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宗像 沖ノ島〜祈りの原点をたずねて〜

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紫外線

 
今回、紫外線についてお話を伺ったのは
福岡大学医学部 皮膚科 講師の
伊藤宏太郎(いとう こうたろう)先生です。


■紫外線とは

太陽からは紫外線・赤外線・可視光線の
3種類の太陽光線が出ていて、
その中で最も波長が短く、エネルギーの量が高く、
我々の目に見えない光のことを紫外線と呼びます。
その紫外線自体も波長の長さによって
UV-A・UV-B・UV-Cに分けられます。

紫外線UV-A・B・Cのうち地上にまで届くのは
UV-AとUV-Bの2種類で、
もっとも有害なUV-Cはオゾン層でブロックされます。
紫外線量は緯度が低いほど強くなり、
日本列島では九州地方は特に紫外線が強いとされ注意が必要です。
また時期的にはこれからその量は増え始め
6月〜7月にピークを迎えます。
日本人の多くは、日焼けのあと赤くなるとされていて、
これは紫外線に対する防御能力が弱く、
紫外線対策が必要だということを示しています。


■紫外線対策を怠ると…

紫外線による皮膚の障害としては大きく分けて皮膚の老化と
皮膚の発がん、“皮膚がん”の発生があります。
紫外線が関係するがんとして、もっとも頻度が高いのは
有棘(ゆうきょく)細胞がんで
高齢者の顔面や腕、紫外線があたる部分が赤くガサガサしたり、
一部が盛り上がってきたり、
血が出るようになったりという変化が出てきます。
皮膚だけでなく体の中のリンパ節に転移することもあるので
早期の診断治療が非常に重要です。

また違う種類の皮膚がんである基底(きてい)細胞がんは
一見するとホクロのように見えますが、
色が青黒く光沢を持っているのが特徴です。
転移の可能性はほとんどないといわれていますが
見つかったら早めの治療が必要です。
経過を見ていくうちに大きくなってくるできものや濃い色のできもの、
色の濃い部分と薄い部分という感じで
色ムラがあるようなできものには注意が必要です。
皮膚がんは60歳を過ぎると特に注意が必要です。
気になる人はなるべく早く診察を受けましょう。


■皮膚がんと紫外線

皮膚がんのもっとも大きな原因は紫外線です。
紫外線をいかに予防できるかが一番大事ですが、
有色人種の場合にはある程度メラニンが元々あるので、
もともとメラニンをあまり持っていない白人に比べると
皮膚がんのリスクというのが
ものすごく高いというわけではありません。
紫外線に注意することは必要ですが、
過度に心配しなくてもよいと思います。


■紫外線対策

対策は基本的には長袖・帽子・日傘、この着用が基本です。
ただ紫外線というのは上からだけではなく、
地面からの照り返しもあるのでサンスクリーン剤の使用が大事です。
サンスクリーン剤を選ぶときにSPF・PAという強さの値があり、
そこを気にする人が多いようですが、
大事なのは適切な量を適切な回数塗るということです。
真夏の暑いときなどは2〜3時間ごとに塗りなおさないと
汗で流れてしまうので、液状のものであれば、
手のひらに1円玉ほどの大きさの量を出して、
顔に2度塗りするのが適切な量と言われています。


■まとめ

毎年日焼け止めを使っているのにシミなど
お肌のトラブルにお悩みのアナタ。
正しく使っているかどうか、一度チェックしてみてはいかがですか?

大腸ポリープ

 
今回、大腸ポリープについてお話を伺ったのは、
福岡赤十字病院、消化器内科部長の
平川克哉(ひらかわ かつや)先生です。

■大腸ポリープとは

そもそもポリープとはイボのように突出した物を言いますが、
大腸ポリープとは大腸粘膜から内腔に飛び出した病変を言います。
大腸ポリープは腫瘍性と非腫瘍性の2つに大別され、
腫瘍性に属する腺腫から発がんすると考えられています。
ポリープの自覚症状は特にありませんが、
大きくなってくるとポリープの表面から出血が起こり
便に血液が混ざったり、ポリープが腸のぜん動とともに
牽引されて腹痛を生じることがあります。


■大腸ポリープの種類

代表的なものに炎症性、過誤腫性(かごしゅせい)、
腺腫(せんしゅ)の3つがあります。
炎症性のポリープは潰瘍性大腸炎やクローン病、感染症など、
腸に強い炎症を引き起こす病気にかかった後に
傷痕のような形で発生します。
過誤腫性のポリープは子どもに多く見られ、
出血しやすいため血便がきっかけで発見されることもあります。
これら2つのタイプは非腫瘍性で、
基本的に正常な細胞が集まってできているので、
放置してもがん化することはほとんどありません。
腺腫とは大腸粘膜の上皮細胞に腫瘍性変化が生じて発症します。
腺腫は良性腫瘍ですがゆっくり大きくなり、
その過程で一部にがんが発生します。

したがって腺腫は大腸がんの予防として治療されます。
腺腫の一部に、がんが発生した状態を腺腫内がんと言いますが、
腺腫の直径が1cmを超えると20%以上の頻度で腺腫内がんが
含まれると言われています。


■大腸ポリープの検査

大腸ポリープが見つかるきっかけになるのが
集団検診で行われる便潜血検査です。
肉眼では確認できない微量の血液が
便に混入していないかを調べますが、
大腸ポリープだけでなく腸の炎症や痔でも陽性と診断されます。
そこで便潜血検査が陽性だった場合はさらに精密な検査が必要です。

最近ではカメラ付きの管を肛門から挿入して
大腸全体の様子をモニターで観察する、
大腸内視鏡検査を行うのが一般的になっています。
大腸内視鏡検査はポリープの検出率が高く、
見逃しが少ないことに有効性があります。

またポリープの表面の所見で腺腫かそれ以外のポリープか
判断することが可能です。
さらに必要に応じ組織の一部を採取し、
顕微鏡的に診断することが可能ですし、
ポリープ全体の切除も可能です。
腺腫を内視鏡的に切除する条件として
大きさが5ミリ以上の場合があげられます。
しかし大きさが5ミリ以下でも
極めてまれにがんである場合があり、
形がいびつであったりポリープの表面に
陥凹がある場合は切除します。


■まとめ

大腸ポリープが見つかったら積極的に切除することが、
大腸がんで命を失わないことにつながります。
また大腸ポリープが発見された人は、
大腸にポリープができやすい体質だと考えられるので、
治療後も定期的に内視鏡検査を受けることが大切です。

総合診療医とは?

 
今回、“総合診療医とは?”についてお話を伺ったのは、
福岡大学病院 総合診療部 教授の
鍋島茂樹(なべしま しげき)先生です。

■総合診療医とは

総合診療医とはその名の通り、
患者さんの診断や治療などにおいて
“総合的な診療能力を持った医師”のことです。
自分の身近にいて、体のことをはじめ、
何にでも相談にのってくれる
“町のお医者さん”といったところでしょうか。

また患者さんの病状など必要に応じて
専門医への橋渡しも行うといった重要な役割も担っています。


■なぜ今、総合診療医が重要?

わが国では最近、いろいろな病気がある人や、
高齢になってたくさん病気を抱えている人が多くなっています。
こうした人がいったん体の変調をきたしたときに、
どこにまず受診したらいいのか分からない。
いろんな科を受診して、いわゆる“ドクターショッピング”
(※患者がよりよい医療を求めて病院を渡り歩く)を
繰り返す人もいます。

こういったときに総合診療医が最初にきちんと診断して、
しかるべき初期治療をするということが大切です。

さらに総合診療という分野は患者側だけではなく
医師側にとってもとても大事です。
特に最近、医療の
“臓器別細分化(※肝臓内科、呼吸器外科など)”が
どんどん進んできています。

これはこれで患者さんにとっては
高度な医療が受けられるメリットもありますが、
逆にいえば若い医師は、幅広い知識や経験を得る機会が今、
どんどん少なくなっています。
すると患者さんが来たときに、自分の専門分野は診られるものの、
それ以外のことが分からないといった現象が多く起こってきます。
それを解消する意味で総合診療というものは
必要な分野ではないかと考えられます。


■総合診療医による診察

総合診療医による診察は特別なものではなく、
一般的な問診や触診、必要に応じて採血検査など
簡単な検査が行われます。
そこではひとつの病気にとらわれず、
あらゆる可能性を考えて病名が探し出されます。


■鍋島先生の経験より

「熱が続いて関節が痛いということで、
インフルエンザの検査をしても異常なしという人の
皮膚をよく見ると赤い大きなアザがあった、
つまりダニの感染症であったとか、
高齢者でめまいがしてフラフラすると。
“脳の病気じゃないか”ということで
送られてきた人をよく診ると耳のところに
プツッと水疱があった、帯状疱疹なんです。
大切なのは“診察をよくする”ということです。
そうすると解けない謎も解けてくることがあります。
そういったことを非常に大切にしています。」


■先生よりまとめ

今後、総合診療医はますます増えていって
必要性も増してくると思います。
体に変調がきたときとか“病気になったかなあ”と思ったときには
普段かかっているお医者さんでも構わないですし、
それがない場合は近くの病院の総合診療医に
かかっていただいたらなと思います。

過敏性腸症候群

 
今回、過敏性腸症候群についてお話を伺ったのは、
九州大学病院 心療内科 教授の
須藤信行(すどう のぶゆき)先生です。

■過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群とは大腸や小腸に明らかな病変が見られないのに
下痢や便秘をはじめとしたさまざまな症状を慢性的に繰り返す病気で、
最近は英語の頭文字をとって“IBS”と呼ばれています。
主な症状は便通異常のほかに腹痛や嘔吐、ガスがたまって
お腹が張る腹部膨満感、頭痛やめまいといった
消化器以外の症状が出ることもあります。

症状の傾向は大きく分けて、
お腹の張りや痛みを伴う便秘が特徴の便秘型、
腹痛を伴う下痢が特徴の下痢型、
便秘と下痢を交互に繰り返す混合型があり、
便秘型は女性に多く、下痢型は男性に多い傾向があります。


■過敏性腸症候群の診断

症状から過敏性腸症候群が疑われると、
病院では便の検査、X線検査、内視鏡検査などが行われます。
もしこれらの検査で異常が見つかれば、
腸炎や潰瘍(かいよう)、腫瘍(しゅよう)といった
別の病気が原因だと考えられます。

検査で特に異常がないのに半年以上前から
腹痛やお腹の不快感といった症状を繰り返している場合、
さらに最近3ヵ月間は月に3日以上の割合で
症状が排便によって改善する、
排便回数が変化して発症する、
便の状態が変化して発症するという3項目のうち、
2つ以上が当てはまると過敏性腸症候群と診断されます。


■過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群の原因ははっきりとは解明されていませんが、
主にストレスが引き金になって脳による消化管ホルモンの調節が
うまくいかなくなり、腸の動きがおかしくなると考えられています。
もともと胃腸はストレスに敏感な臓器で、
ストレスが強いほど影響を受けやすく、
例えば月曜日の朝や外出前に症状が強くなる一方で、
睡眠時や休日前にはあまり症状が見られないという特徴があります。

さらに症状が繰り返されることで腸が刺激に対して過敏になり、
わずかな痛みや腸の動きから脳のストレス反応を誘発して
さらに症状が強くなるという悪循環に陥ってしまうことがあります。


■過敏性腸症候群の治療

過敏性腸症候群は胃や腸にはっきりとした異常が
あるわけではないので、手術で治せる病気ではありません。
そこでまずは症状に大きく影響しているストレスの解決や
発散、食生活を初めとした生活習慣の改善などによって、
なるべくリラックスした生活を送ることが大切です。

さらに症状に合わせて胃腸の働きを正常に戻す
消化管運動調節薬や、腹痛を和らげる鎮痛薬、
便秘に対しては下剤、
ストレスに敏感な患者さんには抗不安薬を処方するなどして、
薬物療法で完治を目指します。

最近では、腸のぜん動運動に関係している
セロトニンという物質の働きを抑える
「セロトニンのタイプ3受容体拮抗薬」が登場して、
男性に多い下痢型の治療薬として高い有効性が実証されています。
また最新の研究で腸内細菌のバランスが崩れ、
いわゆる悪玉菌が増えることで、
腹痛や腹部の不快感といった腸の知覚過敏が
引き起こされることが分かってきました。

こうした研究をふまえて悪玉菌を減らす抗生物質や
善玉菌を増やす乳酸菌製剤、さらに食物繊維を
積極的に摂取して腸内環境を整えることが治療につながる、
という報告も出てきています。

さらにストレスが大きい患者さんに対して、
これらの薬物療法に加えて、カウンセリングなどの
心理療法を行うこともあり、九州大学病院では
「マインドフルネス」や自律訓練法という方法を実践しています。


■まとめ

過敏性腸症候群は日本人の10%から20%が
悩んでいると言われています。
下痢や便秘といったお腹の不調は軽く考えがちですが、
生活に支障をきたすほどトイレが気になるなら、
早めに病院を受診してしっかり治しましょう。

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