ皮膚科専門医を受診して、
正しい診断のもとに正しい治療を受けるようにしてください。


■補足

かゆみなどの症状がおさまったことで
勝手に薬を止めてしまう人が多いようです。
症状が無くなっても白癬菌がまだ潜んでいることも少なくないので
本当に白癬菌を退治できたかどうか、
顕微鏡でしっかり診てもらうようにしましょう。

痛風

 
今回、痛風についてお話を伺ったのは
福岡大学病院 整形外科 教授の
内藤正俊(ないとう まさとし)先生です。

■痛風の原因

痛風の原因は体の中に溜まった尿酸という物質です。
尿酸は誰でも血液などの体液に一定量が含まれていて、
血液中の尿酸の量を示す尿酸値が7.0mg/dLを超えると
高尿酸血症と診断されますが、
この段階では自覚症状は全くありません。

ところが高尿酸血症の状態が長く続くと、
もともと液体に溶けにくい尿酸が結晶化して、
関節やその周辺に沈着していきます。
すると体を守る免疫機能が尿酸の結晶を異物と判断して
白血球が攻撃するために、炎症が引き起こされて痛みが生じます。
これが痛風発作です。

痛風発作は関節ならどこにでも起きる可能性がありますが、
90%以上はひざから下で、
特に足の親指の付け根が全体の7割を占めています。


■尿酸が溜まるメカニズム

尿酸は細胞の新陳代謝や食事によって取り込まれた
プリン体が肝臓で代謝されることで
発生します。つまり細胞が生命活動をする中で、
老廃物として尿酸が作られているのです。
健康な人の場合、体内には常に一定量の尿酸が蓄積されていて、
その半分以上が毎日入れ替わっています。
尿酸は体内では分解できないため、
そのまま尿に溶け込んでおよそ8割が排泄され、
残りは汗や便と一緒に排泄されます。
ところが栄養の過剰摂取やアルコールの飲み過ぎ、
精神的ストレス、運動不足などから、
尿酸の生成と排泄のバランスが崩れると、
尿酸が体内にたまっていくと考えられています。


■注意点

尿酸は関節だけでなく、様々な臓器にも沈着していきます。
特に腎臓は尿として処理しきれなかった尿酸が溜まりやすく、
腎機能が低下して腎不全や尿毒症を起こしたり
尿に溶けきれない尿酸が尿の通り道で結晶化して
尿路結石を起こすこともあります。
また痛風患者のおよそ6割は脂質異常症、
およそ5割は高血圧を併発しているとも言われていて、
さらに肥満や糖尿病を合併していることも少なくありません。
これらの病気が互いに悪影響を及ぼし合って、
心筋梗塞や脳血管障害を発症する恐れが高まることが分かっています。


■痛風の症状

痛風発作の激痛は何もしなくても
2〜3日で痛みのピークは過ぎて、
1〜2週間もすれば痛みが治まってしまいます。
そのため治療をせずに放置してしまう患者さんも
少なくありませんが、痛みがなくても病気は確実に進行するので、
合併症を招く前にきちんと治療することが大切です。


■痛風の治療

痛風の治療は尿酸値を正常な値まで下げて
発作の再発と合併症を防ぐことを目的に、
まずは生活習慣の改善から始めます。
暴飲暴食をやめてウォーキングなどの有酸素運動を
1回20分以上、週3回を目安に行い、
1日2ℓの水分補給で尿酸の排泄を促します。
それでも尿酸値が下がらない場合は
内服薬による治療が行われます。

ただし尿酸値が下がったからといって服用をやめると
元の状態に戻ってしまうので、
薬はきちんと飲み続けることが大切です。


■痛風発作時の注意点

関節に炎症が起きている状態なので、
とにかく患部を冷やすことが大切です。
氷や湿布などでしっかり冷やして、
患部を心臓の位置より高くするといくぶん痛みが和らぎます。
中には痛みをまぎらわそうと
お酒を飲んだりマッサージをする人もいるようですが、
患部の炎症を悪化させて痛みが強くなるだけです。
またアスピリン系の痛み止めを飲むと
かえって関節炎が長引くことがあります。
自己判断で市販薬を飲んだりせずに、
早めに整形外科で診察を受けましょう。


■まとめ

これからの季節、ビアガーデンで暑気払いなんてことが多いかも…。
痛風といえばプリン体の多いビールが目の敵にされますが、
実はアルコールそのものに体内の尿酸を増やす作用があります。
ビールに限らず、お酒はたしなむ程度が無難ですよ。

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