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多発性のう胞腎

 
今回、多発性のう胞腎についてお話を伺ったのは、
福岡赤十字病院 副院長・腎臓内科部長の
平方秀樹(ひらかた ひでき)先生です。


■多発性のう胞腎とは

多発性のう胞腎とは2つある腎臓の両方に
“のう胞”という液体が溜まった袋がたくさんできて、
それがどんどん大きくなる病気です。
数が増えてくると腎臓の機能が障害され腎不全になります。


■腎臓とは

腎臓は体の後ろ側、腰骨のあたりに2つあり、
握りこぶしよりやや大きめのソラマメのような形をした臓器です。
その働きは、血液をろ過して老廃物を尿として排泄する。
体内の水分や電解質のバランスを調節する。
赤血球を造る手助けをする、血圧の調整をする、
骨の生成に欠かせないビタミンDをつくるなどです。
腎臓内には血液がろ過された後の
「ろ液」を調整する尿細管が無数にありますが、
その表面にある細胞に異常が起こると一部が丸く膨らんで、
中に液体が詰まった“のう胞”という袋ができます。
これが増えて大きくなるのが 多発性のう胞腎です。


■多発性のう胞腎の特徴

多発性のう胞腎はほとんどが遺伝性です。
正確な患者さんの数は分かっていませんが、
現在3万人くらいの方が医療機関にかかっていて、
それ以外の方を含めると総数は10万人から20万人と言われています。


■多発性のう胞腎の症状

多発性のう胞腎はのう胞が大きくなり
数も増えてくる30歳から40歳ころに症状が起こってきます。
血尿、お腹に張りやしこりがある、わき腹や背中が痛む、
血圧が上昇するなど症状は多彩です。
家族に病気があることを知って専門の病院を受診される方もいます。

そして多発性のう胞腎の約半数の方では腎不全が進行して、
50歳から60歳で透析を始めることになります。
現在わが国には30万人以上の透析患者がいますが、
そのうちのおよそ4%の人は、
この多発性のう胞腎に由来するとされています。

また、のう胞は腎臓だけでなく肝臓やすい臓にも発生します。
他、合併症として高血圧が大多数の患者に見られ、
さらに人によっては脳動脈瘤や心臓の弁の異常といった合併症も起こります。


■多発性のう胞腎が分かったら

多発性嚢胞腎だからといって
今すぐに何か深刻な事態が起こるわけではありません。
仕事、スポーツ、旅行など普通にされて問題ありません。
食事は腎臓への負担を減らすように
低タンパク食、減塩を心がけましょう。
腎臓専門医をお訪ねになり
病気と上手につきあうことが大切だと思います。


■多発性のう胞腎の治療

多発性のう胞腎の治療は
腎不全の進行を抑制することが第一となります。
最近、のう胞の成長に“バゾプレッシン”というホルモンが
関わっていることが明らかになりました。
このホルモンの作用を抑制すると
のう胞が大きくなるスピードが遅くなり、
腎機能障害の進行も遅くなることが確かめられていて、
その作用を生かした新薬が開発されています。

この薬を病気の早期、のう胞が少なく、
大きくなっていない時期から使用を開始すると
腎不全への進行が抑えられると期待されています。
新薬は“病気そのものを治す”ものではありませんが、
腎機能低下の進行をゆるやかにして、人工透析を始める時期を
少しでも遅らせることができるものとして期待がもたれています。


■先生より

多発性のう胞腎はほとんどの場合、遺伝の素因がある方に発病します。
すなわち、その発症を予防することは困難です。
しかし今、この病気の進展をおさえうる薬が登場しました。
多発性のう胞腎を早期から治療して、
腎不全の進行を抑えることができるかもしれないのです。
そのことを患者さんにお伝えしたいと思います。


■まとめ

多発性のう胞腎では遺伝はとても重要な問題です。
自分や自分の子どもが検査を受けて、その時にはのう胞がなくても
将来、発症する可能性があります。
多発性のう胞腎の検査やその後の対処は専門医と本人、
家族が十分に話し合って決めましょう。

更年期障害

 
今回、更年期障害についてお話を伺ったのは、
福岡大学医学部 産婦人科学教室 主任教授の
宮本新吾(みやもと しんご)先生です。


■更年期とは

更年期とは閉経をはさんだ前後10年間ぐらいの時期です。
日本人女性の平均閉経年齢は50歳ぐらいと言われているので、
45歳から55歳ぐらいまでの期間を更年期と考えることができます。
更年期は非常に大変な時期で、
閉経の時期が近づくと卵巣の働きが急激に低下して、
女性ホルモンの一種であるエストロゲンが特に急激に減少します。
そのために血流や自律神経がおかしくなって不調をきたしますが、
それによるさまざまな症状を総合して更年期障害といいます。


■エストロゲンと更年期障害

卵巣から分泌されるエストロゲンは
子宮に作用して妊娠を助けるだけでなく、
神経から皮膚・血管・骨・脳に至るまで幅広く作用して、
女性の体を守っている重要なホルモンです。
更年期にエストロゲンが減少すると
それを感知した脳は盛んに卵胞刺激ホルモンを出して、
卵巣にエストロゲンの分泌を促します。

ところが卵巣にはその要求に応える力が残っていないため、
エストロゲンの減少と卵胞刺激ホルモンの増加という
ホルモンバランスの乱れが起こってしまいます。
エストロゲンの急激な減少に体がついて行けず
心身の不調が起こりやすい状態になるのです。
さらに更年期に直面しがちな子どもの独立や結婚、
親の介護といった環境の変化、家庭や職場でのストレスなども
更年期障害が発症する引き金になると考えられています。


■更年期障害の症状

更年期障害の代表的な症状は、
急に顔が熱くなったり汗が止まらなくなったりする
「ホットフラッシュ」です。
ほてりやのぼせがが中心で他にも肩こりや腰痛、頭痛、めまい、
不眠、倦怠感、うつ状態などさまざまな症状があります。
症状の出方や強さ、期間などについては個人差があり、
ほとんど症状のない場合もあります。

ただし軽症も含めると更年期の女性の60〜70%では、
何らかの症状が出るといわれていて、
日常生活に支障をきたすほど症状が強い場合には
当然治療の対象となります。


■更年期障害の治療法

更年期障害の治療で最も効果的とされているのが
ホルモン補充療法です。
減少したエストロゲンを飲み薬や貼り薬、塗り薬で補って、
急激なホルモンバランスの変化をなだらかになるよう修正することで、
不快な症状を和らげます。
一方で、不正出血や下腹部のハリといった
副作用が出ることもありますが、
その多くは体が治療に慣れてくる1〜2ヵ月の間に治まりますし、
薬の量や頻度の調節で改善することもできます。


■ホルモン補充療法について@

以前は乳がんを発症しやすくなるとされていましたが、
その後の調査や研究で他の発症リスクと比べて
乳がんの危険性が低いことが分かり、
ホルモン補充療法は更年期の女性にとって、
よりメリットの多い治療として再評価されています。


■治療について

ホルモン補充療法の他には、
症状に応じて漢方薬や抗うつ剤を使用することで
より高い治療効果が得られます。
またホルモン補充療法には、閉経後に発症しやすい
骨粗しょう症や動脈硬化などを予防・改善するという働きもあり、
さらにはコラーゲンを増やして
肌のハリや潤いを取り戻す効果もあるので、
更年期障害の症状が治まった後でも注意深くホルモン療法あるいは
それに準じた治療を続けることで、
より健康的な老年期を迎えることができると思います。


■まとめ

更年期障害はありふれた病気ですが
放置すると深刻な事態を招く恐れもあります。
気になる症状が続いたら専門医を受診して
しっかり診てもらいましょう

すい内分泌腫瘍

 
■概要

2845人…。
これは今から9年前の2005年にわが国で初めて調査された、
ある病気の患者数です。
そして2010年の再調査でその数は3528人に。
わずか5年で1.3倍近い増加をみせる病気の正体は
“すい内分泌腫瘍”。
さまざまなホルモンを分泌するすい臓の
内分泌細胞から発生する悪性の腫瘍で、
専門医や関連する情報が少ないことも手伝って
的確な診断と治療が難しい疾患とされています。

今回、すい内分泌腫瘍についてお話を伺うのは、
九州大学大学院 医学研究院 病態制御内科 准教授の
伊藤鉄英(いとう てつひで)先生です。


■すい内分泌腫瘍とは

私たちの全身には
“神経内分泌細胞”と呼ばれる細胞組織が広く分布していますが、
そこからできる腫瘍が神経内分泌腫瘍です。
神経内分泌腫瘍は胃や十二指腸、肺や大腸、小腸など
体のあらゆるところから発症しますが、
それらのうち、すい臓にある神経内分泌細胞からできたものが
すい内分泌腫瘍です。
すい内分泌腫瘍は比較的まれな腫瘍といわれてきましたが、
iPadやiPhoneをこの世の中に出したスティーブ・ジョブズ氏が
2011年にこの病気で亡くなって以来、
非常に注目を浴びるようになっています。


■特徴

すい内分泌腫瘍の組織を見ると、がんに似ているということで
当初は“がんもどき”カルチノイドという言葉がつけられました。
しかし実際は進行はゆっくりながら転移を起こしてくるということで
2010年のWHO(世界保健機関)の定義では悪性腫瘍と定義されました。


■すい臓とは

すい臓の役割は大きく二つあります。
ひとつは食物の消化を助ける“すい液”を分泌する
「外分泌機能」です。
一般的にいわれる“すいがん”は
このすい液を運ぶ、すい管から発症するものを指します。
もうひとつはホルモンを作り出す「内分泌機能」です。
すい臓には血液中の血糖値を調節するインスリンをはじめ
さまざまなホルモンを分泌する“ランゲルハンス島”という
内分泌細胞の集まりがあります。
すい内分泌腫瘍はこのランゲルハンス島から発症するものを指します。


■すい内分泌腫瘍の症状

すい内分泌腫瘍には症状があるタイプと症状がないタイプがあります。
これはどう分けているかというと、
内分泌細胞が腫瘍になっているのですが、
その腫瘍からホルモンが出ているか出ていないかということで
症状があるなしが分けられます。
症状がないものはなかなか気づかれずに腫瘍が大きくなって、
または肝臓などに転移ができてから見つかることが多いです。

一方、症状がある場合では、
血糖値を下げるインスリンというホルモンが過剰に分泌されると、
低血糖から意識障害や眠気、思考の低下などが見られます。

また血糖値を上げるグルカゴンの過剰分泌では
下腹部から太ももにかけての皮膚に赤い斑点ができたり、
高血糖から糖尿病になることがあります。
他に胃酸をコントロールするガストリンが過剰に分泌されると
胃や十二指腸などに通常の治療ではなかなか治らない潰瘍が起こるなど、
ホルモンの種類によってさまざまな症状が見られます。


■注意点

すい内分泌腫瘍は一般的にいわれている
“すいがん”とはまったく違います。
すいがんは、すい液を運ぶすい管という細胞から発症するがんです。
すい内分泌腫瘍はホルモンを出す内分泌細胞から発症する
悪性腫瘍のことをいいます。
すい内分泌腫瘍とすいがんではまったく治療が異なるので、
すい内分泌腫瘍なのに膵がんの治療をしているうちに
肝臓や肺に転移がきたりして、非常に悪化してしまいます。

従って、すい内分泌腫瘍と診断して的確な治療をするということが
患者さんにとって大切なことになります。


■すい内分泌腫瘍の超音波検査

超音波内視鏡は胃カメラのように口から挿入されます。
そして胃の壁を通して超音波が出され、
より近くから すい臓を映し出します。
すい臓内になんらかの異物が見られたら、
胃の壁越しにすい臓に向けて針を刺し
組織を採取する穿刺(せんし)が行われます。
採取された組織は顕微鏡で観察され、
すい内分泌腫瘍や膵がんを疑うような異物がないか丹念に調べられます。
的確な診断に欠かせない超音波内視鏡検査。
今、全国の医療機関で取り組みが進められています。


■すい内分泌腫瘍の治療

すい内分泌腫瘍は可能であるかぎり
外科的手術で腫瘍の切除を選択します。
手術できない患者さんには薬物療法や局所療法を行います。
薬物療法では近年、分子標的薬が開発されています。
従来の抗がん剤に比べ周りの正常な組織を破壊することなく、
ピンポイントで腫瘍の増殖を抑えるものです。
局所療法とは肝臓に転移が見られる場合に腫瘍に電極を当て、
ラジオ波という高周波で焼いたり、
腫瘍に酸素や栄養を送る血管の流れをふさぐといった治療法です。


■先生よりまとめ

最近、それぞれ疾患別にバッジが作られています。
例えば、すいがんでは紫、
乳がんではピンクといったようなものですが、
すい内分泌腫瘍ではシマウマ、ゼブラマークを使っています。
すい臓に腫瘍を見つけたら、すいがんだけではなくて
すい内分泌腫瘍を思い浮かべようというようなことで、
“馬の足音を聞いたら、通常の馬(すいがん)ではなくて
シマウマ(すい内分泌腫瘍)を思い浮かべよう”ということで
このゼブラの模様になりました。

今後増えてくる可能性が非常に高いので、
このような病気を知っていただくことも大切ではないかと思います。

かかりつけ医をもとう

 
■概要

自分や家族の健康を支えてくれる“かかりつけ医”。
風邪をひいた時、健康診断で異常を指摘された時、
なんだか調子が悪い時…。
ホームドクターとして何でも相談できる心強い存在です。
ところが日本医師会の調べによると、
実際に“かかりつけ医”がいると答えた人は
全体のおよそ半分に過ぎません。
しかも若い世代になるほどその割合は下がって、
29歳以下では3分の1以下になってしまいます。

今回、“かかりつけ医”についてお話を伺ったのは、
福岡逓信病院 院長の津田泰夫(つだ やすお)先生です。


■かかりつけ医とは

かかりつけ医とは普段から健康や病気について相談をしたり、
診察をしてもらう医師のことです。本人だけではなく家族のことも
今までどういう病気をしたかなど把握しているので
気軽に相談ができます。
また、かかりつけ医だけで全ての治療ができるとは限らないので、
専門外の領域については
大きな病院や他の先生を紹介するといった役割もあります。


■医療機関とは

医療機関にはそれぞれ役割がありベッド数が20床以上の所は病院、
19床以下の所は診療所というように分けられています。
診療所は比較的軽症の患者が通院して治療を受ける場所で、
病院は特殊な検査や入院が必要な患者の治療が主な目的です。
なかでも大学病院や総合病院は、
高度な医療を必要とする重症度の高い患者さんを
主に治療するという役割があります。
他にも地域に密着した中小規模の病院があり、病気の種類や程度など
患者のニーズに合わせて対応できるようになっています。


■問題点

実際は、軽症にも関わらず
大学病院や総合病院をいきなり受診する患者が後を絶ちません。
その結果、これらの大きな病院では、
やむを得ず限られた診療時間内で診察を済ませなければならないために
患者からすると「数時間待って数分の診察」
のようなケースが起きてしまいます。


■かかりつけ医のメリット

かかりつけ医のメリットはいろいろあります。
大きな病院では予約が必要な検査でも、
かかりつけ医の医療機関であれば、
比較的すぐに受けられることが多く、
しかも家族の病歴や健康状態までを把握しているので、
本人以外でも、いざという時にはすぐに対応してもらえます。
また生活習慣病のような慢性疾患は
症状が出てからでは手遅れな場合もあり、
早く見つけて治療を始めることが大切ですが、
普段からかかりつけ医を利用していれば、
日常の健康管理を含めたきめ細かな診療が
慢性疾患の早期発見につながることも期待できます。


■かかりつけ医選びのポイント

福岡県医師会では、
日ごろから自分で医療について勉強をしていること、
日本医師会の生涯教育を受けていること、
地域のいろいろなイベントに出て
地域医療に貢献していることを判断材料にして、
「福岡県医師会 認定総合医」という証書を作り、
認定された医師に配っています。
今、福岡県にはおよそ8千人の医師がいますが、
そのうちおよそ1700人の医師が今年認定され証書をもらっています。
全ての診療科についていろいろ相談ができるという意味では
目安のひとつになると思います。

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