KBC九州朝日放送

KBCサイト内検索

福岡恋愛白書13 BD好評発売中

KBC共通メニューをスキップ

肥満とリンパ腫

 
■概要

リンパ浮腫は体液の一部であるリンパ液が
腕や脚の細胞の隙間にたまってむくんでくる障害のことで、
全国に10万人以上の患者がいると考えられています。
リンパ浮腫の多くはがん治療の後遺症で、
主に乳がんや子宮がん、卵巣がんなどの手術でリンパ節を切除したり、
放射線治療でリンパ管が損傷を受けたりして引き起こされます。
治療後すぐに発症することもあれば、
中には10年以上経ってから発症することもあります。
そのリンパ浮腫、実は肥満と切っても切れない深い関係があります。

今回、肥満とリンパ浮腫についてお話を伺ったのは、
貝塚病院、乳腺外科部長の北村 薫(きたむら かおる)先生です。

■リンパ浮腫の発症

リンパ浮腫は、がん治療後の後遺症として起こるものが1番多いです。
乳がんなど、婦人科系がんの手術でリンパ節を取ると
そこの領域のリンパ腺の流れが非常に悪くなります。
リンパ腫が起こると流れが悪くなることで、
リンパ管に入り損ねた組織液がたまってしまうという状況になります。


■リンパ液・リンパ管・リンパ浮腫とは

私たちの体はおよそ60%が水分で
主に血液、組織液、リンパ液の3つに分けられ、
一定の割合で体内を循環しています。
例えば血液の水分は毛細血管からタンパク成分や脂肪分と一緒に、
細胞を取り囲む組織液へと染み出します。
組織液の水分の多くは再び毛細血管へと戻りますが、
一部がリンパ管へ流れ込みます。
このリンパ管内の液体がリンパ液で、
タンパク成分や脂肪分を多く含んでいます。
そのためリンパ液の流れが妨げられると、
組織液の中にタンパク成分や脂肪分が蓄積されていきます。
さらにタンパク成分には水分を引きつける性質があるため、
組織液が増えてリンパ浮腫が発症します。


■肥満とリンパ浮腫の関連

肥満は過剰な脂肪が体に沈着することですが、
リンパ浮腫は脂肪の沈着が1つの大きな原因になり、
それによるリンパ管の損傷がもう1つの原因になります。
特に、閉経後の肥満は乳がんの危険因子になることが明らかにされていて、
肥満が原因で乳がんになって治療をすると、
今度はリンパ浮腫になりやすいとされています。
肥満が余計にリンパ浮腫を起こしやすくして、
危険因子の連鎖を起こしてしまうことになります。


■肥満とリンパ浮腫のメカニズム

人体には再生能力があり、
がんの治療でリンパ節やリンパ管が失われると、
その周りに小さなリンパ管が発達します。
ところが肥満になると1つ1つの脂肪細胞が大きくなるので、
小さなリンパ管はすぐに圧迫されてしまいます。
新しいリンパ管がうまく機能すれば、むくみの改善に繋がるので、
リンパ浮腫を治すにはまず太らないようにして、
太っている人は減量することがとても大切です。


■リンパ浮腫の治療

リンパ浮腫の治療では、体液をリンパ管の中に戻すための圧迫治療が最優先になります。
脚のリンパ浮腫であれば弾性ストッキングを、
腕のリンパ浮腫であればスリーブを着けて動くことで
リンパ管の流れを良くして体液を戻します。
ただし重症のリンパ浮腫では患部の組織が繊維化して硬くなるため、 
圧迫療法や運動療法だけでは十分な効果は得られません。
そこで「用手的リンパドレナージ」という、
特殊な医療用マッサージが行われます。
専門的な教育を受けた医療従事者が行う手技で、
通常のマッサージとは全く違い、
圧迫をする前に弱い力で繊維化を起こしている硬い組織を少しずつほぐして、
組織を柔らかくした状態にしてから弾性着衣を着けるという治療法です。

花粉症

 
今回、花粉症についてお話を伺ったのは、
九州大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 助教・併任講師の
村上大輔(むらかみ だいすけ)先生です。

■花粉について

スギ花粉は2月中旬から飛散をはじめ、
3月をピークに4月上旬まで続きます。
その後はヒノキ花粉が4月上旬から5月上旬まで飛散します。


■花粉症のメカニズム

空気中を浮遊しているスギやヒノキ花粉などのアレルゲン(抗原)が鼻の粘膜に付着すると、
体内にアレルゲンに対する「IgE抗体」が作られます。
その後、再びアレルゲンが入ってくると、
肥満細胞上のIgE抗体がアレルゲンをキャッチして、
肥満細胞からヒスタミンなどの炎症性物質が放出されます。
これで神経や血管が刺激され、
くしゃみや鼻水、鼻づまり等のアレルギー反応が起こります。


■花粉症の特徴

花粉症を発症する人は遺伝的にアレルギー体質の人が多いですが、
アレルギー体質ではない人でも、
毎年大量に花粉を吸入し続ければ花粉症になることがあります。


■増えている理由

花粉が体内に入ってきたときの免疫反応を活発にさせるのがタンパク質や脂肪です。
日本食から高タンパク・高脂質の西洋的な食事に変わってきたことが、
花粉症が増加している原因のひとつだと考えられています。
またアスファルトなどで地面を固められた都市部は
空気中を漂うチリが舞いやすく、
その中に含まれる花粉を吸い込むことで
発症につながることがあります。
さらに睡眠不足など不規則な生活をしているとストレスがたまり、
自律神経や免疫反応のバランスが崩れてアレルギー反応がひどくなります。


■花粉症の予防・対策

外出時にはメガネやマスクを着用しましょう。
また上着は花粉の付着しにくいナイロン製のものにする、
帰宅時は外で花粉を払い落としてから家に入るなどの対策が必要です。
他、花粉の飛散量が多い日は外出をできるだけ控える、
こまめに部屋を掃除して、家の中の花粉を少なくすることも大事です。


■花粉症の治療

花粉症の症状を軽くするためには
薬物療法とアレルゲン免疫療法があります。
薬物療法では、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状に併せて、
抗ヒスタミン剤やステロイド点鼻薬などが処方されます。
アレルゲン免疫療法はアレルギーの原因となっている物質を体内に少しずつ取り入れて
アレルギー反応を抑えるというものです。


■期待される最新の研究

九州大学で今行っているのは、
腸管の免疫を利用する「経口免疫療法」の研究です。
私たちの腸には異物を排除する免疫細胞が多く存在しています。
経口免疫療法はこの免疫細胞にスギ花粉を継続的に投与して、
過敏なアレルギー反応を抑えようという治療法で、
現在研究が進められています。
今行われている免疫療法は3〜5年という長い期間に渡って治療を続ける必要がありますが、
経口免疫療法では治療期間を約2ヵ月で設定しています。

男性の更年期障害

 
■概要

今、うつ病が疑われる中高年男性の間で
更年期障害が注目されています。
治療法が異なるので、
うつ病の治療を受けても症状は良くなりません。
国内の患者数はおよそ250万人と考えられていて、
潜在的な患者の数は600万人に及ぶともいわれています。

今回、男性の更年期障害についてお話を伺ったのは、
福岡大学医学部 内分泌・糖尿病内科 教授の
柳瀬敏彦(やなせ としひこ)先生です。


■男性の更年期障害とは

男性の更年期障害とは
社会的責任の中心となる中年以降の男性において、
精神、身体、性機能などにさまざまな障害が出現する場合に使われています。
精神症状として抑うつ、集中力低下、疲れやすさなど。
身体症状として筋力の低下、発汗、ほてり、不眠など。
性機能関連症状として性欲減退、EDなどを呈します。
男性更年期障害の多くは
男性ホルモンのテストステロンの低下に起因すると考えられ、
その場合、加齢男性性腺機能低下症候群(ロー症候群)とよばれています。


■テストステロン

テストステロンは主に精巣で作られる男性ホルモンで、
筋肉や骨を作り、男性の性機能を維持する働きがあります。
20代をピークとして加齢と共に減少していきますが、
その度合いは個人差が大きく、
男性の誰もが更年期障害になるわけではありません。
さらに男性は女性と違って閉経という区切りがないため、
何らかの不調を自覚していても更年期障害とは気づきにくく、
よく似た症状のうつ病や加齢による心身の衰えと間違われやすいです。
またテストステロンの減少が招くのは更年期障害だけではありません。


■テストステロンが減ると?

テストステロンが減ると、
内臓脂肪が増えてくるということが分かっています。
つまりテストステロンが少なくなるほど
メタボリックシンドロームのリスクが高まることになります。
すると、高血圧や高血糖、脂質異常症を招いて動脈硬化が進み、
狭心症や心筋梗塞なども起こしやすくなってくると考えられています。
また男性の更年期障害でよくある症状の1つに、
性機能の低下(ED)がありますが、
心血管疾患を発症した男性患者さんの多くが
約3年前にEDを自覚していたとする報告が見られます。
これは陰茎動脈が心臓の冠動脈よりも細いために
動脈硬化の影響を受けやすく、
心臓の冠動脈よりも早く血流が悪化するためだと考えられています。


■その他にも

加齢とともに筋肉が減っていくのは
テストステロンの減少が影響していると考えられていて、
同様に骨密度も低下していくため骨折のリスクが高まります。
さらにテストステロンの減少が認知症の発症時期を早めるという指摘もあります。


■治療法と注意点

男性の更年期障害はテストステロンの補充療法で劇的に回復する場合があります。
治療は2〜4週間に1度、肩に筋肉注射を行うのが一般的ですが、
長期に行うと多血症といって赤血球が増え過ぎたり、
精子が作られにくくなったりするなどの副作用があります。
またテストステロンが減少する原因として
加齢以外にも強いストレスや不規則な生活、
飲酒、喫煙などが指摘されているので、
生活習慣の改善も大切になります。

胃潰瘍

 
今回、胃潰瘍についてお話を伺ったのは、
福岡赤十字病院 副院長の青柳邦彦(あおやぎ くにひこ)先生です。

■胃潰瘍とは

胃潰瘍とは胃の粘膜組織に炎症が起きて
組織が比較的、深く欠けた状態です。
年代的には40代以降の人に多く見られますが、
今でも出血性胃潰瘍による緊急入院は少なくありません。


■胃潰瘍の原因@

胃潰瘍の最も大きな原因はピロリ菌感染です。
ピロリ菌は胃の粘液内に潜む細菌で、
自ら特殊な酵素でアンモニアを作り出して
強い酸を含む胃液から身を守っています。
そして幼少期にピロリ菌に感染すると
ほとんどの人が慢性胃炎を起こし、
その一部が胃潰瘍へ進行するとされています。


■胃潰瘍の原因A

ピロリ菌以外の原因では薬剤による影響が挙げられ、
特に非ステロイド性消炎鎮痛薬と低用量アスピリンが知られています。
非ステロイド性消炎鎮痛薬は解熱や鎮痛作用のある薬、
低用量アスピリンは脳梗塞や心筋梗塞の再発予防によく使われる薬ですが、
これらは胃の粘膜を守る働きを傷つけやすいとされています。
またピロリ菌感染と薬剤の影響の両方があると、
胃潰瘍の発症リスクはより高くなるといわれています。


■ストレスの関与は?

多くの人は“ストレス”も胃潰瘍の原因になると考えるかもしれません。
実際に先の東日本大震災では甚大な被害を受けた被災者の方々に
胃潰瘍が増えたという報告があります。
しかし一般的なストレスだけで胃潰瘍になることは決して多くはありません。

■胃潰瘍の症状

胃潰瘍の症状は人によってさまざまですが
、多くの場合、みぞおち辺りに痛みを自覚します。
また胸焼けや吐き気などが起こることもあります。
薬剤の影響による場合では自覚症状があまりない一方で、
突然、吐血や黒い色の便が見られる場合があります。


■胃潰瘍と胃がん

ピロリ菌による慢性胃炎があると胃潰瘍のほかに、
若い人に起こりやすい十二指腸潰瘍、
さらに人によっては胃がんが起こることがありますが、
胃潰瘍から胃がんになることはないとされています。
ただし、一部の胃がんに胃潰瘍が起こることがあるので、
疾患を確定させるためにも、
胃の不具合があった場合には
病院できちんと診てもらうことが大事です。


■胃潰瘍の診断・検査

胃の付近の症状を訴えて病院に来た患者さんには
非ステロイド性消炎鎮痛薬や低用量アスピリンを内服していないかなどを尋ねます。
さらに胃の中の状態を見るために内視鏡検査や、
バリウムを使ったレントゲン検査などを行います。
また、もっとも多い要因にピロリ菌感染があるので、
その有無も検査します。


■胃潰瘍の治療

胃潰瘍の診断がついたら治療が行われます。
原則、酸分泌抑制薬で治療し、
もしピロリ菌に感染していたら抗生物質による除菌も行います。
除菌治療が成功すると、
かなりの割合で胃潰瘍の再発を防ぐことが可能です。
薬剤による胃潰瘍の場合はその服用を一旦中止しますが、
中止や再開については医師と相談しながら行ってください。



■補足

胃のあたりに強い痛みが走ったとき、吐血、下血を伴うときには、
潰瘍の部分に穴が開いたり、出血したりしていることも考えられます。
胃潰瘍で命を落とす場合もあるので、
おかしいなと思ったら早めに病院で診てもらいましょう。

過去の記事


All Rights Reserved. Copyright © KBC Co.,Ltd. 1998 - 許可なく転載を禁じます