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高齢者の頻尿

 
今回、高齢者の頻尿についてお話を伺ったのは、
九州大学大学院 泌尿器科 教授の
江藤正俊(えとう まさとし)先生です。


■頻尿とは

朝起きてから夜寝るまでの間に8回以上トイレに通うと
頻尿といわれます。
夜寝ている間に1回以上、
50歳以上なら2回以上トイレに起きると夜間頻尿とされています。
ただし頻尿について明確な基準が決まっているわけではないので、
回数が昼夜合わせて10回に満たなくても、
本人が頻繁な尿意に悩まされていれば
頻尿と判断される場合もあります。
また頻尿と間違えやすいのが多尿で、
最近は血液の「ドロドロ化対策」として、
特に高齢者が水分をとりすぎることから
尿の量が増えて頻尿になることがあり、
これは夜間頻尿の原因にもなりやすいです。
余計な水分は尿か体のむくみになるだけで、
普通以上に血液がサラサラになることはありません。
高齢者は食事以外の飲水量を1日1ℓ〜1.5ℓとれば十分なので、
水分のとりすぎには注意してほしいと思います。


■加齢による影響

年齢を重ねると誰でも日中の運動量が低下して
汗をかきにくくなります。
また気温の変化にも鈍感になって暑くなっても
あまり汗をかかなくなります。
すると体内の余計な水分を排泄するために尿の量が増えるので、
高齢者は頻尿になりやすいのです。
さらに身体的な老化現象で膀胱が硬くなって
尿を少ししかためられなくなったり、
女性では骨盤の筋力が低下して尿意を我慢できなくなったりして、
頻尿になることがあります。
また更年期に減っていく女性ホルモンに粘膜の保水作用があるため、
女性が高齢になると膀胱や尿路が萎縮して頻尿になることもあります。


■加齢に伴う疾患

高齢になるとさまざまな病気にかかりやすくなるので、
その病気が原因で頻尿になることもあります。
中でも最も多いのが
膀胱に尿が十分たまる前に過敏に反応して
尿意をもよおす過活動膀胱で、
全国におよそ800万人の患者さんがいると推定されています。
特に男性の場合は前立腺肥大症に伴って
過活動膀胱になるケースが多く、
老化現象で大きくなった前立腺が
すぐ上の膀胱を圧迫するためだと考えられています。
また女性に多いのが間質性膀胱炎で、
何らかの原因で炎症を起こした膀胱粘膜が
尿の成分に刺激されて尿意をもよおしますが、
その尿意を我慢すると膀胱に痛みや
不快感を伴うため頻尿となります。


■ほか、いろいろ

夜間頻尿の場合は水分の過剰摂取による多尿や、
過活動膀胱や前立腺肥大症といった病気の他に
睡眠障害が原因となることがあります。
特に寝ている間、
断続的に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群は
65歳以上の高齢者を対象とした調査で2割以上に見られ、
その多くが夜間頻尿に悩まされているという報告もあります。
また年齢を重ねると誰でも腎臓の働きが悪くなり、
尿の量が減っていきます。
ところが睡眠中は体が横になっているので、
手足の血液が一時的に内臓へと集まります。
すると腎臓の血流が増えて尿が作られやすくなり、
夜間頻尿を引き起こすと考えられています。


■注意点

高齢者の頻尿は原因に応じて尿意を我慢する練習をしたり、
排尿に関係する筋力を鍛えたり、
膀胱をリラックスさせる薬を服用するなどして治療します。
もちろん何らかの病気が原因の場合は
その病気を治癒すれば頻尿も治まることになります。
突然の尿意を我慢できない尿意切迫感や
夜間の頻尿、1日に10回以上トイレに行く、
このような場合は泌尿器科の専門医を受診して
頻尿の原因をしっかり調べてもらうことが大切だと思います。

脳卒中最前線

 
今回、脳卒中最前線についてお話を伺ったのは、
ごう脳神経外科クリニック理事長・院長の
呉 義憲(ごう よしのり)先生です。


■脳卒中の現状

脳卒中という言葉は病気の名前ではなく、
医学的には“脳血管疾患”と呼ばれています。
現在、日本では毎年およそ11万人もの人が
脳卒中で命を落としています。
その原因は高齢化が進んで
血管の老化現象である動脈硬化が増えていること、
他にはコレステロールの高い食事といった
食生活の乱れがなど挙げられます。


■脳卒中の種類

脳卒中には発症の原因によっていくつかの種類がありますが、
大きく、脳の血管が詰まる脳梗塞と、
脳の血管が破れて出血する脳出血・くも膜下出血に分けられます。
それらの中で脳出血は減少傾向、脳梗塞は増加傾向にあります。


■脳卒中の症状

脳卒中の主な症状は
言葉が出ない言語障害、手足が動かない片麻痺、
さらには物が見えづらくなる半盲です。
脳の後ろの小脳が傷害されるとめまいが起こります。


■脳卒中の注意点

脳卒中発症後に適切な処置がなされないと、
脳出血では出血してできた血液の塊がどんどん大きくなり
くも膜下出血では再破裂の危険が高まります。
いずれも場合でも血圧を下げる、
出血を止めるなどの早急な対処が必要です。
一方、脳梗塞では、詰まった先の脳の組織に
酸素や栄養が行かなくなることで
周辺の組織が腐る“壊死”が進みます。


■脳卒中の治療

脳梗塞では“t-PA(=血栓溶解療法)”という、
血栓を溶かす注射を打つということが中心でしたが、
溶けない場合には血栓を回収する血管内手術が確立しています。
血栓溶解療法については4時間半以内に行わないといけないので、
発症して少なくとも2時間以内には病院に到着していないと
治療は難しくなります。

※トライのコーナーでは4月11日に福岡市南区日佐に開院した、
 福岡脳神経外科病院を開院前潜入リポートしました。
 24時間365日脳卒中の救急治療を行う
 脳卒中に特化した医療機関です。

アトピー性皮膚炎

 
■概要

かつては乳幼児期特有の病気で、2歳で半分が治り、
10歳でさらに半分が治り、
大人になればほとんど治ると言われていたアトピー性皮膚炎。
しかし今では、成長しても治らなかったり、
いったん治っても
大人になって再発したりする場合もあることが分かっています。
最新の統計では全国に45万人を超える患者がいるとされていて、
なかでも成人の患者数は増加傾向にあります。

今回、アトピー性皮膚炎についてお話を伺ったのは、
九州大学皮膚科、診療講師の
中原真希子(なかはら まきこ)先生です。


■アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは遺伝的・体質的に皮膚が乾燥しやすく
バリアが弱くなっている状態に、
さまざまな刺激が加わり、かゆみを伴う湿疹ができる病気です。
主な症状はかゆみを伴う湿疹で、
左右対称にできることが多いです。
乳幼児は口の周りや頬など顔、
学童期はひじ・ひざの関節の内側や耳の付け根、
成人は上半身を中心に顔や首などに症状が強く出るようになります。
多くの場合、親や兄弟に同じような症状の人がいたり、
ぜんそくやアレルギー性鼻炎など
他のアレルギー疾患を合併することがしばしばあります。


■アトピー性皮膚炎の発症要因

皮膚の炎症は体の外から侵入した異物を排除しようとする免疫反応であり、
本来は細菌やウイルスから身を守るために欠かせません。
アトピー性皮膚炎ではこの免疫が過剰に働いて、
排除する必要のないものにまで反応することで炎症が起こります。
免疫が過剰に反応する原因には
アトピー素因と呼ばれるアレルギーを起こしやすい体質や、
皮膚の乾燥が招くバリア機能の低下が深く関わっています。
さらに皮膚を繰り返し かく行為や
化粧品に含まれる化学物質や汗などによる皮膚への刺激、
ストレスや疲労などもアトピー性皮膚炎の発病や
悪化に関係していると考えられています。


■アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療は外用治療が中心で、
塗り薬には皮膚の炎症を抑えるステロイド外用薬と
タクロリムス軟膏があります。
ステロイド外用薬の強さは5つのランクに分かれていて、
適切な強さの外用薬を適切な量、適切な期間きちんと外用して、
まずはしっかりと炎症を抑えることが治療の第一歩です。
ある程度症状が落ち着いた後は、良い状態を維持するために、
今まで発疹が出ていた所全体に
1日おきから週1回程度、外用薬を薄く塗り伸ばします。
さらに皮膚のバリア機能の低下や乾燥を改善するために
保湿剤を全身に広く塗ることもとても重要です。
また皮膚のかゆみを抑えるために
抗ヒスタミン薬を内服することもあります。


アトピー性皮膚炎は治り難いとされていますが、
適切な治療を続ければ症状をコントロールすることができます。
治療で目指す最終的なゴールは、病気であることを意識しなくても
日常生活が送れる程度にまで症状を改善して
その状態を維持していくことです。
なかには症状をコントロールしているうちに治ることもあるので、
症状が一時的に改善したからといって
勝手に薬を減らしたりやめたりしないで、
医師の指示をきちんと守って治療を続けることが大切です。


■アトピー性皮膚炎の注意点

アトピー性皮膚炎では皮膚が乾燥し
バリア機能が低下してさまざまな刺激で炎症が起こる、
その結果かゆくなり、かいてしまって
ますますバリアが低下し炎症が続くという、
悪循環が生じています。
この悪循環を食い止めるにはなるべく早く皮膚の炎症をしっかりと抑え、
スキンケアで皮膚のバリアを維持することが大切です。

過敏性腸症候群

 
今回、過敏性腸症候群についてお話を伺ったのは、
九州中央病院 心療内科 部長の河田浩(かわた ひろし)先生です。

■過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群とは半年以上前から腹痛、腹部の不快感があり、
排便によって症状が改善するという病気です。
採血やレントゲン撮影、大腸カメラといった通常検査で
異常を認めないことも特徴です。
国内での患者数は1200万人程度とされ、
この春、入学や就職、転勤や異動など
新しい環境の下で生活を始めた人に多く見られます。


■過敏性腸症候群の原因

一部の患者さんでは、感染性腸炎をきっかけに
発症する場合があります。
また遺伝的要因、子供の頃からの環境、
暴飲暴食や偏った食生活を送っている人、
ほかストレスや情動(=一時的な急激な感情)は
この病気に強く影響を与えるので、
ストレスを強く受けている人はなりやすいといえます。


■過敏性腸症候群の症状

過敏性腸症候群の主な症状は腹痛を伴う下痢や便秘で、
頻繁にトイレに行きたくなりますが、
排便後しばらく症状はおさまります。
また めまい、頭痛など体のさまざまな箇所の痛み、
倦怠感や不眠といった症状を合併することも少なくありません。
しかしその一方で、原因となるストレスを受けない休日などでは
そのような症状が見られないのも特徴です。








■過敏性腸症候群の特徴

過敏性腸症候群自体で大きな病気を引き起こしたり
寿命が縮むということはありません。
年齢とともに症状が軽くなる人もいます。
しかし繰り返される症状により仕事に行けない、
学校の授業が受けられないといった教育的・経済的な損失、
休職中の企業の補償など、
社会的な損失についても報告されています。


■過敏性腸症候群の診断・検査

過敏性腸症候群が疑われる自覚症状や体の症状が
3ヵ月以上続いている患者さんには、
腹部の診察に加え、採血や検尿検便検査、
レントゲン撮影などの一般的な臨床検査を行います。
また血便や発熱、関節痛や体重の減少がある、50歳以上、
本人もしくは家族が以前、大腸がんになったなどの場合では
大腸の内視鏡検査を行います。
そしてこれらの検査で腸に異常が見当たらず、
さまざまなほかの腸の病気ではないと分かったら
過敏性腸症候群と診断されます。


■過敏性腸症候群の治療

診療ガイドラインでは3段階の治療が推奨されていますが、
段階にかかわらず一番土台となるのは、
不適切な食事や生活習慣がある場合にはそれを修正することです。

第1段階の治療としては下痢や便秘、腹痛といった、
最も困っている症状を改善する薬が使われます。
それでも改善しないときには第2段階として
、脳や自律神経の働きを調整する目的で
抗不安薬や抗うつ薬といった薬剤が処方されます。
第3段階では心理的異常が大きく関与する場合は、
精神疾患を鑑別した上で心理療法を行います。
心理療法にはリラクゼーション法や認知行動療法があります。


■まとめ

腸の病気には大腸がんや若い人に多い炎症性疾患のクローン病など、
過敏性腸症候群と似たものが多くあります。
症状だけではなかなか区別が難しいので
長く続く腹痛やお腹の不調があったら一度、病院で診てもらいましょう。

パーキンソン病

 
■概要

パーキンソン病は脳内の神経に異常をきたす病気で、
難病に指定されています。
50歳以降に発病することが多く、
高齢になるほど患者が増える傾向にあり、
高齢化が進む日本ではますます患者が増えると予想されています。

今回、パーキンソン病についてお話を伺ったのは、
福岡大学病院 神経内科医師・樋口病院副院長の
樋口正晃(ひぐち まさあき)先生です。


■パーキンソン病とは

パーキンソン病は脳の黒質と呼ばれる部分に異常が起こり、
正常な神経細胞が減少してしまうために
神経伝達物質のドパミンが少量しか作られなくなって、
体にさまざまな不調が現れると考えられています。
黒質の神経細胞は誰でも加齢とともに減少していきますが、
パーキンソン病では実際の年齢以上に
神経細胞の減少が進んでいきます。
黒質の神経細胞がなぜ健康な人より減少するのか
はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、
ドパミンの量が正常な人の20%を下回ると
症状があらわれるとされています。


■パーキンソン病の症状

パーキンソン病の主な症状には
“ふるえ・固縮(こしゅく)・無動・姿勢障害”の4つがあります。
中でも自覚しやすいのが“ふるえ”で、
じっとしている時に手や足が小刻みに震えます。
多くは片方の手足から始まって両方の手足へと症状が進行しますが、
中にはふるえが全く起こらない場合もあります。
“固縮”は筋肉がこわばって固く縮んだようになることで、
手や足をスムーズに動かせなくなりますが、
患者自身が自覚するのは難しいとされています。
“無動”とは全ての動作が遅くなることで、
併せて 書く字が小さくなったり、
顔の筋肉が動きにくくなることから瞬きの回数が減ったりします。
“姿勢障害”は体のバランスがとりにくくなることで、
立ち上がるときや方向転換のときに
人とぶつかるなどしてバランスを崩すと棒のように倒れてしまいます。




■パーキンソン病の前兆症状

4大症状はパーキンソン病の典型的な運動症状ですが、
実はこれらの症状が現れるかなり前から“前兆症状”として、
非運動系の症状を訴える患者さんが多いことが分かっています。
特に多いのが便秘で、中年期以降で便秘がちな人は
便秘でない人の3〜4倍も
パーキンソン病を発病しやすいという報告もあります。
さらに夢を見ながら大きな寝言を言ったり、
体を激しく動かしたりするレム睡眠行動異常症も、
パーキンソン病の前兆とされています。
他にもパーキンソン病が発病する前から嗅覚に異常をきたして
食べ物の匂いを感じ難くなる患者さんや、
気分の落ち込みを認める患者さんもいます。


■パーキンソン病の治療

パーキンソン病の治療は薬物療法が中心で、
主にレボドパやドパミンアゴニストという内服薬が用いられます。
どちらも脳内で不足したドパミンの働きを補う作用があります。
治療が進むにしたがって複数の薬を併用して症状を改善していきますが、
どの薬をどれくらい用いるのかは患者の症状や年齢、
ライフスタイルなどを考慮して検討されます。
そのため、病状に合わせた適切な治療を行うには
定期的な診察が必要となります。


■注意点

薬物治療をある年数以上続けていると、
薬の効かない時間が出てくる“ウェアリング・オフ現象”や、
手足がくねくねと勝手に動いてしまう、“ジスキネジア”と呼ばれる
運動合併症が起こる場合がありますが、
これらの問題に対しては薬の量や種類、服用の仕方を調整したり、
別の治療法を検討することになります。
また急に薬の服用をやめたり、量を減らしたりすると高熱や、
筋硬直を伴う悪性症候群が現れる危険があるため、
自己判断で薬の服用を変えないで必ず医師や薬剤師に相談しましょう。


■パーキンソン病の治療

薬物療法で症状のコントロールが困難な場合は
手術が行われることもあります。
脳に電極を植え込み、
電気刺激を与える脳深部刺激療法などがありますが、
手術はウェアリング・オフやジスキネジアを改善して、
パーキンソン病の症状を抑えることが目的で、
その効果を持続させるために術後は定期的な診療が必要です。

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