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糖尿病と食事

 
今回、「糖尿病と食事」についてお話を伺ったのは、
小倉第一病院 糖尿病・内分泌内科の
白水明代(しろおず あきよ)先生です。


■糖尿病とは

糖尿病は日本では食生活が豊かになるにつれて非常に増えていて
最近、話題になっている生活習慣病の
代表選手と言っていいと思います。
糖尿病とは血糖値が高い状態が続いて全身の血管が障害され、
さまざまな合併症が起こる病気です。
2012年の国の調査では、糖尿病が強く疑われる人と
その可能性が否定できない人の合計は
およそ2050万人と報告されています。


■糖尿病と食事

糖尿病を少しでも良くしようと思うと
食事のコントロールは避けられません。
どんなお薬を飲んでも、食事をきちんと制限しないと
糖尿病は改善しません。


■糖尿病のメカニズム

ご飯やパン、果物などに含まれる糖は小腸でブトウ糖に分解、吸収され、
血液中に取り込まれて“血糖”になります。
ブドウ糖は血流に乗って全身に送られ、
すい臓内の細胞から分泌されるホルモン“インスリン”よって
細胞に取り込まれ、エネルギー源になります。
しかしさまざまな理由でインスリンの効果が弱くなると
ブドウ糖が細胞へ取り込まれず、血液中に留まって
血糖値がずっと高い状態が続きます。これが糖尿病です。


■2型糖尿病

糖尿病にはいくつか種類がありますが、
最も多いのが“2型糖尿病”と呼ばれるものです。
遺伝的な要因もある程度はありますが、
それよりも大きく発症に関わってくるのは生活習慣の乱れです。
特に肥満、食べすぎ(糖質のとりすぎ)、ストレス、
運動不足などが発症や悪化の要因となります。


■糖尿病の症状

糖尿病、とりわけ「2型」では多くの場合、
初期にはほとんど自覚症状は見られず、
“症状がないのが症状”といわれるほどです。
しかし進行すると血液内にブドウ糖が増えることで
のどの渇き、多尿、倦怠感といった症状があらわれます。
さらに糖尿病が長く続くと全身にさまざまな合併症が起こってきます。
中でも糖尿病網膜症、腎症、神経障害は
“3大合併症”と呼ばれていて、
最悪の場合、失明や人工透析の開始、
夜も眠れないほどのしびれや痛みに進行することがあります。

その他にも糖尿病が合併していて、
しかもそのコントロールが悪い状態を放置すると
動脈硬化の進行が非常に早まります。
すると血管が硬くなって、ひどくなると詰まって
脳の血管が詰まれば脳梗塞、心臓の血管が詰まれば心筋梗塞。
足の大きな血管が詰まると、ちょっと歩いただけで痛みが起きたり、
足の先から腐ってくる壊疽(えそ)が進んで、
ひどくなると足を切断しないと命を救えないということも起こります。


■糖尿病の食事指導

糖尿病というのは血糖が上がる病気なので、
その原因である糖質の制限、つまり糖を作り出すもとである
炭水化物(※ご飯、お菓子など)の制限が大事です。
2番目は1日の総カロリーの制限です。
特に肥満の人はカロリーを制限してやせることが
一番効率的な治療法になります。
肥満の人に多くついているのが“内臓脂肪”。
実は内臓脂肪の細胞には、血糖をコントロールする
インスリンの働きを抑える物質が数多く存在し、
その効果を阻害しているとされています。
肥満の人がやせてくると糖尿病の状態が良くなって、
場合によっては薬を飲む必要がなくなる、
インスリンを打たなくてもよくなるといった
改善が見られることがあります。

☆トライのコーナーでは北九州市小倉北区真鶴(まなづる)にある
洋菓子店「ボヌール」と小倉第一病院の共同開発で生まれた
ロールケーキ“ココロール(1カット¥328)”を紹介しました。
甘味料をはじめ素材に工夫をこらし、糖質量をおよそ90%カット。
糖質制限中の方も安心して食べられるロールケーキです。

【お問い合わせ】 
「ボヌール」 TEL 093(592)5066

冬の肌トラブル

 
今回、「冬の肌トラブル」についてお話を伺ったのは、
松田ひふ科医院 院長の松田哲男(まつだ てつお)先生です。


■冬の肌トラブル

冬の肌トラブルで1番多いのは乾燥肌で、
病名としては「乾皮症」、「皮脂欠乏症」と呼ばれます。
皮脂欠乏症では皮膚を覆っている皮脂が減少して水気を失い、
皮膚が細かくはがれ落ちたり、
ひどい時には亀の甲羅のようにひび割れてきます。

さらに皮膚のバリアが働かなくなると、
だんだん刺激を受けてかゆみが出て、
「皮脂欠乏性湿疹」と呼ばれる状態に移行してきます。
これをひっかくと「貨幣状湿疹」と呼ばれる、
丸いお金のような大きさの病変や細菌感染を、
さらにひっかくと全身がかゆくなる「自家感作性皮膚炎」を
起こすこともあります。


■肌の仕組み

肌のうるおいは皮膚の表面にある
角質層の働きで一定に保たれています。
角質層では天然保湿因子に蓄えられた水分を
角質細胞間脂質が封じ込めていて、
汗と一緒に毛穴から分泌された皮脂が肌を覆って
水分の蒸発を防いでいます。

ところがこれらの保湿成分は幼い子どもや高齢者は不足しがちで、
角質層にできたすき間から水分が蒸発してしまうので
肌が乾燥しやすくなります。特に冬は気温が下がるために
汗と一緒に分泌される皮脂の量が少なくなり、
空気も乾燥しているので皮膚の水分が蒸発しやすくなります。


■問題点@

注意が必要なのは入浴方法です。
日本人はしっかり温まって、しっかりこする習慣が続いています。
入浴も毎日行い、こする道具や石けんの力、
室温や湿度も違ってきているのに、しっかり温まって、
しっかりこすることだけは続けているわけです。
そうなると必要以上に皮脂を落とすことや、
水気を失うことが頻繁に起こります。


■問題点A

他にも現代の住宅は昔と比べて機密性が高く、
エアコンの普及で室内はますます乾燥しやすくなっています。
さらに空調が効いたオフィスで1日中働く人や
普段まったく運動をしない人は、
汗をかきづらく皮脂の分泌も少ないので肌が乾燥しやすくなります。
また年をとると誰でも肌が乾燥しやすくなるので、
一般に高齢になるほど皮脂欠乏性湿疹を初めとする
肌のトラブルが増えます。


■治療法

皮脂欠乏症の治療はスキンケアと薬物治療です。
スキンケアはお風呂から上がって、
まだ皮膚に水気が染み込んでいるタイミングで保湿剤を塗り
水気を封じ込めます。
治療ではかゆいところにはステロイドを中心とした外用剤を使い、
かゆみの強い人には抗ヒスタミン薬も使うことがあります。
さらに治療と併せて生活習慣の見直し、
特にお風呂の入り方や体のこすり方
(=肌は石鹸で優しくなでるように洗う)の改善も大事です。


■まとめ

冬の肌トラブルを代表する乾燥肌は寒くなると症状が悪化しがちで、
放っておくと湿疹を招くなど治療が必要になってしまいます。
早く治療するほど効果が高いので、
夜眠れないほどのかゆみを感じたら我慢しないで
早めに皮膚科を受診しましょう。

血管再生

 
今回、血管再生についてお話を伺ったのは、
大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学教授の
森下 竜一(もりした りゅういち)先生です。


■血管再生とは

血管再生とはさまざまな要因でその働きを失った血管に換えて、
再生医療の技術で新たに血管を作るという医療です。


■血管と動脈硬化

血管は私たちの全身に網の目のように張り巡らされていて
総延長はおよそ10万キロ。なんと地球2周半にも相当します。
そして心臓の拍動で生み出された血流に乗って
酸素や栄養が体のすみずみに運ばれています。
しかし、生活習慣の乱れなどで血管の壁が硬く厚みを増して
血管内が狭くなる“動脈硬化”が進むと血流がとだえ、
酸素や栄養が届かなくなって
最悪の場合、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。


■血管再生の現状

心筋梗塞、脳梗塞は私たちの死因のおよそ25%を占めています。
これらの病気は血管がつぶれることによって起こるので、
そのつぶれた箇所を迂回する新しい道路ができないか?
そこに新しく血液を入れてあげれば、
例えば心臓が助かるのではないか?
こうしたことが背景となって考え出された治療法です。
1990年代中頃から実際に患者さんで試されはじめて、
現在では一般的な治療になる1歩手前まできています。


■血管再生の方法

実際に行う方法は簡単で、
大阪大学では血管を再生する物質のひとつ
“肝細胞増殖因子(HGF)”を患者さんの筋肉に注射します。
治療では“肝細胞増殖因子(HGF)”から作られた物質が
まず筋肉組織の血管が多く走る部分に注射されます。
その後、筋肉の中で生まれたHGFタンパク質が
毛細血管に新たな血管を作るようシグナルを送ります。
すると毛細血管は増殖を始め、
まるで植物の根が伸びるように血管が伸びていきます。
やがて元の血管につながって、血流の迂回路となる
新たな血管ができるわけです。


■血管再生と糖尿病

この血管再生によって
今もっとも治療効果が期待されているのが糖尿病です。
食べ物が分解されてできたブドウ糖が血液中に留まり、
血糖値が高い状態が続く糖尿病。
わが国にその数は2000万人以上、
実に5人に1人が糖尿病かその予備軍だとされています。
糖尿病の合併症のひとつとしてあまり知られていませんが、
足に動脈硬化が起こってきます。
だんだん足の色が悪くなってきて腐り、
場合によっては足を切断しなければいけない。

血管を広げるお薬では効果がないので
血管を再生する治療を試そうということで、
今一番、現実の医療として近づいているのが
糖尿病の合併症としての足の動脈硬化、
“閉塞性動脈硬化症”という病気の治療になります。

現在、大阪大学病院ではこの閉塞性動脈硬化症と
手足の末梢血管が詰まる“バージャー病”で、
安静時の痛みや足に潰瘍がある患者さんを対象に
治療が進められています。


■血管と健康

“人は血管とともに老いる”という非常に有名な言葉がありますが、
血管が年をとる、老化をするということは人の死につながるので、
いかに血管を若々しく保つか、実はこれが一番重要な
“健康長寿への道”といえます。


■先生まとめ

新しく薬の法律が変わり、遺伝子治療・再生医療に関しては、
早く薬として認めるということが決まったので、
おそらく2年後くらいには、
一般の病院でも使ってもらえるようになると思います。
今年(2015年)の4月から
“患者申出療養(※2015年1月現在では仮称)”という、
患者さんの希望があれば先進医療を行っていない病院でも
血管再生の治療を受けられる仕組みができるので、
足の病気で血管が詰まっている方は
ぜひ使っていただきたいと思います。


■まとめ

血管再生は今、心不全による肩の痛みや運動能力の改善、
さらには脳梗塞による記憶力低下の改善を目指した治験や実験が進められています。
さまざまな病気の治療につながる可能性を秘めた血管再生、
今後の進展に期待です。

健康寿命

 
今回、健康寿命についてお話を伺ったのは、
中村学園大学栄養科学部教授、中村学園大学栄養クリニック院長の
中野 修治(なかの しゅうじ)先生です。


■健康寿命とは

健康寿命とは病気で寝こまない、介護を必要としないなど、
日常生活を制限されない期間のことをいいます。
一方で平均寿命とは生まれたばかりの人が、
その後どれくらい生きるのかを示しています。
つまり平均寿命と健康寿命の差が
介護や寝たきりで日常生活が制限される“不健康な期間”になります。
日本人の場合、健康寿命は男性が70.42歳、女性が73.62歳となっていて、
平均寿命との差は男性で9.13年、女性で12.68年にもなります。


■健康寿命の大切さ

“不健康な期間”は本人だけでなく、
お世話をする家族にも大きな負担となります。
さらに医療費や介護費用の増大といった
社会的な負担も大きくなります。
そこで1人1人が自立した幸せな老後を送るためにも、
医療と介護を支える社会の仕組みを維持するためにも、
健康寿命を延ばして、平均寿命との差を縮めることが必要とされています。


■健康寿命を延ばすには@

健康寿命を延ばすためには、病気の予防、健康の増進、
介護の予防につながることを実行することが大事です。
特に死亡率の第1位のがんは老化と同じプロセスで起こるため、
がんを防ぐことは老化を防ぐことにつながります。
例えば、がんの発生要因は食事、喫煙、運動不足、過度の飲酒など、
およそ7割が生活習慣であることが分かっています。
特に食生活は一生の問題なので、早い段階から見直すことが必要です。

具体的には遺伝子であるDNAを保護するために、
抗酸化作用や抗炎症作用、抗がん作用がある食べ物をとる必要があります。


■フィトケミカル

抗酸化作用や抗炎症作用のある栄養素として最近、
注目されているのがフィトケミカルです。
フィトケミカルは野菜、果物、海藻、お茶やハーブなど、
植物性食品に含まれる化学物質で、
現在およそ1500種類が発見されています。
主なフィトケミカルには赤ワインのアントシアニンや
お茶のカテキンに代表されるポリフェノール、
ニンジンのβカロテンやトマトのリコピンに代表されるカロテノイド、
ニンニクやネギに含まれるイオウ化合物などがあります。

また最新の研究でフィトケミカルには
免疫細胞の活性化や発がん物質の無毒化、
がん細胞に直接働きかける抗がん作用も確認されています。
そのためフィトケミカルを積極的に摂取することが
健康寿命を延ばすと考えられています。


■健康寿命を延ばすにはA

健康寿命を延ばすには食事の内容とともに
量にも気を配る必要があります。
特に肥満や過食は乳がん、大腸がん、子宮体がん、
前立腺がんなどの発症や再発に深く関連しているといわれています。

さらに老化やがん、動脈硬化を促進する炎症ホルモンの分泌を促し、
長寿遺伝子であるサーチュインの働きを抑えることも分かっています。
このように科学的根拠にもとづいて
健康寿命に影響する食事への理解を深め、
食事内容、特に野菜・果物を多く摂取することや
過食による肥満を予防・改善していく
“知的食生活”を実践することが
健康寿命を延ばす確実な方法と考えられます。

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