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肺がん

 
■概要

平成10年に死亡原因の第1位となって以来、
肺がんによる死亡者数は年々増え続けていて、
現在、その数は男女合わせて年間およそ7万人にのぼります。
他のがんと比べて肺がんは転移しやすいのが特徴で、
特に脳や骨、肝臓に転移するケースが多く、
肺がんで命を落とす人は今後も増加していくと予測されています。

今回、肺がんについてお話を伺ったのは、
九州大学大学院 医学研究院 呼吸器内科 教授の
中西洋一(なかにし よういち)先生です。


■肺がんとは

肺がんはもともと遺伝子の異常によって引き起こされる病気です。
従って肺がんの原因は遺伝子の異常、
遺伝子に傷がつくということになります。
その最も重要なものはたばこです。
全ての日本人の肺がんの7割は、
たばこが原因ということになっています。
それ以外にも大きなインパクトはありませんけれども、
アスベスト、大気汚染・紫外線・放射能などがあります。
しかしながら、たばこ以外のものについては
まだ良く分かってないのが現状です。
従って現時点では、明らかな原因であるたばこをどうやって減らすか、
これが肺がんの原因を絶つということになると思います。


■肺がんとたばこ

たばこを吸わない人でも、
家族など周囲の人がたばこを吸っていると、
肺がんになりやすいことが分かっています。
いわゆる受動喫煙の問題で、受動喫煙者はそうでない人と比べて、
20〜30%も肺がんのリスクが高まるというデータもあります。
最近は職場など公共の場で禁煙や分煙が進んできましたが、
家庭ではまだまだ行き届いていないのが現状で、
国立がん研究センターは
「たばこを吸わない女性の肺がん(肺腺がん)の37%は、
夫からの受動喫煙が原因である」という調査結果を発表しています。


■肺がんの症状

肺がんの症状には残念ながら特徴的なものがありません。
実は肺には痛みを感じる神経がないと言われています。
従って、がんができても痛い・辛いということは
初期ではあまりありません。
それでも気管支辺りを刺激すると、
せき、たん、あるいは痛みや呼吸困難が出てきます。
その中で1番重要な症状と言うと、たんに血が混ざる。
あるいは、たんと思って出したら血液だった、
つまり血たん・喀血というものです。
これが特別な原因もなく続く時、しかも2週間以上続く時には、
早いうちに医療期間を受診することをおすすめします。


■肺がんの種類

肺がんはがん細胞を顕微鏡で見た時の形によって
小細胞がんと非小細胞がんに分けられます。
小細胞がんは肺の入口近くにできることが多く
、肺がん全体の15%ほどを占めます。
患者のほとんどが喫煙者でたばこと関係が深く、
比較的男性に多いとされています。
肺がんの中でも特に進行が早く転移しやすい反面、
抗がん剤や放射線治療が効きやすいという特徴があります。

肺がんの中でも非小細胞肺がんは最も多くを占めるものになります。
これもさらに分類され、1番多いものが腺がんと呼ばれるもので、
全ての肺がんの6割から7割を占めています。
特に日本人で特徴的なのは、
腺がんは半分位は たばこを吸わなくてもかかり、
たばこを吸わない比較的若い、どちらかというと女性に多いといったものです。
次に多いのが扁平上皮がんで全体のおよそ2割になり、
たばこが原因と言われています。


■肺がんの治療

肺がんの治療は、がんの三大療法である
外科療法、薬物療法、放射線療法が基本となります。
早期の肺がんでリンパ節などへの転移がなければ
手術で7割から8割が完治を望めますが、
手術可能な状態で発見される肺がんは全体の3割ほどに過ぎません。
手術が出来ない場合は抗がん剤による薬物療法を中心に治療が行われます。
抗がん剤は小細胞がんに対してはおよそ90%で治療効果が見られますが、
その他の肺がんではその効果は50%程度にとどまります。


■肺がん治療のトピックス

遺伝子が壊れる結果としてがんになる訳ですが、
壊れた遺伝子を修復する、
あるいは壊れて暴走した遺伝子の働きを止めるといった考え方で作られた薬が
分子標的治療薬という事になります。
具体的には上皮細胞成長因子、ALK肺がんと言われる分子異常を治す、
あるいは、がん細胞は血管をどんどん呼び込んで来るような分子を出すので、
これを遮断すると がん細胞に栄養が行かない、
こういったものについては特効薬的な効果を示しています。
日本肺がん学会では診療ガイドラインを出していますが、
肺がんである事が分かればまず遺伝子の異常を調べて、
その遺伝子の異常に応じて薬を選択しましょうという形がとられ、
肺がんの薬物療法の考え方そのものが数年間で大きく変わってきました。


■まとめ

肺がんの遺伝子異常は新たなタイプも発見されていて、
さらなる分子標的治療薬の開発も進んでいます。
今後はがん細胞の遺伝子に狙いを定めた治療が
ますます発展すると期待されていて、
遺伝子検査の重要性がより高まっています。

腰部脊柱管狭窄症

 
今回、腰部脊柱管狭窄症についてお話を伺ったのは
諸岡整形外科病院 理事長の
諸岡正明(もろおか まさあき)先生です。


■腰部脊柱管狭窄症とは

腰部脊柱管狭窄症とは腰の骨“腰椎”に囲まれた脊柱管が狭くなり、
その中を走る神経や血管が圧迫されて起こるものです。
高齢者の病気と言われていますが、
30代や40代といった若い世代にも見られ、
日本には今、およそ240万人の患者さんがいると言われています。


■椎骨と脊柱管

背骨は椎骨(ついこつ)という24個の骨からできていて、
その集まりはそれぞれ
頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)と呼ばれます。
脊柱管とは椎骨内にある空間が
積み重なってできる管状のスペースのことです。
その中には脳から続く脊髄(せきずい)という
神経の束や血管が通っています。
ところがその脊柱管がさまざまな要因から
腰椎のところで狭くなると、「腰部脊柱管狭窄症」と呼ばれます。


■原因

原因には腰椎椎間板ヘルニアによって脊柱管が狭くなる、
“腰椎すべり症”によって骨がずれて
脊柱管が狭くなるというものがあります。
他にも脊柱管そのものが狭くなったり、
脊柱管の中にある黄色靱帯(おうしょくじんたい)という靱帯が
厚くなって狭くなるといったものが挙げられます。


■症状

腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状は、
間歇性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれる、
立って歩いている際の不具合です。
普段じっとしているときは無症状なのに、
100m、200mと歩いていると次第に足がしびれたり、
痛くなったりしてきます。
そしてしばらく座って休んでいるとしびれや痛みがとれて、
また歩けるようになるというものです。


■腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアとの違い

腰椎椎間板ヘルニアは
腰の骨と骨との間にある“椎間板”が飛び出した状態ですが、
原則として、症状が両足であれば腰部脊柱管狭窄症、
片方であれば腰椎椎間板ヘルニアのことが多いです。
また腰部脊柱管狭窄症は背中を反るときに症状が起こり、
一方、腰椎椎間板ヘルニアは前かがみのときに症状が起こるとされます。


■予防対策

腰や足が痛いからといって家に閉じこもってばかりいると、
ロコモティブ症候群(=骨や筋肉などの障害で生活の自立度が下がる)から
寝たきりや要介護になってしまうので、
歩いて少々、足が痛くてもしびれても歩いた方がいいです。
しかし今まで100m、200m、500m歩けていたのに
だんだんその距離が短くなる、
そのうち外出したくない、買い物にも行けないとなったら
手術を考えた方がいいと思います。


■まとめ

歩く際のしびれや痛みは足の血管の動脈硬化でも見られます。
症状を感じたらその原因を知るためにも一度、
しっかり検査をしてもらいましょう。

慢性すい炎

 
■概要

お酒の飲み過ぎで肝臓を気にする人は多いと思いますが、
実は膵臓へのダメージも見過ごすわけにはいきません。
特に慢性膵炎は自他共に認めるお酒好きに多い病気で、
年間およそ4万5千人が発症しています。
ところが慢性膵炎の診断は大変難しく、
実際にはその2〜3倍の患者がいると推定されています。

今回、慢性膵炎についてお話を伺ったのは、
九州大学大学院医学研究院 病態制御内科 准教授の
伊藤鉄英(いとう てつひで)先生です。


■慢性膵炎とは

慢性膵炎とは膵臓で炎症を繰り返し、
正常な細胞が破壊されて次第に繊維化していく病気です。
放置すると膵臓全体が硬くなって萎縮していきます。
さらに慢性膵炎は膵がん発症の1番リスクが高い病気と言われています。


■膵臓とは

膵臓とは胃の裏側にある15センチほどの細長い臓器です。
主な働きは体内の血糖を調節するインスリンと、
食べ物の消化を促す膵液の分泌で、
1回の食事で500ccほどの膵液が分泌されます。
膵液はとても強力な消化液で、
その中には炭水化物を分解するアミラーゼ、
脂肪を分解するリパーゼ、
タンパク質を分解するトリプシンなど、
25種類以上の消化酵素が含まれています。


■慢性膵炎が起こる仕組み

消化酵素は膵臓の中では
キャップが付いたような状態でその働きが抑えられていて、
十二指腸に運ばれるとキャップが外れて
活性化する仕組みになっています。
ところが何らかの原因によって
膵臓の中で消化酵素のキャップが外れてしまうと、
活性化した消化酵素が自分の膵臓を溶かしてしまいます。
こうして引き起こされるのが慢性膵炎です。


■原因

膵臓の中で消化酵素が活性化する主な原因は
アルコールの摂取やストレスなどの影響で、
普段は水のようにサラサラな膵液がドロドロになり
流れが悪くなってしまうためです。
また胆石症の場合、胆石が総胆管から乳頭に落ちてくると
膵管の出口と重なっているため、
膵液の流れがさえぎられて膵臓にたまってしまいます。
つまり、過度な飲酒がベースとなってストレスや胆石症、
さらに遺伝的な要因などが重なると、
膵液がドロドロになって、
慢性膵炎の発症につながると考えられています。


■症状

慢性膵炎の症状で最も多いのは みぞおち付近の腹痛で、
暴飲暴食、特に脂っこい料理や
アルコールの摂取が引き金となって起こり、
痛みが持続するのが特徴です。
放っておいてもいつの間にか痛みが治まるため
治ったと勘違いしがちですが、
実際は膵臓の機能が低下して膵液の分泌量が減り、
痛みが出にくくなるだけで病状はゆっくりと悪化していきます。

やがて食べ物を消化できなくなって体重が徐々に減少したり、
脂肪の混じった白っぽい便が出たりします。
さらにはインスリンの減少で糖尿病を発症するなどして、
人によっては膵がんへと移行します。


■治療

慢性膵炎の治療で最も重視されるのは生活習慣の改善です。
禁酒はもちろん香辛料や、炭酸飲料の飲み過ぎなどを控えて、
満腹になるまで食べないことが大切です。
以前は脂肪の摂取が厳しく制限されていましたが、
しっかり栄養を摂らないと
免疫が落ちたり病状が悪化することが分かり、
最近では腹痛などの痛みがある時だけ脂肪を抑え、
普段は消化酵素薬を飲みながら、
脂肪を十分、取るのが望ましいとされています。

生活習慣の改善に加えて腹痛など、
痛みがひどい場合は鎮痛薬が処方されます。
痛みが比較的軽い場合は消化酵素薬で消化を促したり、
酵素阻害薬で膵臓の炎症を和らげたりする治療が行われます。


■トピックス

慢性膵炎は発症すると進行し続け、
膵臓は元に戻らないと考えられていて、
治療も症状の緩和と病気の進行を防ぐのが主な目的でした。
ところが2009年に早期慢性膵炎というカテゴリーができて、
さまざまな調査を行ったところ、
適切な治療によって早期慢性膵炎患者の約3分の1の人が
膵臓の機能が回復してきたということが明らかになりました。

また治療の効果が得られなかった多くの患者さんが
飲酒を継続していたことも分かり、
慢性膵炎は早く見つけてきちんと治療すれば
十分に完治が望めると言えるようになりました。


■まとめ

慢性膵炎は厄介な病気ですが治療を続ければ死に至ることはありません。
まずはお酒の誘惑を断ち切って、
膵臓が壊れる前に壊さない努力をしましょう。


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夏バテ

 
今回、夏バテについてお話を伺ったのは、
国立病院機構 九州医療センター 感染制御部 副部長・
総合診療科 科長の岸原 康浩(きしはら やすひろ)先生です。

■夏バテとは

夏バテとは夏の暑さや湿気などによって引き起こされる、
食欲不振、体力低下、疲労感の蓄積、不眠などの総称です。
今年の夏は去年よりもかなり暑い日々が続いていて、
9月の始まり頃は暑さのダメージが体に溜まりきっている時期なので、
現在夏バテでない人も、夏バテの予防と対策が引き続き重要です。


■夏バテのメカニズム

夏バテになりやすいのは8月の終わりから9月の上旬にかけてです。
その原因としては自律神経の乱れが最も大きいということが挙げられます。
夏に一番大切な自律神経の働きは汗のコントロールです。
夏の暑い時期に体の熱が溜まることを防ぐために
体は自律神経を使って汗を外に出して、
体温の調節を行おうとします。
しかし屋外に長くいたり、空調の利いた屋内と屋外を行き来することで、
自律神経がだんだん疲れて夏バテにつながります。
それ以外の夏バテの主な原因としては水分不足が挙げられます。
また汗をかくと水分とともにミネラル分も体の外に出てしまうので、
スポーツ飲料水などを上手にとって、
ミネラル分も一緒に補給することが大切です。
一方で、冷たいものを飲みすぎると
胃腸の働きが低下して食欲不振を起こし、
体力の低下や疲労の蓄積につながり、
夏バテの原因となってしまうのでこちらにも注意が必要です。


■夏バテの症状

夏バテの症状は人によってさまざまですが、
一番注意が必要なのは脱水です。
夏バテが原因で体が脱水に陥ると、
熱中症などの危険も高まります。
治療法としては、ほとんどのケースで
水分を補給するための点滴を受けることになります。
また、そのほかの夏バテの症状として、
疲労感や思考力の低下、めまいや立ちくらみ、頭痛や発熱、

さらに胃腸の働きの低下による食欲不振や
下痢・便秘といった症状が見られることがあります。
その他にも精神症状としてイライラ感が高まる場合もあります。
これらの治療法としては、薬物治療を行うこともありますが、
ほとんどの場合は食事・睡眠など生活習慣の改善が重要となります。


■経過

基本的には夏を過ぎると体温調節がうまくいくようになって
自律神経の乱れなどがだんだん改善されるので、
夏バテによる症状が後々まで尾を引くことはほとんどありません。
ですから夏バテが他の病気の引き金になることは
通常はないと考えられます。
ただし夏バテを毎年起こす人は、
どんどん夏の暑さに弱くなっていることが考えられるので、
きちんと予防・対策を行うことが大切です。


■対策

夏バテ対策としてはバランスの取れた食事と十分な睡眠が大切です。

また自律神経の乱れを少なくするため、
暑さに体が適応できるような環境作りも大事です。
職場などで空調が効きすぎる場合は
上着やひざ掛けなどを使って体の冷えをおさえましょう。
さらに涼しい屋内では温かいお茶などを飲むことで
胃腸の冷えすぎを防ぐことが夏バテ予防につながります。


■まとめ

ひと夏終えた今、私たちの体は想像以上にダメージを受けています。
今の時期はいつも以上にきちんとした生活習慣に注意が必要です。

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