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宗像 沖ノ島〜祈りの原点をたずねて〜

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便失禁

 
今回、便失禁についてお話を伺ったのは、
大腸肛門病センター くるめ病院 院長の
荒木靖三(あらき やすみ)先生です。


■概要

便失禁で悩んでいる人は全国に500万人以上とも言われていて、
高齢者はもちろん、20代で発症することもあります。
ところが便が漏れてしまう恥ずかしさから、
誰にも相談できずに1人で悩みを抱え込んでしまって、
患者の9割以上は病院を受診していないと考えられています。


■便失禁とは

便がパンツに漏れることを「漏便」と言いますが、
ズボンやスカートにまで漏れ出てしまうのが便失禁で、
それで社会的・衛生的に困るということが
便失禁の定義になっています。
便失禁は大きく、「漏出性(ろうしゅつせい)便失禁」と
「切迫性便失禁」に分かれます。

「漏出性便失禁」は便意がなくて知らない間に漏れる、
「切迫性便失禁」は便意があるものの間にあわなくて漏れるもので、
その両方を掛け持った「混合性便失禁」もあります。
一般的な頻度でいうと「漏出性便失禁」が約半分、
「切迫性便失禁」が15%前後、
残りが「混合性便失禁」だといわれています。


■便失禁の原因

便失禁の原因で最も多いのが
無意識に肛門を締めている内肛門(ないこうもん)括約筋の機能低下で、
加齢などによってその力が弱くなると「漏出性便失禁」を生じます。
さらに、意識して肛門を締める
外肛門(がいこうもん)括約筋の働きが衰えると、
排便を我慢できずに「切迫性便失禁」が起こります。
他にも肛門の手術や自然分娩での出産で肛門括約筋の一部を損傷したり、
脊髄の障害による神経の損傷で便意が分からなくなったり、
肛門括約筋にも神経にも問題はないのに、
過敏性腸症候群で過剰な便意を催したりして
便失禁を発症することがあります。


■便失禁の治療法

便失禁の治療では、まず保存療法が行われます。
その中に1週間の食事内容を具体的に記入する「食事日記」があり、
朝・昼・夜の食物繊維の量などを書いていきます。
それを見ることによって、食物繊維はどういう物を摂ったらいいか、
などを提示します。

食物繊維の摂取量について厚生労働省は
1日当たり22gを推奨していますが、
患者さんでは10g程度と非常に少ないです。
そういう状況の中で便が緩くなって漏れる人が多いので、
食生活の改善が行われます。
次に肛門括約筋を締める訓練や
直腸の中の便意を感じ、排出させるという、
「バイオフィードバック療法」がありますが、
食事療法と併用することで約7割の人に改善が見られるといわれてます。

しかし肛門括約筋の損傷が便失禁を引き起こしている場合は
手術が検討されます。
主な手術には、切れてしまった肛門の筋肉を縫い合わせる
「肛門括約筋修復術」と、
太ももの内側の筋肉を肛門の周囲に巻き付けて締める力を回復する、
「肛門括約筋再建術」があります。


■仙骨神経刺激療法

保存療法をまず行ってそれで改善すればいいのですが、
改善しない場合で脊髄損傷や括約筋の損傷がなければ
「仙骨刺激治療」が適用になります。
世界では20年ほど前から行われてきた治療法ですが、
日本では今年(2014年)4月から保険適用になりました。
「仙骨神経刺激療法」とは体の外からリード線を入れ、
仙骨神経の中の膀胱や直腸、内肛門括約筋に関係する神経を刺激して
約1ヵ月間トレーニングするというものです。
それで上手くいったらリード線を外し、
ペースメーカーのようなものを皮膚の下に植え込んで
仙骨神経刺激療法を続けて行います。


■まとめ

便失禁は命に関わるわけではありませんが、
便が漏れる不安から家に引きこもったり、
外出しても常にトイレが気になったりして
当たり前の生活ができなくなってしまいます。
便失禁の治療はご紹介したようにさまざまな方法があるので、
症状が長く続く人は1人で悩まず、
肛門科や大腸・肛門の専門医を受診してください。

ウォーキングのススメ

 
今回、ウォーキングのススメについてお話を伺ったのは、
佐田整形外科病院 理事長・院長の
佐田 正二郎(さた しょうじろう)先生です。


■ウォーキングとは

ウォーキングとはゆっくり時間をかけて
体に酸素を取り入れる有酸素運動です。
スポーツの秋ということでこれをきっかけに
何か運動を始めたいという方には非常に良い運動です。


■有酸素運動とは

有酸素運動とは酸素を取り込みながら行う運動です。
呼吸をしながら適度に体を動かすことで、
酸素が体内の脂肪と結びつき脂肪が燃焼しやすくなります。
ちなみに無酸素運動とは瞬発的に強い力を必要とする運動のことです。
その際 呼吸を止めている場合が多いので
有酸素運動ほど脂肪は燃焼しません。
ウォーキングは運動の強度が強くなく、
過去の運動経験や特殊なテクニックも必要としないので、
誰でも気軽に始めることができます。


■ウォーキングと生活習慣病

体の中に内臓脂肪が溜まると高血圧、糖尿病、高脂血症、動脈硬化など、
いわゆる生活習慣病の発症や進行に影響が出てきます。
また内臓脂肪が増えると“レプチン”というホルモンが減ります。
レプチンには動脈硬化の進行を抑える作用がありますが、
このホルモンが減ることで動脈硬化がより早く進み、
脳梗塞や心筋梗塞といった深刻な疾患を
引き起こすリスクが高まります。
ウォーキングで脂肪を燃やし内臓脂肪を減らすことができれば、
生活習慣病の予防にもつながります。


■その他のメリット

ウォーキングはそのほかにも
心臓や肺の機能が高まって血圧が安定する、
体の自律神経が適度に刺激されて寝付きや寝起きが改善する、
足の筋肉が脳を活性化させて脳がリフレッシュする、
高齢者では骨粗しょう症の予防になるといったメリットがあります。


■ウォーキングの注意点

せっかく健康のためにするウォーキングで
体を壊しては本末転倒なので、行う際にはウォーミングアップ、
クーリングダウンしっかり行いましょう。
簡単なストレッチ程度でいいと思います。
それからウォーキング中は姿勢を正してしっかり腕を振って、
正しいフォームで行いましょう。


■正しいウォーキングのポイント

・背筋を伸ばして、腕を前後にしっかり振る。

・それに連動させて足をスムーズに前に出す。
“足で歩く”ではなく“全身で歩く”イメージです。

・腕振りは、こぶしが体の軸より後ろにいくまで
 グッとしっかり引きましょう。肩甲骨を上手に動かして、
 胴体部分の骨と筋肉からなる体幹(たいかん)に
 無駄なく力を伝えるのがポイントです。

・しっかり腕を振って肩甲骨から背骨、
 骨盤と伝わってきた力で足を振ります。
 足はひざを曲げることなく、
 付け根部分から振り子をイメージして前に出します。

・腕振りは左右に差があると足が均等に出ないことがあります。
 鏡で見ながら同じ角度、引き具合を意識しましょう。


■まとめ

運動不足の解消にジョギングをという人も多いと思いますが、
ジョギングでは体が上下に動くことで、
人によっては骨や筋肉を痛めてしまうことがあるそうです。
日ごろから運動習慣のない人はウォーキングで無理なく安全に、
いい汗を流しましょう!

漢方

 
今回、漢方についてお話を伺ったのは、
九州大学病院 総合診療科 漢方外来担当医師の
貝沼 茂三郎(かいぬま もさぶろう)先生です。


■漢方とは

本来、私達の体の中には自分で病気を治す力、
いわゆる自然治癒力がありますが、
それがいろいろな形で崩れるとさまざまな症状が出てきます。
漢方医学とはその崩れを漢方医学的な観点から診断して
自然治癒力を高めていくものです。
「病気を診る」だけではなくて
「病人そのものを診る」のが大きな特徴です。
また西洋医学が、例えば抗がん剤治療のように
「攻める治療」であるのに対して、
漢方治療は「補う治療」という特徴もあります。


■漢方のメカニズム

漢方では人間の生命活動は
気・血・水(き・けつ・すい)の3つの要素が循環することで成り立ち、
これらが滞ったり偏ったりすると病気につながると考えられています。

気とは生命活動を行うために必要なエネルギーの事で、
自律神経の働きに近いとされています。
これが減少すると消化吸収能力が低下して
栄養が全身に行き渡らなくなります。

血(けつ)は生命活動を行うために必要な血液やホルモン成分の事で、
全身を巡って様々な組織に栄養を与えます。
これが停滞すると頭痛や肩こり、冷えやのぼせなどの症状が現れます。

水(すい)は生命活動を行うために必要な体液成分で
主にリンパ液を指し、免疫機能を司る働きがあります。
これがたまった状態は水毒といって、
むくみやめまい、排尿異常などにつながります。

これら3つの要素はそれぞれが影響し合ってバランスを保っています。
つまりどれかが多くても少なくても、
他の要素に影響を与えてしまうと考えられているのです。


■漢方の診断

漢方医学的な診断の事を証(しょう)と呼びます。
証の診断には気血水の考え方に加えて、
陰陽という考え方が非常に大事になります。
陰陽は全てのものを陰と陽という
2つの相対的なものとしてみなすという考え方で、
病気というもので考えた時にいわゆる熱を中心とした病態の事を陽証、
そして寒を中心とした病態の事を陰証という風に言います。
分かりやすくいうと、熱を冷ましてあげた方がいい人なのか、
体を温める治療をした方がいい人なのかということで
陰証陽証を考えて漢方処方を決定します。


■漢方の治療

漢方の治療で用いられる漢方薬は原則として
2種類以上の生薬を決められた分量で組み合わせて作られます。
生薬とは植物や動物、鉱物を材料にして
乾燥などの簡単な加工を加えた物で、
日本では294処方の漢方薬が承認されていて、
その内の148処方で医療保険が適用されています。
以前は細かくすりつぶして煎じるなど、
漢方薬は服用するのに手間がかかりましたが、
現在では煎じた液体を濃縮して、
顆粒や錠剤に加工したエキス剤が普及したことで、
漢方薬は簡単に服用できるようになっています。


■漢方の特徴

漢方薬は西洋薬に比べて非常に副作用が少ないといわれています。
しかし全くないわけではないので定期的な検査をしたり、
定期的に診察を受けることが必要になります。
それから漢方薬はオーダーメイドの医療になるので、
同じ症状で来られる人でも
実際には異なった漢方薬を処方する場合があります。
ですから自分と同じ症状だからといって人の薬を飲んだり、
反対に人にあげたりといったことは謹んでください。


■まとめ

2000年以上も前から日本人の体質に合わせて発展してきた漢方には、
病気の治療はもちろんですが、
病気にかかり難い体質へと改善する効果もあります。
日々の健康のためにも専門の医師や薬局に相談して、
漢方をもっと身近に活用してみてはいかがですか?

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