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花粉症

 
今回、花粉症についてお話を伺ったのは、
福岡大学筑紫病院 耳鼻咽喉科 診療部長の
坂田 俊文(さかた としふみ)先生です。


■花粉症とは

花粉症はアレルギー性鼻炎の中で
特に植物の花粉を原因にして起こるものを言います。
西日本ではスギやヒノキが中心になり、
大体1月の下旬から5月の上旬くらいまで患者さんが増えます。


■特徴について

今や日本人の4人から5人にひとりがお悩みともいわれる花粉症。
スギやヒノキの花粉ができるもととなる“花芽(はなめ)”は
前の年の夏が暑いほど多く作られます。
今年は去年夏の記録的な猛暑を受けて、
九州地方は例年より多めの花粉の飛散が予想されるので要注意です。
花粉症が出る出ないは患者さんの体調や
大気汚染の状況などが多少関係するので、
去年、症状が軽かったからといって
今年も軽いと考えるのはちょっと危険です。


■仕組みについて

花粉症の元となるアレルギー反応とは、
細菌やウイルスといった外敵から
体を守る仕組みが少し過剰になった状態です。
通常、私たちの鼻などから ひとたび花粉が入ると
その成分が体内に付着します。
花粉自体は体に悪影響を及ぼすものではありませんが、
体の方がそれを“異物”と判断して、
抗体というタンパク質で分解、排除しようとします。

そしてその際に放出される、
“ヒスタミン”、“ロイコトリエン”といった化学物質が
目や鼻の神経に作用して、
くしゃみや鼻水などの症状に見舞われます。
花粉症は抗体を持っている人すべてに起こるわけではなく、
それにアレルギー反応を起こしやすい体質があると
発症するといわれています。
またこれまで花粉症とは無縁だったという人でも、
花粉が飛ぶ環境に長くさらされることで次第に抗体ができ、
症状が起こる可能性があるため注意が必要です。


■増加の原因

花粉症の患者さんが増える背景には環境的な
原因がふたつ考えられています。
ひとつは単純に花粉の量が増えたということです。

太平洋戦争のあと日本の復興事業のひとつとして
いろんな所にスギが植林されましたが、
手入れが行き届かないと花粉がどんどん増えてしまいます。

もうひとつは大気汚染です。大気汚染物質が体の中に入ってくると
花粉症の人では症状がひどくなるということが
実験的に分かっています。
大気汚染物質というと最近はPM2.5が話題になっていますが、
それに限らず排気ガスや工場の煙などに含まれた汚染物質も
やはり症状を悪化させます。


■診断や検査について

花粉症が疑われる患者さんには詳しい問診のあと
鼻の中の観察が行われ、重症度に合わせて治療法が決められます。
検査では鼻水を採取して、
アレルギー反応によって炎症が起こっているかを確認します。
また採血検査で花粉の種類や、
原因になる物質を調べる場合があります。
患者さんによってはエックス線やCTで顔の断面画像を撮って、
副鼻腔炎などの合併症がないかをチェックすることもあります。


■治療について

花粉症の治療には大きく対症療法、根治療法があります。
まず対症療法には薬物方法と手術療法があります。
薬物療法では飲み薬や点鼻薬、
点眼薬が組み合わされて処方されます。
症状によっては飲み薬の種類が増えたり、
点鼻薬だけで済む場合もあります。

手術療法では鼻の中の組織を一部削って
空気の通り道を広げる方法、
レーザーや電気で粘膜を焼く方法などがあります。

一方、根治療法は“減感作療法”と呼ばれ、
花粉のエキスを数回 少しずつ注射して
アレルギー反応を起きにくくする治療法です。
また花粉のエキスを注射ではなく、
口の粘膜から吸収させる“舌下免疫療法”が
近い将来、お近くの耳鼻科専門医院で受けられることになると思います。


■予防、対策について

花粉の飛散量が多い日は外出を控える
。外出時は帽子やマスク、メガネを着用する。
帰宅した際や洗濯物、布団を取り込むときには
花粉をしっかり落としましょう。


■先生よりまとめ

最近では内科や小児科で
お薬をもらうだけの患者さんも増えていますが、
花粉症は鼻の病気なので、
たまには耳鼻科を受診されてお鼻の中をのぞいてもらって、
思わぬ合併症がないかなどをチェックしてもらうことも大切だと思います。

ウイルス性肝炎

 
今回、ウイルス性肝炎についてお話を伺ったのは、
国立病院機構 九州医療センター 肝臓センター部長の
中牟田 誠(なかむた まこと)先生です。

■ウイルス性肝炎とは

肝炎ウイルスには主にA型からE型の5種類があり、
これらに感染するとウイルス性肝炎を起こします。
特にB型とC型では、
慢性的に炎症が持続する慢性肝炎を引き起こし、
肝硬変や肝がんの原因となります。

現在、肝がんで年間約3万人が命を落としていますが、
そのおよそ8割がB型肝炎とC型肝炎によるものです。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。
知らず知らずのうちに肝炎が進行して、
症状が出た時にはかなり進行してしまっていることも決して珍しくはありません。


■感染ルートについて

A型とE型が食べ物や水を介して、
その他は血液や体液を介して感染します。
かつてB型肝炎ウイルスは母子感染、
C型肝炎ウイルスは輸血などの医療行為が主な感染経路でしたが、
様々な対策が進んだ現在では
こうした感染はほとんどなくなりました。
B型、C型ともに日常生活で感染することはほとんどありませんが、
最近ではタトゥーやピアス、
覚せい剤の注射などによる針の使い回しや
性交渉によって感染するケースが増えています。

B型肝炎ウイルスは感染力が強いですが、
感染しても多くは自然に体外へと排出されます。
ところが一部の感染者はウイルスがずっと体内にとどまる、
“キャリア”という状態になって新たな感染源になります。
最近はキャリア化しやすいタイプのB型肝炎ウイルスが、
主に性交渉によって若い人を中心に増えていることが
問題視されています。


■検査について

通常の肝機能検査では肝炎ウイルスの有無は分かりません。
肝機能が全く正常であっても
ウイルスに感染している可能性があります。
また慢性肝炎になっても自覚症状はないので、
肝炎ウイルスに感染している事を知らないままだと
適切な治療を受けられず、本来ならば防げたはずの
肝硬変や肝がんの発症を招いてしまいます。

そのため一生に一度は、肝炎ウイルス専用の
血液検査を受ける事が望まれます。
各自治体が無料で実施しているので
最寄りの保健所に問い合わせてください。


■治療について

ウイルス性肝炎の治療は、
主に抗ウイルス剤による薬物療法が中心となります。
特にB型肝炎とC型肝炎の抗ウイルス治療については、
国が行っている医療費の助成制度があり、
原則として月に1万円の自己負担で治療を受けることができるなど、
治療しやすい環境の整備が進んでいます。
B型肝炎では飲み薬の抗ウイルス剤で
ほとんどの場合でウイルスの増殖を抑え、
病気の進行を阻止することが可能です。
ただし体からウイルスを完全に排除することは現在のところできません。

C型肝炎では体内からウイルスを排除することが可能です。
以前はリバビリンの服用と週に1回のインターフェロンの注射で、
およそ1年間、治療を行っていましたが
3人に1人しか治りませんでした。
しかし現在はこれらの薬にウイルスの増殖を抑える
プロテアーゼ阻害剤という新薬を加えた
3種類の薬を組み合わせることで、
治療期間がそれまでの半分である6ヵ月に短縮されただけでなく、
それによって5人のうちに4人以上が治るようになりました。

ただし、インターフェロンには多少の副作用があり、
70歳以上の高齢者には使用しづらいことも事実です。
しかし、すぐ近い将来にはインターフェロンを使わず、
飲み薬だけで治療できるようになります。
副作用はほとんどなく、誰でも治療が可能になると思われます。
さらに数年以内には治療期間がより短い3ヵ月の飲み薬で
ほとんど全員が治る時代がきます。
まさにC型肝炎撲滅時代の到来です。


■先生よりまとめ

このように、万が一肝炎ウイルスに感染していても
ウイルスを抑えたり、排除したりすることが可能になっています。
その意味でもぜひ一度、肝炎ウイルスの検査を受けて、
肝硬変や肝がんで命を落とさないようにしましょう。

死亡時画像診断(Ai)

 
今回、死亡時画像診断についてお話を伺ったのは、
九州大学大学院 医学研究院 法医学分野 教授の
池田 典昭(いけだ のりあき)先生です。


■死亡時画像診断とは

死亡時画像診断とは遺体をCTやMRIといった画像機器で撮影して
死後の体の状態を確認するというものです。

死亡時画像診断はこれまで、警察が関与するような
“事件性を持った遺体”を解剖する
大学の法医学教室などで主に行われてきました。
そして最近では、さまざまな病気や不慮の事故などで
命を落とした人の遺族が
亡くなった原因を正確に知りたいということで
死亡時画像診断を依頼するケースも増えています。
欧米では死因を究明して次世代の医療に役立てようと
以前から盛んに行われている死亡時画像診断ですが、
わが国でもここ数年、全国的に普及が進められています。


■普及の要因

日本に広まりつつある要因のひとつとして
日本人が解剖をあまり好まないということが考えられます。
ヨーロッパでは解剖に当たっては、
ご遺族はあまり抵抗がないようですが、
日本では“亡くなった後まで死因を究明しなくてもいい”、
あるいは“解剖してまで死因を究明しなくてもいい”
と言う方が多いとされています。

しかし解剖しなくても体の外側からレントゲン撮影するだけで
死因が分かるということであればお願いしたい
というご遺族は大勢いらっしゃいます。
死亡時画像診断は「解剖に代わる手段」というわけでありませんが、
場合によっては「解剖をしなくても死因を究明することができる」
ということで急速に広まったと考えられます。


■解剖との関連

我が国での遺体の解剖率は近年でも
総死亡数のわずか2〜3%にすぎません。
それがときに事故や犯罪の見逃しなど
さまざまな社会問題を生んでいるといわれています。

あきらかに犯罪性があるものについては
警察の主導による司法解剖が行われますが、
犯罪が絡まず病死かもしれない、
事故死かもしれないという場合には
なかなか解剖までまわらないとされています。


■小児と死亡時画像診断@

小児は年間およそ5000もの死亡症例があり、
死因の1位は病死ではなく実は“事故死”なのですが、
死亡時画像診断はそこで大きな役割を果たしています。
乳児、幼児、子どもさんが不幸にして亡くなった場合、
今まで健康だった子が突然亡くなるので
ご家族、ご遺族としても死亡の原因は知りたいものの、
子どもさんの解剖となると、ほとんどのご両親は承諾しません。
そういう場合に、解剖しないで画像診断だけでも、
ということであれば比較的受けていただける場合があります。


■小児と死亡時画像診断A

その一方で子どもの死亡時画像診断では場合によっては
ご家族、ご遺族が解剖に反対するという場合のほんの一部ですが、
たとえば小児虐待を隠しているとか、
“揺さぶり症候群”として、
本人が“揺さぶっている”という意識がなくても
場合によっては子どもの頭蓋内に出血が起こるということもあるので、
小児の死亡例については全例、
死亡時画像診断を行うことで正しい死因を究明し、
小児の突然死、事故死、虐待死を減らす、
あるいは虐待の見逃しや防止に役立てることが大事と考えられます。


■まとめ

死亡時画像診断は医学の発展や公衆衛生の向上、
犯罪死や小児虐待の見逃し防止などで期待されています。
死亡時画像診断による死因の究明…。
それは今を生きる私たちと実は密接なつながりを持っていると
言えるのでないでしょうか?

摂食障害

 
今回、摂食障害についてお話を伺ったのは
九州大学病院心療内科 助教の熨q 修(たかくら しゅう)先生です。


■摂食障害とは

摂食障害では体重や体型に対する過剰なこだわり、偏った考え、
体重や体型が自分自身の評価に
過剰に影響してしまうという特徴があります。
摂食障害は主なものに「神経性食欲不振症」いわゆる拒食症と、
「神経性大食症」いわゆる過食症があります。
標準体重のマイナス15%を下回ると拒食症と診断されます。
極端な食事摂取の低下や吐いてしまうことでの低栄養など
身体的な合併症が生じうる病気です。
過食症は一度にたくさん食べてしまう、
そして吐いて後悔してしまうなど、太ると怖いという思いもあり、
下剤を使うような症状が見られます。
病気の進み方として、拒食になっても著しい排出行為が続き、
ますますやせてしまうケースと
拒食の反動で過食になってしまうケースが見られます。


■摂食障害の原因

今のところよく分かっていませんが、
遺伝などの生物学的な要因や性格などの心理的な要因、
対人関係も含めた社会的な要因が
複雑に絡み合って発症すると考えられています。
また摂食障害は先進国の都市部に多く見られることから、
肥満を蔑んでスリムな体型を過剰にもてはやす文化的な影響も大きいとされています。


■摂食障害の特徴

摂食障害はダイエットから始まることが多く、
特に勉強や仕事で困難に直面している時に
やせることで周囲から賞賛されたり、
ダイエットによる達成感が得られたりすると、
そうした困難から逃れられたような気になる人がいます。
そうすると摂食障害による“やせ”は
治療が必要だと認識できなくなる人が出てきます。

そのため積極的に治療を望む患者さんは少なく、
かなり悪化してから家族に連れられて
受診する場合もよく見られます。


■摂食障害の症状

摂食障害は慢性化しやすく、栄養失調状態が長期にわたると、
やせ過ぎるだけでなく女性は月経がとまったり、
骨粗しょう症で骨折しやすくなったり、
低血圧、むくみやしびれ、肝臓・腎臓・胃腸の障害といった
様々な影響が出てきます。
また度重なる嘔吐や下剤の乱用で、
体内のナトリウムやカリウムといった電解質のバランスが崩れ、
脱力感や精神不安に襲われたり、
深刻な場合は心不全を起こして死に至ることもあります。

こうした合併症による死亡者は
自殺を含めると患者の7%から10%にもなり、
摂食障害は精神疾患の中で最も死亡率が高い病気なのです


■摂食障害の治療

まずは外来で食行動の修正や、
患者さんの生き方を困難にしている問題点を
カウンセリングの中でしっかりと取り扱います。
外来治療で体重がうまく上げられなかったり、
重篤な合併症が生じた場合には入院治療を行います。
拒食症の入院治療では
適正なカロリーの食事を残さず食べて体重を上げながら、
その中で生じてきた心や行動の問題を
カウンセリングで解決させていきます。

摂食障害は回復する過程で一時的に悪くなったり、
年単位でゆっくりと回復することも多いと言われています。
そのため医師を信頼して、じっくりと治療に臨むことが重要です。


■まとめ

若くして摂食障害になると思春期や青年期のとても大切な時期を
ほとんど食事や体重にとらわれてしまって、
人格や人生に悪影響が及ぶことも少なくありません。
無茶なダイエットにのめり込む前に、
摂食障害の正しい知識を持ってください。

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