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足の動脈硬化

 
今回、足の動脈硬化についてお話を伺ったのは、
済生会福岡総合病院 血管外科 主任部長の
伊東 啓行(いとう ひろゆき)先生です。


■足の動脈硬化

動脈硬化とは血管の壁が硬く厚みを増し、血管内が狭くなる状態です。
心臓の血管に動脈硬化が進めば心筋梗塞や狭心症の原因になり、
脳の血管に動脈硬化が進めば脳梗塞の原因になります。
同じように足の血管に動脈硬化が進むと、
歩行障害など日常生活でいろいろな不具合を
きたしてくることになります。
また足に動脈硬化が進むということは足以外の重要な動脈、
例えば心臓や脳の動脈などにも同じように
動脈硬化の病変があると考える必要があります。


■血管と動脈硬化

私たちの全身に網の目のように張り巡らされている血管、
総延長はおよそ10万キロ、地球を2週半することになります。
そして心臓の拍動で生み出された血流に乗って
酸素や栄養が体のすみずみに運ばれています。
しかし血管内が狭くなる動脈硬化が進むと血流がとだえたり、
流れが悪くなることで、酸素や栄養が届かなくなり、
人によっては心筋梗塞や脳梗塞へとつながります。


■足の動脈硬化の特徴

発症は50歳、60歳といったような中年以上、
頻度的には男性のほうが多いです。
特に危険因子として糖尿病、それから高血圧、
それからコレステロールが高い高脂血症などが挙げられます。
また足の動脈硬化に非常に悪い影響を及ぼすものとして
“喫煙”があります。
糖尿病は全身の動脈硬化をどんどん悪くしてしまいますが、
喫煙にも同じような働きがあります。
さらに喫煙は動脈硬化だけでなく、
細い血管を収縮させてしまう働きがあるので、
それによって手足の血液の循環が悪くなってしまうことがあります。


■足の動脈硬化の症状

足に動脈硬化があっても初期ではほとんど無症状とされています。
しかしその後、歩く際にふくらはぎなどに痛みやだるさを感じて、
途中で休まざるを得ない
“間歇性跛行(かんけつせいはこう)”が見られます。
無症状の場合でも本当に無症状のこともあれば、
車社会などが手伝って、日常生活で足を使わないことが多いために、
自分で症状に気づいていないということも多々あると思われます。

さらに進行するとじっとしていても足先に痛みを感じ、
最終的には足に潰瘍ができたり、
組織が腐る“壊疽(えそ)”が見られるようになります。


■足の動脈硬化の注意点

足の動脈硬化は、生命予後(=発症・治療後の生命を保つ見込み)が、
いわゆる悪性疾患とさほど変わらないといわれています。
足の動脈硬化があると全身の動脈硬化が進んでいることが多いので、
その過程で脳梗塞や心筋梗塞など
命に関わる深刻な疾患を起こすことが少なくありません。


■まとめ

“人は血管とともに老いる”といわれますが、足の血管もまたしかり。
特に糖尿病や高血圧、高脂血症がある人、
長年、タバコを吸っている人は、
一度、病院で足の血管に動脈硬化が進んでいないか、
専門の検査を受けることをおすすめします。

クローン病

 
今回、クローン病についてお話を伺ったのは、
九州大学病院 消化管内科 講師の
江賦イ宏(えさき もとひろ)先生です。


■クローン病とは
クローン病とは、口から肛門までの消化管の
あらゆる部位に炎症が起きて、
びらん(=ただれ)や潰瘍を形成する慢性の炎症性の病気です。
クローン病は小腸と大腸に病変をよく作りますが、
腸の壁の内側から外側に深い炎症を起こし、
良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。

また、それによって腸の壁がだんだん厚くなって
食べ物の通りが悪くなる腸管狭窄、
隣り合った腸同士がくっついて、そこにプスッと穴が開く、
ろう孔形成といった合併症をきたします。


■クローン病の症状

クローン病の症状は炎症や潰瘍ができる場所によって異なりますが、
なかでも代表的なのは腹痛と下痢で、半数以上の患者に見られます。
またさまざまな合併症も起こりやすく、
腸管が狭くなるとお腹が張ったり、吐き気がしたり、
腸管に穴が開くと腹痛や発熱といった症状が見られます。
さらに、お尻の痛みや肛門の周りから膿が出る
といった症状がきっかけでクローン病が見つかることが多く、
こうした肛門の症状が治りにくい場合は、
クローン病に伴う合併症の可能性が高いと考えられます


■クローン病の原因

クローン病の原因はまだはっきりとは分かっていません。
クローン病の特徴は縦走潰瘍といって、
腸の縦方向に長い潰瘍を作りますが、
同じような潰瘍を作る虚血性腸炎という疾患があります。
そういった関係から、以前は血流障害説や
ウイルスや細菌などの感染症説がありましたが、
いずれも今では否定的に考えられています。
また最近、いろいろな遺伝学的な研究では
腸内細菌が関連しているといわれています。
ということで今のところ、この病気は、
ある遺伝的な素因・体質を持った人が、
腸内細菌や食べ物の刺激によって炎症が急に起こって、
腸に対して自分の免疫が攻撃することによって発症し、
炎症が持続するのではないかと考えられています。


■クローン病の特徴

クローン病は欧米を中心とした先進国に多く、
動物性の脂肪やタンパク質が多い豊かな食生活や整備された衛生環境など、
生活水準が高いほど発症しやすいとされています。
日本でも食生活の欧米化に伴い、
クローン病の患者数は年々増加しています。
1970年代に100人程度だったのが2013年には4万人近くに達し、
ここしばらくは年に1000人以上の割合で増えています。
発症年齢は10代から20代が最も多く、
30代以降は急激に少なくなるのが特徴で、
2:1の割合で男性に多い病気です。


■クローン病の治療

クローン病は原因がまだ分かっていないので
根本的な治療もありません。
この病気の治療では、病気の活動性が高い時には
それを速やかに抑えて、
良い状態をできるだけ長くキープすることによって、
患者さんの生活の質を上げるというのが目標になります。

クローン病の治療では腸管の炎症を抑えて症状を和らげる薬物療法と、
症状の悪化を招く脂肪や繊維質を避けて、
必要な栄養を補う栄養療法を組み合わせるのが一般的です。
薬物療法の中で最近は、生物学的製剤が広く用いられています。
この薬は非常に即効性で強力な治療効果を持つということで、

日本人のクローン病患者さんの約4割の方に使用されています。
腸管狭窄、ろう瘻孔といった合併症をきたし、
手術が避けられない場合もあります。
しかし高い確率で再発をきたすので、
手術をしてもその後にきちんと内科的な治療を
続けていくことが重要です。


■補足

クローン病には医療費の一部が助成される制度があります。
申請手続きは各都道府県で異なりますので、
詳しくは最寄りの保健所にお尋ね下さい。

熱中症

 
今回、熱中症についてお話を伺ったのは、
済生会福岡総合病院 救命救急センター
集中治療室長・副主任部長の
前谷和秀(まえたに かずひで)先生です。


■熱中症とは

熱中症とは室温や気温が高い環境で、
体温の調節機能が働かなくなって生じる体の不調です。
子どもから高齢者まで誰にでも生じる可能性があります。
熱中症は4月から9月が最も多く、
毎年のべ9万人もの救急患者が搬送されています。
なかでも乳幼児と高齢者が約半数を占めていて特に注意が必要です。


■乳幼児と高齢者

乳幼児は大人よりも体が地面に近いため、
照り返しによって熱がこもりやすいといわれています。
また汗をかく機能が十分に発達していないために発汗できず、
熱を逃がすことができないといった状態から
熱中症になりやすいとされています。

一方、高齢者は汗をかきにくい、汗を感じにくい、
さらには我慢強いといったことから
自分で熱中症かなとはなかなか思わないうちに
次第に体に熱がこもり、
症状が重くなって搬送されることが多いです。


■熱中症のメカニズム

私たちの体は、暑い時や体を動かしたりして
体温が上がったときに汗とともに熱を気化させたり、
皮膚の表面から空気中に熱を放出させたりして体温を下げます。
しかし湿度が高かったり、体温よりも気温が上がったりすると
発汗や熱の放出がうまくできにくくなって熱中症へとつながります。


■熱中症の症状

T度と呼ばれる軽症では、めまい、たちくらみ、
こむら返り、大量の発汗といった症状が見られ、
涼しい場所へ移動させて、適切な水分補給が必要となります。

U度と呼ばれる中等症では頭痛、吐き気、
体のだるさなどの症状と併せて、
集中力や判断力の低下が見られます。
U度ではT度の対処法に加え、十分な安静と塩分など
ミネラル分の補給が必要になります。

V度と呼ばれる重症になると、
呼びかけに対して反応がおかしかったり、
会話にならなかったりするほか、
意識障害やけいれんなどが見られます。
さらには普段どおりに歩けないといった
運動障害も起こるようになります。
このような場合(V度)はためらうことなく救急車を要請しましょう。


■熱中症の予防

自治体のホームページなどには
「暑さ指数」という日差しの目安になる情報があるので、
それが高い場合は外出を控えたり、
時間帯を変えるといった対策が必要です。

夏の快適な過ごし方

 
今回、夏の快適な過ごし方についてお話を伺ったのは、
原土井病院 九州総合診療センター長・九州大学名誉教授の
林 純(はやし じゅん)先生です。


■冷房病とは

冷房病は正式な病名ではありません。
もし病名をつけるとしたら自律神経失調症になると思います。
自律神経には交感神経と副交感神経とがあって、
自分でコントロールできる神経ではありません。
交感神経は興奮する時に働く神経で、脈を速く打ったり、
血液の流れが速くなったりして
体温を下げる方向に働きます。
一方、副交感神経は神経の高ぶりを抑える働きがあるので、
心臓の動きが遅くなり、血液の流れも遅くなることで
体温を上げる方向に働きます。
暑い所、冷たい所を行ったり来たりすると、
この自律神経がしょっちゅう働いて、それで疲れてしまいます。
これがいわゆる自律神経失調症(冷房病)で、
体にいろいろな不調が現れます。


■冷房病の症状

冷房病になると血流の悪化による手足の冷えやむくみの他に
汗をかきにくくなるので、
汗と一緒に排出されるはずの老廃物が体内にたまり、
全身のだるさや疲れやすさに悩まされます。
さらに自律神経は胃腸の働きやホルモン分泌の調整も担っています。
そのため冷房病では下痢や便秘、生理痛、
月経不順といった症状が見られることもあります。


■冷房病の予防対策

冷房病を防ぐには、エアコンの温度設定を
外気との温度差マイナス3℃から4℃ぐらいにして
寒さを強く感じないようにすることが大切です。
またエアコンをつけっぱなしにすると体が慣れてきて
寒さもよく分からないということにもなるので、ときどきエアコンを止め、
窓をあけて外の空気をとり入れるようにするとよいと思います。
さらに夏は暑いからといってシャワーで済ませてしまいがちですが、
40℃以下のぬるいお湯にゆっくり入って体を温めると、
自律神経が回復して症状が和らぎます。

そのほかにも、オフィスなどエアコンの温度や
風向きを自由に設定できない場所では、
ひざ掛けや薄手の腹巻き、レッグウォーマーなどを使って、
体が冷えすぎないようにしましょう。
また夏は冷たい食べ物を口にしたくなりますが、
胃腸を冷やしてかえって体調を崩しかねません。
特に冷房の効いた場所では少し汗ばむくらいの温かい食べ物や
飲み物をとるようにしましょう。


■エアコン

最近は節電意識が高まって、エアコンの使用を控える人も多いようです。
ただし高齢者の方は動脈硬化や血管の老化から血液の流れが悪く、
体温調節機能も低下していて、暑いと感じる感覚も鈍くなっています。
それで部屋の温度が上がったことに気がつかないということがあります。
さらに、トイレが近くなることを気にして、
日頃からあまり水を飲まないという方も多く、
知らない内に脱水状態が進んで、
部屋にいるだけで熱中症になってしまうケースも
増えているので注意が必要です。


■脱水症の症状

熱中症の原因となる脱水症の初期症状は風邪の症状によく似ています。
特に高齢者で、なんとなく元気がなくなったり、
微熱が出たり、唾液が減って口が渇いたり、
皮膚が乾燥したり、吐き気やめまいがするといった症状が1つでもあれば、
脱水症の恐れがあるので注意しましょう。


■脱水症の予防対策

部屋の中で熱中症になるのを防ぐには
エアコンを上手に利用し暑さを和らげることが大切です。
特に夜はエアコンを使わなくて大丈夫と油断しがちですが
25℃を超える熱帯夜では熱中症になる高齢者の方が多いので
タイマー機能を上手に活用しましょう。

また、こまめな水分補給も大切です。
普通に食事ができていてあまり汗をかいていない状態であれば
水や麦茶で十分ですが
汗をたくさんかいている場合は
塩分も入っているスポーツドリンクなどがいいと思います。
ただし心臓や腎臓に持病がある方は、
水分の取り過ぎで病状を悪化させることがあるので
医師の指示に従って水分を補給するようにして下さい。

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