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小児科受診の心得

 
今回、小児科受診の心得についてお話を伺ったのは、
福岡大学医学部 小児科 主任教授の
廣瀬伸一(ひろせ しんいち)先生です。


■受診時に準備するもの

受診の際には保険証、
各自治体から貰っている子ども医療証、母子健康手帳、
あとお薬手帳があれば助かります。
特に母子健康手帳には分娩出産の状況や成長発達など、
子どもの健康の情報が詰まった大事な資料なので、
ぜひ持ってきていただきたいと思います。
その他、下痢や血便、嘔吐などがあった場合は
便や吐物をオムツごとや衣服ごと、
ビニール袋にきちんと包んで持ってきていただくと
診断や検査の役に立つ場合があります。
それからけいれんなど、何か気になる動きがある時には、
デジタルカメラやスマートフォンで撮影しておくと
診断に非常に役立つ場合があります。


■病院での注意点

病院に着いたら待合室で診察を待つことになります。
その間、子どもがぐずるからといって
アメなどのお菓子を与えたりジュースを飲ませたりすると、
正確な診断ができなくなります。
受診の際はお気に入りのおもちゃを何か1つ持参して
子どもの気をそらしましょう。
もしも子どもがトイレに行きたがったら
便や尿は診断の助けになる場合があるので、
看護師や事務員など病院のスタッフに知らせるようにしましょう。
また子どもが吐いたりお腹を痛がったり
ゼイゼイと苦しそうな場合は、
急を要することもあるので遠慮しないで
病院のスタッフに申し出ましょう。


■受診時の注意点

受診の際には子どもの様子について、
どんな症状がいつから現れてどのように変化しているか、
時間的な経過を合わして伝えていただくと助かります。
また過去かかった病気の有無、注意を受けたこと、発達のことなど、
何か心配なことで診てもらっていることなどがあれば
診断の助けになることがあります。
それから子どもの体重は
薬を処方するのに必要な情報になる場合があります。
このため、あらかじめ体重を把握しておくと
受診がスムーズになる場合があります。

さらに、受診前は先生にいろいろと聞きたいことがあったのに、
いざ診察となると緊張してつい聞き忘れてしまうことがないように、
聞きたいことをリストにしたメモを準備しておきましょう。
特に小さな子どもは自分の症状をきちんと説明できません。
そこで小児科の診察では
付き添いの保護者からの情報がとても重要です。
受診の際には子どもの様子を
普段から詳しく知っている親がなるべく付き添いましょう。
どうしても仕事の都合などで他の人に頼む場合は
症状や睡眠、食欲など子どもの様子が分かるメモを用意しましょう。


■他ポイント

小児科の受診で最も大切な事は
良いかかりつけ医を近所に見つけることです。
かかりつけ医の先生を選ぶ際に重要なことは
小児科を専門にしている先生を選ぶことです。
かかりつけ医の先生は子ども達の普段の様子から判断して、
おかしいなということがすぐ分かるわけです。
急患センターに慌てて行って、
初めて会う先生に最初から病状を説明して、
時間がかかったりすることがないようにしていただきたいと思います。
また、かかりつけ医の先生とは長い信頼関係を作る必要があります。
家族とかかりつけ医の先生との間で波長が合うことも非常に大切なことだと思います。

骨髄腫

 
今回、骨髄腫についてお話を伺ったのは、
福岡大学医学部 腫瘍・血液・感染症内科学 教授の
熄シ泰(たかまつ やすし)先生です。


■骨髄腫とは

骨髄腫とは血液の細胞の中にある
リンパ球の一種である形質細胞ががん化して、
骨髄という臓器の中で増殖する病気です。
骨髄腫になると骨がもろくなる病変がでますが、
それが体中に多発するので多発性骨髄腫と医学的には呼ばれています。
もともと形質細胞は体に入ってきた細菌や
ウイルスなどの微生物を殺すために
免疫グロブリンを作る働きを持っています。
形質細胞ががん化した骨髄腫細胞は
勝手に1種類の免疫グロブリンだけを産生するので、
免疫グロブリンはタンパク質の1種ということで
血液検査をすると血清中のタンパク質が増えます。
しかも1種類だけのタンパクが増えるので、
モノクローナルのMを取ってMタンパク血症が起こります。


■骨髄腫の症状

骨髄内で骨髄腫細胞が増殖すると
正常な血液が作られなくなるので貧血を招き、
倦怠感や息切れ、めまい、頭痛などが起こりやすくなったり、
免疫力が低下して風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなったりします。
また骨髄腫細胞が骨を溶かすので、
特に腰や胸、背中などの体幹部の骨の痛みに悩まされるようになり、
病状が進むと骨がもろくなって、
ささいなことで折れてしまう“病的骨折”を起こすこともあります。
さらに骨がもろくなる過程で
骨からカルシウムが血液中に流れ出るので、
高カルシウム血症と呼ばれる状態になり、
脱水症状や吐き気、不整脈や意識障害といった症状が現れることがあります。
また血流によって運ばれた大量のMタンパクが腎臓に沈着すると腎機能が低下して、
尿の量が減ったり、体がむくんだり、
重症化すると人工透析が必要になります。


■骨髄腫の特徴

骨髄腫患者さんで多いのは骨の痛みや
圧迫骨折など病的な骨折を起こして、
整形外科で見つかるというものです。
高齢な患者さんになると
背骨を圧迫骨折するということは珍しいことではありませんが、
圧迫骨折を繰り返す、
骨の痛みがあちこち移動するといった症状がある場合は、
単なる骨折だけではないかもと思って、
ぜひ血液内科を受診していただきたいと思います。
その他に、階段を上る時に息切れや動悸がするので
病院に行ったら貧血があるといわれ、
なぜ貧血があるかを調べた結果、
骨髄腫と診断される人も増えてきています。
また急に腎臓の働きが悪くなって、
おしっこが出なくなって腎臓内科に行くと、
多発性骨髄腫を合併していることが分かって、
血液内科に来られる患者さんも増えています。


■骨髄腫の治療

骨髄腫の治療は症状の緩和や進行を遅らせることを目的として
薬物療法を中心に行われます。
薬物療法は抗がん剤にステロイド剤や
その他の薬を併用するのが一般的ですが、
治療効果は個人差が大きいので、
いろいろな薬を試しながら
最も効果の高い組み合わせを探っていきます。
患者に体力があって臓器の合併症がない場合は
造血幹細胞移植が行われることもあります。
これは大量の抗がん剤でがん細胞を死滅させてから、
あらかじめ血液から採取しておいた
自分の造血幹細胞を戻す治療法ですが、
主に65歳以下で全身状態が良好な患者が対象となるため、
高齢者が多い骨髄腫では移植を受けられる患者は限られています。

最近では分子標的薬とよばれる新しい薬が次々と登場しています。
分子標的薬とは、がん細胞が持っている特徴だけを攻撃するので、
骨髄腫細胞にはとても強く効く反面、
正常な体の細胞には作用しないため、
高齢者が多い骨髄腫では
長く有効な治療ができるようになっています。
その薬を改良した免疫調整薬、
他にプロテアソーム阻害薬という薬も出てきました。
また最近はで抗体薬という薬も出てきています。
これらの薬剤は1つ1つの薬でも良く効きますが、
組み合わせることで
1+1が3にも4にもなる効果を示すことが分かっているので、
骨髄腫の治療成績は5〜10年前と比べると
飛躍的に良くなってきているのが現状です。

副鼻腔炎

 
副鼻腔炎についてお話を伺ったのは、
九州大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 助教・併任講師の
村上大輔(むらかみ だいすけ)先生です。

■副鼻腔炎とは

副鼻腔炎とは副鼻腔という鼻の奥にある空洞の粘膜が
炎症を引き起こして
副鼻腔に膿が溜まり、鼻づまりや頭痛、
粘性の鼻水がのどに流れるなどの症状を引き起こす病気です。
蓄膿症と言えばピンとくる人も多いと思いますが、
副鼻腔炎というのが正式な病名になります。


■鼻の仕組み

私たちの鼻は空気が出入りする鼻腔と、
その周りの骨にある空洞の副鼻腔で構成されています。
その副鼻腔は上顎洞(じょうがくどう)、篩骨洞(しこつどう)、
前頭洞(ぜんとうどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)
の4つでできています。
なぜこのような空洞が顔の中に存在しているか、
はっきりとした理由は分かっていません。
声の響きをよくしたり、体内に入る空気の温度を調整したり
顔に外からの衝撃が加わった場合に
クッションの代わりをするとも考えられています。


■副鼻腔炎になる仕組み

通常、副鼻腔内に溜まった膿や分泌物などは小さな管を通って
鼻腔へ送られて体の外へと排出されます。
しかし何らかの原因でその管が狭くなったり詰まったりしてしまうと
副鼻腔に溜まった分泌物などが鼻腔の方へと出せなくなって副鼻腔炎を引き起こします。


■副鼻腔炎の原因

かぜやインフルエンザなど細菌やウイルスに感染すると
鼻腔や副鼻腔内の粘膜が炎症を起こします。
通常はその病原がいなくなれば、炎症も治まりますが、
まれに粘膜の炎症が治らずに悪化してしまい
副鼻腔内に膿が溜まる場合があります。
これが急性の副鼻腔炎です。
この状態が長く続くと慢性化します。
だんだん周囲の粘膜もはれてきて、
鼻の粘膜がポリープ状になることがあります。
放置しておくとさらに炎症が悪化し悪循環に陥ります。


■副鼻腔炎の症状

慢性副鼻腔炎になると、鼻づまりが起きたり、
ドロドロとした黄色や緑色の鼻水が出たりします。
さらに眼の奥や額が痛んだり、匂いが分からなったりして
日常生活に支障をきたすようになります。
併せて、ねばねばとした鼻水がのどに落ちる後鼻漏(こうびろう)が頻繁に起こり、
のどに違和感や痛みを自覚します。

また副鼻腔炎の原因は細菌やウイルスだけではありません。
最近は虫歯や歯槽膿漏、インプラントなど歯の炎症が
原因となって起こる副鼻腔炎が増えています。
その他に好酸球と呼ばれる血球の一種が
異常反応して引き起こされる好酸球性副鼻腔炎や
カビに対するアレルギー反応から発症する、
アレルギー性真菌性副鼻腔炎などもあります。


■副鼻腔炎の治療

副鼻腔炎は段階によって治療法が変わります。
急性の副鼻腔炎の場合は細菌を攻撃する抗生剤や
鼻水を流れやすくする薬の投与を1週間ほど行います。
現在は抗生剤やステロイド剤をより副鼻腔の患部に直接届くように蒸気の中に溶け込ませ、
その蒸気を鼻から吸い込むネブライザー療法も
効果的だとされ、よく使われています。
それでも症状が治らず、慢性化した場合は
マクロライド系抗菌薬の投与治療と
ネブライザー療法などの局所治療を数ヵ月行います。
軽症の場合はこの治療で完治するケースも多く見られます。


■かぜやインフルエンザとの違い

のどの痛みや発熱の症状が治っているにもかかわらず
鼻づまりやドロドロとした鼻水が出るなどの症状が引き続き残っている場合は
副鼻腔炎の疑いがあります。
こういった症状が見られた場合は耳鼻咽喉専門医で診断してもらうことで、
副鼻腔炎を早く発見でき、慢性化を防ぐ可能性も高まります。


■まとめ

副鼻腔炎は早期の診断、治療でその症状を軽くすることができます。
粘帖な色のついた鼻水が出たり、
咳が続くなどの症状が続いた場合には、
お住まいの地域の耳鼻咽喉科専門医で
診断を受けることをおすすめします。
今すぐに命に関わるようなことが無く、
案外治療が見過ごされる副鼻腔炎ですが、
長期化すると体調不良の原因にもなるので早期治療が大事です。

高血圧とホルモン

 
今回、高血圧とホルモンについてお話を伺ったのは、
福岡大学医学部 内分泌・糖尿病内科 教授の
柳瀬敏彦(やなせ としひこ)先生です。


■高血圧とホルモン

塩をとり過ぎると血圧が上がるという話はご存じだと思います。
副腎皮質ホルモンのひとつ、アルドステロンには
ナトリウムを体内にため込む作用がありますが、
本来は腎臓に作用して体内の塩分や
水分を調節する役割を担っています。
このアルドステロンが慢性的に過剰に分泌されるのが
原発性アルドステロン症と呼ばれる病気です。
体内に必要以上のナトリウムと水分が蓄えられるため、
高血圧を発症すると考えられています。
この病気はすべての高血圧患者さんの5〜10%程度、
また、治療抵抗性高血圧と言われる患者さんの30〜40%が
この病気ではないかといわれています。
患者数は全国的に200〜400万人程度と推定されています。


■原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症だからといって
必ず高血圧になるとは限りません。
しかしアルドステロンが過剰に分泌されると
血管に炎症を引き起こして、
血管をもろくしてしまいます。
そのため原発性アルドステロン症になると、
血圧が正常でも脳卒中や心不全、
腎臓障害といった血管障害を伴う病気になりやすいことが分かっています。
さらにこの病気は代謝異常も招くため、
例えば血中の糖代謝が滞って糖尿病を合併することもあります。


■原発性アルドステロン症の症状

原発性アルドステロン症の最も重要な症状は高血圧です。
特に夜間から朝にかけて血圧が高くなりやすいタイプの高血圧の人は、
脳卒中や心臓血管病を起こすリスクが高いということが知られています。
またアルドステロンには尿の中にカリウムを排泄する作用もあるので、
過剰に分泌されると低カリウム血症になりやすく、
疲労感や筋力の低下といった症状があらわれてきます。
さらに低カリウム血症が長く続くと腎機能の低下を招いて、
多飲や多尿といった症状が見られるようになることがあります。


■原発性アルドステロン症の特徴

アルドステロンは腎臓の上にある副腎から分泌されています。
原発性アルドステロン症の直接の原因は副腎に生じる良性の腫瘍や、
副腎の細胞が異常に増えて肥大化する過形成です。
副腎の腫瘍や過形成がなぜ起こるのかという根本的な原因は分かっていませんが、
最近になって副腎の腫瘍に特定の遺伝子異常が見られることが
明らかになってきています。


■原発性アルドステロン症の治療

原発性アルドステロン症の治療は
副腎の病変が片側だけの場合は主に手術となります。
両側の場合や手術が困難な場合、
患者さんが手術を希望しない場合は薬物療法を行います。
手術は一般的に腹腔鏡を用いて病変がある片側の副腎を摘出します。
もう一方の副腎が正常に機能していれば
手術による体への影響はほとんどありません。
約30%の患者さんは手術後も血圧が正常には戻りませんが、
アルドステロンの分泌過剰が治まれば
脳卒中や心血管病の予防につながります。
薬物療法はアルドステロンの作用を弱める目的で、
抗アルドステロン薬とよばれる、
降圧剤や同じような作用が期待できるカルシウム拮抗剤を内服しますが、
通常の降圧剤も併用される場合があります。
病気が長期間に及んで高血圧が長く続いた場合は
血圧が下がりにくいこともあります。


■まとめ

原発性アルドステロン症は決して珍しい病気ではありません。
一般的な高血圧とはまったく治療法が異なるので、
高血圧を治療する時はいきなり薬で血圧を下げようとしないで、
まずはきちんと血液検査を受けて高血圧の原因を確かめることが大切です。

失神

 
今回、失神についてお話を伺ったのは、
産業医科大学 医学部 不整脈先端治療学 教授の
安部治彦(あべ はるひこ)先生です。


■失神とは

失神とは病名ではなく症状のことで、
原因となる病気があって
一時的に意識をなくして倒れるというものです。
失神を起こす人は意外に多く、
日本では年間およそ80万人が意識をなくすことで
病院を受診しているとされています。


■失神の原因

失神は症状であって病名ではないので、
患者さんを診る場合には原因の病気を突き止める必要があります。
失神の原因となる病気は無数にありますが、
代表的なものは反射性失神、起立性低血圧、心原性失神の3つです。


■反射性失神・起立性低血圧

圧倒的に発生頻度が高いのは反射性失神です。
朝礼で立っていたら倒れたというのが代表的なもので、
全体の6割くらいが反射性失神だといわれています。
反射性失神はストレスや強い痛みなど
精神的・環境的要因が引き金となることが多く、
脳全体の血流量が減ることで起こります。
起立性低血圧による失神は比較的高齢者に多く、
寝た状態から急に起き上がった時などに
血圧が大きく下がって起こることがあります。


■心原性失神

心原性失神は心臓の不具合が原因で起こりますが、
大部分は不整脈で起こる場合が多く、
生命的に非常に危険な状態です。
のちに心臓突然死をきたすということも決してまれではありません。
診療では心原性失神の可能性はないかということを常に念頭においています。


■失神の特徴

失神による意識の消失は通常、1、2分程度しか続かないので、
救急隊が到着したころには
すでに意識が戻っていることも多いとされます。
また失神が起こると頭全体に血液が流れないため、
全身の筋肉が緩み、体位を保てず倒れます。
通常、人は倒れる際に
条件反射的に手をついて体を守ろうとしますが、
失神患者さんはそれができずに
顔や頭に大きなけがを負うことが多いです。
さらに意識を失ったときの状態によって失神の種類はなにか、
てんかんなどその他の疾患ではないか、
といったことを的確に判別する必要があり、
診断は非常に難しいとされています。


■さらに

道路交通法の改正があり、
意識を失う患者さんは自動車運転の免許に制限が設けられています。
免許の更新時に「あなたは意識を失ったことはありませんか?」とか、
「医師から運転を止められてはいませんか?」
などといったことが記載されている
問診表に印をつけると医師の診断書が必要になります。
自動車運転の制限以外にも、
作業中に意識をなくして倒れて死亡する例もあり、
そうなると労災事故にもなってきます。
失神の経験がある患者さんは早く原因を究明して
治療を受けることが大事になります。


■まとめ

失神経験者で以前に心臓の病気があった、
健康診断で心電図に異常があったなどの場合には
まず循環器内科を受診していただきたいと思います。
一方で意識はあるものの、手足にしびれがある、めまいがする、
ろれつが回らないといった場合には脳梗塞など、
脳血管疾患の可能性があります。
その際にはできるだけ早く神経内科や脳神経外科を受診して
詳しい検査を受けましょう。

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