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認知症

 
今回、認知症についてお話を伺ったのは、
原三信病院 脳神経内科 部長の
藤木富士夫(ふじき ふじお)先生です。


■認知症の現状

目や耳などから得た情報を
脳にある過去の記憶と照らし合わせて判断する働きを
“認知機能”と言いますが、
認知症とはその認知機能がさまざまな疾患によって
正しく機能しなくなった状態で、
進行すると日常生活にさまざまな支障をきたすようになります。

おととしの国の統計では、患者さんはおよそ462万人、
前段階の人(予備軍)がおよそ400万人で、
合わせると800万人以上、
65歳以上の高齢者がおよそ3000万人なので、
4人に1人が認知症になってしまうというような状況です。


■原因となる疾患

認知症の原因となる疾患は
脳梗塞や脳出血のあとで起こる“脳血管型認知症”など
50種類を超えますが、中でも実に6割以上を占めるのが
“アルツハイマー型認知症”です。
アルツハイマー型認知症とは
脳の中に“アミロイド”と呼ばれる
特殊なタンパク質が溜まって脳が萎縮していくものですが、
その原因はまだはっきりとは分かっていません。


■アルツハイマー型認知症の症状

原因として最も多いアルツハイマー型認知症の初期症状は
同じことを繰り返し言う・もの探しが増える、
このふたつが代表的です。
それ以外には、よく道に迷う、薬の管理ができない、
同じものを買ってきたなどが挙げられます。


■普通の物忘れと認知症の物忘れの違い

普通の物忘れだと…、
孫「おじいちゃん、昨日レストランで何を食べたっけ?」
祖父「しょうが焼きと厚焼き玉子とあとひとつなんだったっけなあ…。」
と、記憶の“一部“を忘れてしまいます。

認知症の物忘れだと…、
孫「おじいちゃん、昨日レストランで何を食べたっけ?」
祖父「ううん…!?。昨日レストランなんか行っていないぞ。」
このような感じで行為そのものを忘れ、
しかも症状は徐々にひどくなっていくとされています。


■認知症と“うつ”

認知症のかなり初期では“自分が物忘れをする”
という自覚があるので、周りから“さっき聞いたよ”
などと言われると落ち込んでしまいます。
さらにちょっと進んだ症状の中に“アパシー(無為)”という
感情や行動や周囲への関心が減少するものがあって、
これを うつ病と間違ってしまうことが非常に多いと言われています。

また逆に、
認知症のような症状があるけれども実はうつだったということ、
さらには両者が合併することも非常によくあります。

うつ病の人は1.5〜2倍くらい認知症になりやすい
という報告があるので、診断では認知症とちゃんと区別する。
区別できないにしても、
そういう疑いがないか見極めることが大事です。


■認知症と生活習慣病

最近、アルツハイマー型認知症は
生活習慣病ととても密接に関係していることが報告されています。
九州大学からは
「認知症は糖尿病との関連が非常に強い」という発表があり、
“脳の糖尿病”という言う医師もいます。
ですからアルツハイマー型認知症の予防対策としては
糖分をコントロールすることが
ひとつのキーになるのではないかと考えられます。

また“アポE4(アポイーフォー)”という遺伝子を持つ人は
アルツハイマー型認知症になりやすいといわれていますが、
実はこの遺伝子は、コレステロールや中性脂肪など
“脂質”と深い関連があるとされています。

さらに脳には無数の血管が張り巡らされていますが、
長年の高血圧や喫煙習慣、
日ごろの運動不足などは脳の血管の動脈硬化を進め、
脳にダメージを与えてしまいます。

欧米では糖尿病や高血圧、
コレステロールなどをコントロールすることによって、
どんどん進行するはずの認知症が
進行しにくくなったという報告もあるので、
生活習慣病がある人は日ごろからしっかり管理して、
病気がひどくならないように注意しましょう。


■まとめ

また今、健康な人も食べすぎに気をつけるなど
日ごろから好ましい生活習慣を心がけましょう。
先生いわく食事は“腹八分”ではなく
“腹七分”で!だそうですよ。

甲状腺ホルモン

 
今回、甲状腺ホルモンについてお話を伺ったのは、
福岡大学医学部 内分泌・糖尿病内科 教授の
柳瀬敏彦(やなせ としひこ)先生です。


■甲状腺ホルモンの働き

海藻などには「ヨード」が含まれていますが、
甲状腺ホルモンはそのヨードを原料にしてできるホルモンです。
脳の機能や新陳代謝、腸の運動を活性化させる機能があり、
生命維持には欠かせません。


■甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺は
のどぼとけのすぐ下にある小さな臓器で、
蝶が羽を広げた様な形をしていて、
空気の通り道である気管を左右から取り囲んでいます。

甲状腺は非常に薄く柔らかいので
普段は首を触っても分かりませんが、
少しでも腫れてくると手で触ることができ、
さらに腫れると首が太くなったように見えます。
そのため首の腫れから甲状腺の異常に気づく人も少なくありません。


■由来する病気

甲状腺ホルモンが出すぎる病態を甲状腺機能亢進症と呼びます。
代表的な病名としてはバセドウ病があります。
ほか、炎症で起こる無痛性甲状腺炎、
発熱や甲状腺の痛みを伴う亜急性甲状腺炎が代表的な病気です。

一方、甲状腺ホルモンが出にくい病態を
甲状腺機能低下症と呼びます。
代表的な病名としては慢性甲状腺炎、橋本病とも呼びますが、
慢性甲状腺炎(橋本病)=甲状腺機能低下症ではなく、
慢性甲状腺炎でも甲状腺機能が正常な場合もあります。


■特徴

バセドウ病や橋本病はある程度、
遺伝と関係があると言われていますが、
これらの病気の最中に妊娠・出産したからといって、
病気が遺伝しやすくなるわけではありません。
また甲状腺ホルモンのトラブルが
女性に多い理由は分かっていませんが、
出産をきっかけに発症するケースが多く、
産後うつや産後の肥立ちの悪さと間違われることも
少なくありません。


■治療法

甲状腺機能亢進症のひとつのバセドウ病は
甲状腺ホルモンの合成が高まっている病気なので
薬剤で甲状腺ホルモンの合成を抑えます。
また抗甲状腺剤による副作用があったり、薬が効かない場合には
手術を選択することがあります。
さらには、放射性ヨードをカプセルで服用し、
ヨードを甲状腺に集中させて甲状腺ホルモンの合成を抑える
「アイソトープ治療」があります。

甲状腺機能低下症の場合には
足りない甲状腺ホルモンを補う治療になります。
治療法は簡単で甲状腺ホルモン製剤を服用します。


■まとめ

甲状腺の病気は症状が軽いことが多いため、
見逃されたり放置されたりしがちです。
なかなか完治は見込めませんが
適切な治療で症状を抑えることは可能です。
原因不明の体調不良が気になったら
まずは病院を受診することが大切です。

糖尿病最前線

 
今回、糖尿病最前線についてお話を伺ったのは、
長崎みなとメディカルセンター市民病院糖尿病・代謝内科医長の
森内 昭江(もりうち あきえ)先生です。


■糖尿病とは

糖尿病とは血糖値が高い状態が続くことによって
全身の血管が障害され、さまざまな合併症が出てくる病気です。
なぜ血糖値が高い状態が続いてしまうかというと、
“インスリン”の効果が弱くなるからです。
2012年の調査では日本全国に約2050万人、
国民の5人にひとりが糖尿病か予備軍であると報告されました。


■糖と糖尿病

糖は私たちが普段口にするご飯やパン、果物などに含まれています。
そして胃や腸で最終的にブトウ糖へと分解され、
腸から血液に取り込まれて血液中の糖“血糖”になります。
血液中に取り込まれたブドウ糖は血流に乗って全身に送られます。
そしてすい臓の細胞から分泌されるホルモン
“インスリン”によって細胞へと取り込まれ、
エネルギー源となります。
しかしさまざまな理由でインスリンの効果が弱くなると
ブドウ糖が細胞へ取り込まれず
血液中に留まることで、血糖値がずっと高い状態が続きます。
これが糖尿病です。


■糖尿病の種類

糖尿病には生活習慣の乱れに関係なく
インスリンの分泌が落ちる“1型糖尿病”、
妊娠中に起こる妊娠糖尿病、」
すい臓疾患の手術後などで起こるものがありますが、
もっとも多く、9割以上を占めるのが“2型糖尿病”です。
遺伝的に糖尿病になりやすい家系の人に、
食べすぎや運動不足などといった
生活習慣の乱れが加わって発症します。


■糖尿病の症状

糖尿病は初期ではほとんど自覚症状がなく
“症状がないのが症状”とも言われるほどです。
しかし進行すると尿の量と回数が増えてきます。
血糖値が高くなると糖は尿の中に捨てられますが、
その際 糖が体の水分も一緒に連れていくのです。
またエネルギー源である糖が尿中に捨てられることで
体重の減少や倦怠感を自覚します。
ほか喉の渇き、水分の過剰摂取といったものがあります。


■合併症について

糖尿病でもっとも注意が必要なのが合併症です。
糖尿病の合併症は全身の血管が障害されて起こります。
障害される血管の大きさによって2つのグループに分かれます。
いわゆる糖尿病の3大合併症といわれるのは
小さい血管が障害されて起こるもので
糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症と言います。

一方、大きな血管が障害されておこる合併症は
血管の壁が固くなって弾力性を失う“動脈硬化”によるもので
心筋梗塞や脳梗塞、
足の血管に動脈硬化が進む閉塞性動脈硬化症などがあります。
他に歯周病も糖尿病の合併症として知られていますが、
最近では認知症やがんも起きやすくなるといわれています。

※今回取材した長崎市の
「長崎みなとメディカルセンター 市民病院」では、
食事療法と運動療法を軸にチームで
糖尿病患者さんのケアを行う取り組みが進められています。

入院が基本ですが、今後は外来でも行いたいと
新たな取り組みもスタートしました。
詳しくは病院のホームページをご覧ください。

「長崎みなとメディカルセンター 市民病院」
長崎市新地町 TEL 095-822-3251(代表)

めまい

 
今回、めまいについてお話を伺ったのは
九州大学病院 耳鼻咽喉科 助教の
久保和彦(くぼ かずひこ)先生です。


■耳が原因となるめまいとは

耳が原因でめまいを起こす疾患には有名なメニエル病、
ほか良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎などがあります。

メニエル病は聴力の低下、耳鳴り、
回転性のめまいを繰り返すのが特徴です。
良性発作性頭位めまい症は体や頭が動いた時のみ
回転性のめまいを起こす疾患で、
じっとしていれば起きないという特徴があります。
この病気では聴力の低下や耳鳴りは起きません。
前庭神経炎はある日突然、
非常に強いめまいとふらつきを起こす疾患で、
歩けない、立てないという状況になることが多いです。
この病気でも聴力の低下や耳鳴りは起きません。


■耳とは

私たちの耳には音を聞く働きの他に
体のバランスを保つ働きもあり、その機能を担っているのが
内耳と呼ばれる部分です。
内耳には回転で刺激されて頭や体が
どのように動いたのか感じ取る“三半規管”と、
重力・加速度・頭の位置といった
外部の刺激を感じ取る“耳石器”があります。
さらに内耳の情報は“前庭神経”で脳へと伝達されます。
この三半規管、耳石器、前庭神経のいずれかに異常生じると
めまいが起こります。


■それぞれの病気の原因

メニエル病は内耳の中の内
リンパ液が原因不明にたまり過ぎる病気で、
いわゆる内耳のむくみで起こると考えられています。
良性発作性頭位めまい症は本来、
耳石器の中にないといけない耳石が
間違って三半規管の中に入り込むことによって起こると考えられています。
前庭神経炎は前庭神経の機能が高度にマヒする病気で、
病名に「炎」とありますが炎症は起こらず、
原因もまだ分かっていません。


■めまいの診断

めまいの診察ではまず問診でその原因を探り、
検査の方法が検討されます。
耳鼻咽喉科で行われる検査には聴力検査の他に、
眼振検査やカロリックテストがあります。

眼振検査はめまいを起こしている時の眼球の動きを
特殊なメガネや電気的な記録で観察する検査で、
全てのめまいに対して行われます。
カロリックテストは耳に冷たい水や風を入れて反応を見る検査で、
正常だと軽いめまいが起こりますが、
前庭神経炎ではめまいは起こりません。


■めまいの治療法

耳が原因で起こるめまいに対しては主に薬物療法が行われます。
メニエル病は内耳のむくみで起こるので、
そのむくみを取るために、血流を良くする薬や、
原因となる液体を取り除く薬を使います。

良性発作性頭位めまい症や前庭神経炎に対しては
めまいを止める鎮眩剤を使用しますが、
前庭神経炎では最近、副腎皮質ホルモンを使うと
治療効果が高いことが分かっています。
また耳から発生するめまいの場合は吐き気を伴うことが多いので、
吐き気止めも一緒に使います。

さらに良性発作性頭位めまい症は、
動いてしまった耳石を元の位置に戻す
「浮遊耳石置換法」という治療があり、
中でもエプレー法は65%の人が
翌日にはもう治っているという画期的な治療として
注目を浴びています。


■先生より

耳が原因でめまいが起こった場合は
激しいめまいがするので非常に不安になり、
パニックになる人も多いです。
めまいが起きた時には、
あえて冷静に自分の状況を判断するようにしましょう。
例えば、ろれつが回りにくい、感覚が鈍る、手足の動きが悪い、
見え方がおかしいということがあれば
耳ではなくて脳梗塞など脳の病気の可能性があるので、
なるべく早く救急車を呼んで病院に行ってください。
そうでなければ30分ぐらい安静にして、
もし動けるようになれば耳鼻咽喉科を、
夜間であれば救急病院を受診してください。


■まとめ

耳から起こるめまいは命に関わる事はありませんが、
何度もくり返すとだんだん耳の聞こえが悪くなる場合があります。
しばらくして症状が治まったからといって安心しないで、
めまいが起きたら耳鼻咽喉科できちんと診察を受けましょう。

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