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難聴

 
今回、難聴についてお話を伺ったのは、
九州大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の
野田 哲平(のだ てっぺい)先生です。


■難聴とは

難聴とは音を聞いてもそれを認識・理解することが
うまくできない状態です。程度にもよりますが、
難聴の人は日本人全体でおよそ2割と言われています。


■難聴の種類

難聴は音が耳の穴から入って脳に届くまでのどこかが傷害されることで起こり、
その場所によって“伝音難聴”と“感音難聴”に分けられます。
伝音難聴は音を伝えることが困難になるもので
外耳や中耳、鼓膜の障害による難聴です。
その種類には耳垢が塊になって
耳の穴を完全にふさいでしまう耳垢栓塞(じこうせんそく)や
鼓膜に穴が開いている慢性中耳炎などがあります。
一方、感音難聴は伝わった音を上手く処理できないもので、
内耳にある音を感じる細胞やその奥の聴神経の不具合などで起こります。


■加齢性難聴

難聴でもっとも多いのが加齢性難聴です。
年齢を重ねることで誰にでも起こりうるもので、
高齢化社会が進むわが国では今後、増加が予想されています。
加齢の程度も人によって違うように
“耳の加齢”の進み方も人によって違います。
“キーン”という高い音から
徐々に聞こえなくなっていく傾向があります。


■ヘッドホン難聴

最近、注目されているのが若者を中心に見られるヘッドホン難聴で、
長い時間、ヘッドホンを使って大音量で音楽を聴くことによって
難聴になる可能性があります。
ヘッドホン難聴は“騒音性難聴”という音響外傷のひとつで、
大きな音が耳にドカンと入ってくると
耳の中の有毛細胞が徐々に衰えてきて、
高い音が聞こえなくなっていきます。
騒音性難聴はその他にも工事現場や工場など
大きな音がするような職場で長時間働く人にも見られ、
両耳あるいは片方の耳に症状が現れます。
また子どもでは、鼓膜の奥の空間に液体が溜まる
滲出性中耳炎(しんしゅつせい ちゅうじえん)によって
難聴が起こる場合があります。
さらに生まれたときからの障害である先天性難聴と呼ばれるものがあり、
その割合は1000人に1〜2人程度といわれています。


■難聴の症状

難聴の症状は伝音難聴では耳に入った音が
うまく伝わらずに小さくなりますが、内耳や聴神経は正常なので、
補聴器で音を大きくすると聞き取りやすくなる場合が多いようです。
一方、感音難聴では音の信号をうまく処理できず、
音が歪んで聞こえるなど聞き取りが困難になって
補聴器を使用してもその調整が難しくなることがあります。


■難聴で困る点

難聴で困る点は日常生活での人とのコミュニケーションです。
コミュニケーションで用いるものには
身振り手振りなどもありますが、ほとんどは聴覚に依存しています。
ですから聞こえの能力が落ちると
聴覚を利用することが上手くできなくなるので、
例えば何回も言い直す必要があったり、
まったく聞こえなかったりします。
するとコミュニケーションに入れないということが出てきます。
聴覚障害は“コミュニケーション障害”とも考えられます。


■補聴器について

※今回、お話を伺っている野田先生ご自身も難聴で
普段は補聴器を使用して患者さんの診察や治療を行っています。
取材の最後に補聴器の使用について
先生からメッセージをいただきました。

野田先生「みなさん補聴器をするとやはり“歳をとった”とか
“かっこ悪い”とか、そういうイメージが
常についていっているような感じがします。
聴覚障害は“コミュニケーション障害”ですから、
補聴器を付けることによって難聴の方は
人と会話することができるようになります。
そうすることで難聴者の方が社会に出て行けるようになる、
私もその1人だと思っています。
難聴を抱え込まず、恥ずかしいことだと思わずに、
補聴器の力を借りて
社会に飛び出していけるような感じになればいいなと思っています。」


■まとめ

難聴はときに片方の耳が突然聞こえなくなる突発性難聴や
激しいめまいを伴うメニエル病、
ほか悪性腫瘍などの疾患に由来していることもあります。
聞こえ方に不具合を感じたら耳鼻咽喉科を受診して、
難聴の原因を探ってもらいましょう。

熱中症

 
今回、熱中症についてお話を伺ったのは、
国立病院機構 九州医療センター 救急部長の
小林良三(こばやし りょうぞう)先生です。


■熱中症とは

熱中症とは高温多湿な環境の中で大量の汗をかくことによって、
体内の水分やミネラルのバランスが崩れ
体温調節ができにくくなる状況です。
また熱が体内にこもることによって重症化し
死亡することもあります。
熱中症の発生は多くは7月8月に集中しています。
特に梅雨明け前後、日が差した時に急に気温が上がるために、
まだ暑さに慣れてない体では体温調節が上手くいかずに
熱中症になりやすいです。


■体温調節の仕組み

体温調節の仕組みには
皮膚の表面から空気中へ熱を放出する“放熱”と、
気化熱の働きで汗が蒸発する時に熱が奪われる“発汗”の
2通りがあります。
気温が低ければ放熱されやすく、
湿度が低ければ汗が蒸発しやすいので、
体温の上昇を抑えることができます。
ところが気温が体温よりも高くなると
皮膚から放熱するのが難しくなり、
湿度が75%を超えると汗をかいても流れ落ちるばかりで
ほとんど蒸発しなくなってしまいます。
そのため体内に熱がこもって体温を上手くコントロールできなくなり、
熱中症になってしまうのです。


■熱中症の症状

熱中症の症状は治療に応じてT度、U度、V度に分かれます。

T度は応急処置で済む軽症で大量の発汗、めまい、
失神、筋肉痛などが発生します。

U度は医療機関への搬送が必要となる中等症で、頭痛や嘔吐、
強い倦怠感、判断力の低下、意識レベルの低下が出てきます。

V度は入院して治療が必要な状況で、高体温、
意識障害、けいれん、臓器に障害が出ます。

熱中症は放置するとT度からV度へと進行していくので、
何よりも早期発見・早期治療が大切となります。
特に大量の発汗があるうちに対処することが必要です。


■特に注意したいのは

熱中症は体温を調節できなくなる病気なので、
体温調節機能が十分に発達していない乳幼児は
気温の変化に上手く対応できずに熱中症になりやすいとされています。
さらにベビーカーの赤ちゃんや身長の低い子どもは
大人以上にアスファルトからの照り返しを受けるので、
外を連れ歩く時はこまめに気にかけ、
熱中症の兆候を見逃さないようにしましょう。
また高齢者は暑さに対する感覚が鈍く、
体内の水分量がもともと少ないので、
脱水状態になりやすいとされています。
特に寝たきりの場合は室温が高いと
気付かないうちに脱水が進んで、熱中症になることがあるので
注意が必要です。

熱中症は炎天下の屋外で発症するということはもちろんですが、
最近では高齢者が冷房をつけずに
室内で熱中症になることが増えています。
特に最近の住宅は機密性が高く、夜間に熱がこもるので、
睡眠中に大量の汗をかくことによって水分を失い、
明け方になって熱中症になることがあります。
また車の中で子どもが熱中症に陥ることが毎年見られます。
たとえ短時間でも車の中に子どもを置いたままにしてはいけません。


■まとめ

高温多湿な日本の夏、
まずは暑さに慣れるのが熱中症予防の第一歩です。
そのためにはぐっすり眠ってしっかり食べて体調を整えましょう。
そして屋外に限らず屋内でもこまめな水分補給を忘れないで下さい。

食の機能 最前線

 
今回、食の機能 最前線についてお話を伺ったのは、
大阪大学大学院 医学系研究科教授・内閣府 規制改革会議委員の
森下竜一(もりした りゅういち)先生です。


■食の機能 最前線について

今、アベノミクスということで
政府の経済成長戦略が注目されていると思いますが、
実はその柱は医療・健康戦略で
「健康寿命を延伸する、健康である期間を延ばす」ことが
大きな柱になっています。
その中でも特に先進医療をさらに伸ばそうということで、
再生医療や遺伝子治療といった新しい医療に関して
早くこれを国民の方に届ける
“早期承認制度”というものが始まります。

もうひとつは国民の方に自ら健康になってもらおうということで、
多くの方が飲まれているサプリメント、
あるいは普段食べている食物、
こういうものにもエビデンス(証拠、根拠)があると
機能性表示をしようという制度が来年(2015年)の4月から始まります。


■機能性表示とは

機能性表示とは病気の発症や進行を予防するために、
その食品が具体的にどのような働きを持つのか商品に表示することです。
“脂肪を消費しやすくする”、“血圧が高めの方へ”、
“強い骨を作る”といったものがそれに当たります。

機能性表示には科学的な根拠が必要で、
これまで食品では国の認可を得た
通称“トクホ”「特定保健用食品」や、
国の栄養成分の基準に適合した「栄養機能食品」に限られてきました。
自らの健康を自ら守る、そのために必要な情報を解禁するということで
これから先、科学的な根拠があるものに関しては、
なぜこの成分、このサプリメントと取ると良いのか、
それが企業の責任で商品に記載できるようになります。


■機能性表示解禁のねらい

医薬品と明確に区別され、
トクホなど一部の商品を除いて40年以上に渡って禁止されてきた
サプリメントや食品類の機能性表示。
その解禁にはねらいがあります。
今の国民の60%がサプリメントを取っている
というアンケートがあります。
しかしそのサプリメント自体には効果・効能は書けません。
従って、自分に適しているか皆さん分からずに飲んでいるわけです。
みなさんが普段目にするサプリメントの広告というのは
例えばひざを回したり、“個人の感想です”ということで
一体何に効くのか分からない、消費者にとっては
不便な状況になっていると思います。
これは薬と間違えられてはいけないということで禁止されていたわけです。
ただ、その後の研究によってサプリメントの成分でも
科学的な根拠のあるというものがたくさん見つかってきましたし、
実際、人でのデータも出てきています。

またアメリカやヨーロッパ、韓国といった国々では
サプリメントでも科学的な証拠があり、
表示に当たって必要以上の量が入っていれば
パッケージに機能性表示ができることになっています。

例えば魚の脂、“DHA”や“EPA”とありますが、
これは「心臓や血管の健康を維持します」ということで
表示に当たっての必要以上量が入っているものは
アメリカやヨーロッパなどでは機能性表示が可能です。
こうすると自分が何のために
このサプリメントを取っているかが分かるようになります。
これを今まで日本はできなかったので、
表示をしたいということが大きな柱になっています。

実際に消費者のアンケートでは60%の方が少し高くなっても、
なぜこのサプリメントを取るのかと、
そうした説明がちゃんと書いているものを取りたい
というふうに答えていて、
消費者にとっても自分の健康に適したものが分かるような制度に
変わってくるのではないかと思います。


■食品への機能性表示と健康

みなさんやはり、健康になりたいと思っていると思うんですね。
そのために必要な情報が提供されてくれば、
病気になる前のところは
“セルフケア、セルフメディケーション”で維持をしていくと。
残念ながら病気になった場合は国民皆保健や先進医療等の仕組みで
最先端の医療を保健の形で提供していくと。
こういった形で、ご自分ができるだけ
長生き、健康長寿を実現できるような考え方に基づいて
生活ができるようになるのではないか、
これを期待しているということになります。


■もうひとつの動き

実は今回の制度はもうひとつ大きな変化があって、
サプリメントだけではなくて、普段食べている食事の農作物にも
機能性表示が解禁されます。もちろん「
効果のある成分がちゃんと必要量以上入っているということが
毎回同じように生産できている」ということが条件になりますが、
これは世界で初めての解禁になります。
例えば“はいいぶき”と呼ばれる品種のお米には、
血圧を下げる効果があるとされる “ギャバ”という機能性成分が
多く含まれています。すると近い将来、このお米には
“血圧が高めの方へ”という機能性表示が
可能になるかもしれません。


■将来の展望

実際、いくつかの企業では
そうした機能性成分を含んだ味噌汁の開発や、
スープの開発、あるいはそうした食事の弁当を作ろうということで
実はいろんな試みがすでに始まっています。

今日はちょっと疲れやすい、そういう時には
疲れの回復をしやすいようなお弁当を食べるなど、
そうした生活もできるようになるかもしれませんし、
いろんな食生活に対する影響があると思うんですね。

ですから、普段の食生活に気をつけて足りなければサプリメント、
それでもだめなら病院を受診ということで、
それはご自分の努力次第というところもあるので
ぜひみなさん頑張っていただきたいと思います。


■まとめ

そして今は、表示に当たってどの程度までの表現が可能となるのか
最終的な調整が進められているそうです。
近い将来、ドラッグストアやスーパー、コンビニエンスストアの店頭には
機能性表示が書かれたさまざまな食品が並ぶことでしょう。
今後の展開に期待です。

脳血管内治療

 
今回、脳血管内治療についてお話を伺ったのは、
福岡大学筑紫病院 脳神経外科部長 教授の
風川 清(かぜかわ きよし)先生です。


■脳血管内治療とは

脳血管内治療とは脳の病気に対して開頭することなく、
血管を利用して体の中からアプローチする手術のことです。
もともとはカテーテルと呼ばれる
医療用の細い管と造影剤を使って脳の血管の検査をする
「脳血管造影」という検査法から発展した治療法です。
主に足の付け根など体の表面近くにある
比較的太い血管からカテーテルを挿入して、
大動脈を経由して脳内の病変まで進ませて、
さまざまな器具や薬品を用いて病気を治療します。
カテーテルなどの器具の改良に伴って
1990年代から急速に広まっていて、
現在、国内では年間1万件以上の脳血管内治療が行われています。


■脳血管内治療の手順

脳血管内治療の手術ではまず足のつけ根から
“シース”と呼ばれるチューブを血管に刺し込みます。
そしてその中に“ガイドカテーテル”と呼ばれる
直径3mm程度のチューブを挿入して、首の辺りまで進めます。
さらに“ガイドカテーテル”の中に
“マイクロカテーテル”と呼ばれる直径1mmほどの
非常に細くて柔らかいチューブを通して、
脳の患部へと到達させて血管の中から治療を行います。


■対象となる病気

脳血管内治療の対象となる病気は脳動脈瘤や、
脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻といった、
出血を引き起こしたり脳血流の異常を引き起こす病変で、
プラチナ製のコイルや、
血液中で固形に変化する液体塞栓物質を注入し、
異常血管、動脈瘤を閉塞して治療します。

さらに脳梗塞を引き起こす、
脳内や首の細くなった血管に対してはバルーンを挿入したり、
ステントという金属製のメッシュの筒を挿入して、
血管を拡げて血流を改善させます。
またコイルとステントを併用することによって、
コイル単独では治療できなかった入り口部分の広い動脈瘤でも
正常血管にコイルが逸脱することなく
安全に治療できるようになってきました。
このように新しい技術の進歩に伴って、今後ますます
脳血管内治療の対象疾患は拡大していく傾向にあります。


■脳血管内治療のメリット

脳血管内治療は手術に伴う傷が小さく、
医師の手が脳に直接触れることもないので、
開頭手術と比べて患者の身体への負担が極端に軽く、
入院期間も短くて済みます。
さらに開頭手術では治療が難しい脳の中心部分に対しても、
患部周辺の脳に影響を与えることなく到達して
治療を行うことができます。
また脳血管内治療は全身麻酔で行われることが多いですが、
局所麻酔でも行うことができるため、
高齢者や心肺機能の低下した人など
全身麻酔では危険が伴う場合でも
治療ができるというメリットがあります。


■脳血管内治療のデメリット

脳血管内治療のデメリットとして、
まれに合併症が起きることがあります。
脳血管内治療で使用するコイルやステントは
人体にとっては異物となるため、
血管の中で血液が付着して血栓ができて、
脳梗塞の原因となることがあります。
また極めてまれですが、治療中に脆弱な脳血管が破綻して、
くも膜下出血を引き起こしてしまうこともあります。

さらに血管内治療は血管撮影を行いながら行うので、
造影剤に対するアレルギーには気をつけなくてはいけませんが、
重篤なアレルギーの発生は20万人から40万人に1人の割合
と言われています。
このように脳血管内治療には多少の合併症はありますが、
従来の開頭手術に比べて危険性が高いということはなく、
治療前に主治医から十分な説明を聞いて、
納得して治療を選択することが大切です。


■まとめ

現在(2014年7月5日現在)、脳血管内治療の専門医は全国に872名で、
これからますます増えていくと予想されています。
今なお進化する医療技術とそれを駆使する人の努力が、
より安全で効果的な脳血管内治療の普及を支えています。

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