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難聴

 
今回、難聴についてお話を伺ったのは、
九州大学大学院 医学研究院 耳鼻咽喉科 講師の
松本希(まつもと のぞむ)先生です。


■難聴とは

みんなは聞こえているのに自分には聞こえていなくて、
それで困る状態が難聴です。
治療が必要な難聴の患者さんは
日本では1200万人程度いるといわれています。


■聞こえの仕組み

音は外耳道から鼓膜、中耳を通って奥の組織に伝えられます。
これは伝音機構と呼ばれます。
さらに音は内耳で電気信号に置き換えられ
聴神経を通って脳へと伝えられます。
これは感音機構と呼ばれます。
ふたつがきちんと組み合わさって正常な聴力になります。


■難聴の種類

難聴は大きく伝音性難聴と感音性難聴に分かれます。
先天性の難聴の多くは感音性難聴で、
内耳が生まれつきとても弱いとされます。
途中で聞こえが悪くなる子どもで
非常に多いのは中耳炎による難聴です。
そのほとんどが伝音難聴で、
鼓膜と内耳の間にある中耳の働きが悪くなります。
年配の人で増えるのが老人性難聴で、これは感音性難聴です。
内耳や聴神経の働きが長く使っているうちに弱ってきて、
聴力が落ちていく難聴です。


■難聴での問題

難聴では周りとのコミュニケーションに影響が及びます。
耳から情報がしっかり入ってこないことで
人と話をしたり・聞いたりということが
次第に億劫になってしまうことも少なくありません。


■難聴と認知症

最近、50〜60代くらいの方に難聴があって、
それをそのまま治療をしないと
認知症を発症する確率が高くなるという発表がありました。
それに対して、きちんと難聴の治療をして、
周りとのコミュニケーションがとれる状態を保つことで
認知症の発症を遅らせたり、
防いだりすることができるのではないかという研究が進んでいます。


■難聴の治療

治療を一番しやすいのは伝音性難聴です。
鼓膜の穴が開いていればその鼓膜の穴を閉じる治療をすると
聴力が上がることがあり、
中耳炎で鼓膜の向こう側に水が溜まっているときは、
その水を抜く治療で良くなったりします。
治療が難しくなるのは感音難聴で、
内耳やその向こうの聴神経が弱っている難聴では
補聴器を使って調整をして、
難聴を治すというよりも、
コミュニケーションを維持する方法を探ることになります。


■難聴の予防・対策

難聴の予防は大きな音に気をつけることです。
大音量で音楽を聴くことは耳に大きな負担がかかるので
長い時間は避け、
その後にはしっかり耳を休ませましょう。
また一般的にいわれている“体に良い”といわれていること、
規則正しい生活を送る、バランスのとれた食事を心がける、
糖尿病や高血圧といった生活習慣病があれば治療するなど、
体を健康に保つためにやっていることは、
おおむね耳にも良いといわれています。


■まとめ

難聴による聴こえの不具合は生活の質の低下にもつながりかねません。
また難聴を起こす耳の病気は突発性難聴をはじめたくさんあるので、
最近、音の聴こえ方が違うなあと感じたら
一度、耳鼻咽喉科で耳の状態をチェックしてもらいましょう。

在宅医療

 
■概要

さまざまな病気や事情で通院できなくなったときに、
“自宅にいたい”という患者と家族の願いをかなえるのが
在宅医療です。
入院医療と外来医療に次ぐ“第3の医療”として
近年、大きな注目を集めています。
日本では8割近くの人が病院で亡くなっていますが、
厚生労働省の調べでは高齢者の半数以上が
“自宅で最期を迎えたい”と答えるなど、
在宅医療を選ぶ人たちが
今後、確実に増えていくと考えられています。

今回、在宅医療についてお話を伺ったのは、
たろうクリニック 院長の内田直樹(うちだ なおき)先生です。


■在宅医療とは

在宅医療とは、医療従事者が自宅もしくは施設に伺うというものです。
訪問診療と臨時往診からなり、
訪問診療は月に1〜2回定期的に伺って
全般的な健康のサポートをするもの、
臨時往診は何かあった時に要請に従って往診をするもので、
訪問診療と臨時往診を組み合わせて
24時間365日体制で対応します。
在宅医療の目的は病気の治療はもちろんですが、
病気の予防に関してもアドバイスを行い、
病院での検査や入院が必要な場合にはその手配も行います。
寝たきりの方ばかりが対象になるわけではなく、
病気や障害があって通院が困難な方、
足腰が弱ってきて通院が困難な方、
認知症で病院に行きたがらない方なども在宅医療の対象になります。


■在宅医療の背景

日本は今、世界に類を見ない超高齢社会を迎えています。
その中で介護を必要とする高齢者が急速に増加しています。
しかも核家族化の影響で介護する側とされる側の両方が
ともに高齢化しているため、
その多くはいずれ通院が困難になると予想されています。
さらに日本の医療制度では一部の例外を除いて
90日以上の入院がしづらくなっていて、
以前のように長期間に渡って入院し続けるのは難しくなっています。
そのため入院して一通りの治療が終われば
完治していなくても退院を促されるケースもあり、
今後、在宅医療を選択する高齢者が増えると考えられています。


■在宅医療のメリット

在宅医療のメリットはなんといっても家で過ごせることです。
病気で病院に入院すると食事の時間から寝る時間まで
病院のルールに合わせて生活しないといけませんが、
在宅医療では家で自由に過ごすことが可能です。
金銭的な面では在宅医療に関しては各種健康保険が適用されます。
1割負担の方でだいたい月に3千円から8千円、
その方がお住まいの場所や重症度にもよりますが
入院費よりもおおむね安くなります。


■在宅医療のデメリット

一方で、在宅医療のデメリットとして指摘されているのが
介護者の負担の増加です。
本人が家での生活を望んでも、
介護する家族や周囲の協力がなければ在宅医療は成り立ちません。
最近では介護保険制度を上手く利用して、
食事や排泄などの生活援助に加えて、
デイサービスやショートステイ、訪問リハビリテーションなど、
さまざまなサービスを組み合わせることで
介護者の負担を軽減することができるようになっています。


■ほか特徴

在宅医療では手術などの積極的な治療は難しい反面、
病状の維持や苦痛の緩和といった治療は
入院と同じレベルで行うことができます。
在宅医療で行われる医療サービスの内容は
入院と外来の中間程度とされていて、
他にも採血や点滴、酸素吸入、人工呼吸器の管理など、
さまざまな治療が可能です。


■在宅医療を始めたいと思ったら

まずはかかりつけ医に相談して下さい。
その先生がそのまま訪問診療してくれる場合もあります。
その他の窓口としてケアマネージャー、
地域包括支援センター、行政の窓口などありますが、
おすすめはケアマネージャーで、地域の介護のことだけではなく、
医療のことも詳しいので相談されるといいと思います。
在宅医療を始めるに当たっては、患者さん自身の「自宅で過ごしたい」、
ご家族の「自宅で過ごしてほしい」という思いが何よりも大事です。
そのような思いをお持ちであれば遠慮なく相談されてみて下さい。

性同一性障害

 
今回、性同一性障害についてお話を伺ったのは、
貝塚病院 乳腺外科 部長の
北村 薫(きたむら かおる)先生です。


■性同一性障害とは

肉体的な性別と精神的な性別が不一致になっている状態を
性同一性障害といいます。
地域的に調べたものがあって、
それによると患者数は
2800人に1人くらいの割合じゃないかといわれていて、
全国的にはそれで単純計算すると、
およそ46000人となるのですが、
潜在的な数を入れると
実はもっと多いのではないかといわれています。
原因はまだ解明されていませんが、
胎児のころ脳が形作られる過程に
何らかの要因があるのではないかと考えられています。


■性同一性障害の特徴

性同一性障害では自分が認識している別の性別のほうが
違和感がないので、
例えば女性であれば男性のような身なりや言動をして
違和感を解消しようとします。
しかし家庭や社会との関わりのなかで
その違和感を誰とも共有できず、
ひとりで抱えるような状態が長く続くと
精神的なダメージから、うつ状態になることもあります。


■性的マイノリティ(=少数者)“LGBT”について

“LGBT”とは
(L=)、レズビアン:女性の同性愛者、
(G=)ゲイ:男性の同性愛者、
(B=)バイセクシャル:両性愛者、
(T)がトランスジェンダー(=性同一性障害)のことです。
性的なマイノリティということで
今、一緒にしてお話される場合もありますが、
LとGとBは性の「指向」の問題であります。
しかしトランスジェンダーだけは
体と心の性の食い違い、性同一性の障害ということになるので、
最初の3つとは切り離して考えたほうがよいと思います。


■性同一性障害の診断

性同一性障害では身体的な診断と精神的な診断があって、
まず身体的に正常な男子/女子であると
診断をつける意味で染色体を調べます。
また生殖器が所属するどちらかの性別のもので、
かつ正常であることも調べます。

また精神的な診断では精神科医が
どのくらい前から性別の違和感があるかといった面談や
絵を描くなどによる心理テストを行って
総合的に診断を進めていきます。
そして、それらによる資料をもとに
乳腺外科医や婦人科医、形成外科医や
泌尿器科医などからなる判定会議で性同一性障害と認められ、
身体治療が適切と判定されたら具体的な治療へと移ります。


■性同一性障害の治療

「肉体的には女性で、人格的には男性」という人では
胸が大きいのが嫌なので、胸の膨らみを取る手術を行います。
またホルモン治療で男性ホルモンを注射することによって
声が低くなったり、筋肉がしっかりついてきたりします。
生理も止まり、ヒゲが生えてくるなど、
どんどん男性化していきます。
ホルモン治療の効果が出てきたら、
再度、判定会議をはさんだのち、
性別変更の条件である子宮と卵巣を
摘出する性別適合手術が行われます。
そして精神科医が最終的な診断書を作り、
家庭裁判所にいろいろな書類と一緒に提出して
審査承認が出たら性別変更許可が下りるので
保険証も女性から男性、男性から女性に書き換わります。


■北村先生よりメッセージ

幼いときから性別違和を抱えているお子さんたちも多いし、
それをご存知じゃないご両親たちも
たくさんまだいらっしゃると思うので、
そういう状況で“ウチの子が異常なんじゃないか?”
と思ってしまうのではなくて、
こういう病態fがあるということをしっかり知っていただいて、
たとえば小学生の授業の中で、
PTAのお母さんたちの集まりのときに
こういう啓発事業としては
やっていくべきことだろうなと思っていますし、
そこを拾い上げることを
少しでも若いうちからしてあげることができたらなと思います。

☆性同一性障害の啓発などに関する相談は…
貝塚病院(福岡市東区) TEL 092-632-3333

せきぜんそく

 
今回、せきぜんそくについてお話を伺ったのは
国立病院機構 福岡病院 院長の
岩永知秋(いわなが ともあき)先生です。

■せきぜんそくとは

せきぜんそくとは軽症の気管支ぜんそく、
もしくはゼーゼーヒューヒューいう
ぜん鳴を伴うような気管支ぜんそくになる
一歩手前のぜんそくのことです。
せきが長く続くもののぜん鳴や呼吸困難はなく、
痰も見られません。
せきぜんそくの原因はよく分かっていません。
風邪をひいた後にせきが長く続くと
そのせきが夜間から早朝に多い、
タバコの煙や冷たい空気を吸った後にせきが誘発される、
これらはぜんそくにも共通する特徴ですが、
そういう特徴がある患者さんのおよそ3割が
気管支ぜんそくに移行するといわれています。
そのような移行を予防するためにも
せきぜんそくを早く見つけて治療することが大切です。


■せきぜんそくが起こる仕組み

ぜんそくは気道に起こるぜんそく特有の炎症から始まります。
気道の粘膜に炎症が起こると刺激に過敏になり、
気道の筋肉が収縮しやすくなります。
するとぜん鳴や咳、痰、呼吸困難といった症状が現れます。
せきぜんそくはこの気道の筋肉の収縮が軽度なので
ぜん鳴が起こらず、
痰を伴わない乾いたせきだけが続きます。
ただしせきぜんそくを放置したり治療をやめたりすると
気道の炎症を繰り返すため、
せきが再発して長く続くようになります。
やがて一部は症状が悪化して、
より深刻な気管支ぜんそくへと至ります。


■せきぜんそくの診断

せきぜんそくは問診で病歴を聞いて、
症状や検査所見を総合的に判断して診断します。
せきぜんそくの患者さんは胸のレントゲン写真には異常がなく、
肺活量の検査もほとんど異常がないのが通常です。
しかしアレルギー歴の確認、吐く息の検査・痰や血液の検査、
気管支がどれぐらい敏感かという検査を行うことによって
診断がより確定します。
また気管支を拡げる気管支拡張薬を吸入すると
せきが止まるのも重要な手がかりです。
せきが長引く場合には、頻度は低いですが肺がんや肺結核という、
早く見つけないといけないという病気がひそむこともあります。
3週間以上続く場合には専門の医療機関を受診しましょう。


■せきぜんそくの治療

せきが続くと、風邪が長引いていると勘違いして
かぜ薬や抗生物質、咳止めを服用しがちですが、
これらの薬は咳ぜん息に対してほとんど効果がありません。
せきぜんそくの治療ではまず、
気管支を拡げて空気の通りを良くする気管支拡張薬を用います。
それでせきがある程度治まればせきぜんそくと判断して、
吸入ステロイド薬を使った治療を開始します。


■吸入ステロイド薬について

ステロイドと聞くと副作用を心配する人も多いですが
長期間に渡って服用する場合が問題になります。
吸入ステロイド薬は直接ステロイドの粉を吸って気管支に送りますが、
その量が少ないことから、副作用はほとんど心配ありません。
吸入ステロイド薬を使い始めると
多くは1週間ほどでせきが治まります。
しかし勝手にやめてしまうと気道の炎症が治りきらずに、
せきぜんそくが再発したり長引いたりするので、
吸入ステロイド薬は長く続けることが大切です。
今では吸入ステロイド薬と
気管支拡張薬を配合した配合薬が4種類出ていて、
診断と治療を兼ねて使うと効率的だとされています。

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