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これからの外科医療

 
■ごあいさつ

いつも“とっても健康らんど”をご覧いただきまして
誠にありがとうございます。
今回、番組開始20年目にして1000回に突入しました。
これからもスタッフ一同 より一層がんばります!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

今回、これからの外科医療についてお話を伺ったのは、
長崎市立病院機構 長崎みなとメディカルセンター 理事長・
日本外科学会 元会長の兼松隆之(かねまつ たかし)先生です。

■外科医療の進歩

外科もこの20年で大きく進歩したと思います。
診断が非常に正確にできるようになり、
外科以外の治療法も発展してきました。
そのような中で手術を受ける患者さんの体への負担というのを
できるだけ少なくしようという目的でいろいろな工夫や改革が行われてきました。


■患者さんの負担軽減のために@

手術時に出血が多かったり、手術時間が長かったりということが負担になります。
その点では、この20年間に手術器具の改良が重ねられてきました。
“超音波凝固切開装置”は血管等の組織を固めて切り離すことができる機器です。
これにより執刀医は出血の心配をすることなく、
より安全に手術を進めることができるようになりました。
また“自動縫合器”は臓器などを切り離すと同時に
その部分を縫い合わせることができる機器です。
これらは切り離し後の臓器の再建などにも役立てられ、
手術時間の短縮にも大きく貢献しています。


■患者さんの負担軽減のためにA

もうひとつは手術の方法が大きく変わったということです。
特に1990年代に入りましてそれまで開腹手術とは違った
内視鏡を使った手術が広く導入されるようになりました。
内視鏡を使う腹腔鏡手術とはお腹に数箇所、小さな穴を開け
そこから内視鏡や手術道具を入れて行うものです。
従来の開腹手術に比べると出血が少ない、術後の傷が小さい、
早く元の生活に復帰できるなどといったメリットがあります。

内視鏡はもともと検査のために使われる医療機器で、
治療を目的としたものではありませんでしたが、
例えば胆のうの手術などに応用されるようになって、
非常に世界中に急速に広がりました。
その後、胃の手術、食道の手術、呼吸器外科、小児外科、産婦人科の手術など、
多くの治療にだんだんと広がってきました。
この20年間に多くの患者さんがその恩恵を受けられたと思います。


■外科医療の今後

今までは外科手術は悪いところを取り除くことが主な目的でしたが、
これからは悪いところを取り除いたあとに元の機能に復するような
再建のための手法“再生医療”のようなものも
外科の中で大事な分野になってくるのではないかと思います。


■まとめ

100歳以上の方が6万人を超すなど高齢化が進む日本では、
今後、お年寄りも手術を受ける機会がより増えると予想され、
ますます、体に負担の少ない医療が求められます。
日々、進歩を続ける外科医療の今後に期待しましょう!

※トライのコーナーでは、4K高画質内視鏡と20年前の最新型内視鏡を見比べてみました。

痔ろう

 
今回、痔ろうについてお話を伺ったのは、
福田肛門外科医院 院長の福田寛蔵(ふくだ かんぞう)先生です。

■痔ろうとは

痔ろうはお尻に膿の管ができて化膿をくり返す病気で、
慢性的な下痢などが原因に考えられています。
下痢になりやすい男性に多く見られますが、
女性の発症も少なくはありません。
痔ろうになると、お尻にしこりができたり、激しい痛みが続いたり、
お尻から膿が出て下着を汚したりすることがあります。
膿が出るといったん腫れや痛みといった症状はなくなります。
その後、膿が出た傷口がふさがって治ったかと思っていると
また同じ所に膿がたまって破れたり、
他の所から膿が出たりということを繰り返すのが特徴です。
きちんと治療しないと原則的には完治しません。


■痔ろうになる仕組み

お尻の皮膚は肛門から体内へと続き、

歯状線(しじょうせん)を境に粘膜へと変わります。
痔ろうはこの歯状線にある肛門陰窩(こうもんいんか)に便が入り込むことで起こります。
肛門陰窩は深さ1ミリ程度の小さなくぼみで、
普段は便が入ることはありませんが、
下痢をくり返していると入りやすくなります。
そして肛門陰窩の奥にある肛門腺と呼ばれる粘液の出口付近に傷があったり、
疲れて体の抵抗力が弱ったりしていると
便の中の細菌に感染して化膿してしまうことがあります。
こうして肛門の周囲に膿がたまった状態を肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)と言います。
肛門周囲膿瘍になると化膿によるズキズキとした痛みや腫れ、
39℃前後の高い発熱を伴いますが、
放っておくと膿が皮膚の外に排出されて症状が楽になります。
こうして肛門の内側と外側をつなぐ管ができた状態が痔ろうです。
痔ろうの管は自然消滅することはないので、
治療しない限り何度も細菌感染を起こして痛みや腫れをくり返したり
頻繁に膿が流れ出たりするようになります。


■痔ろうの注意点

痔ろうは薬では治せないので、
市販の鎮痛剤などで痛みをごまかしたりせず、
早めに専門医を受診して下さい。
肛門周囲膿の段階なら切開して膿を出すだけで、
いったんは症状が治まって、まれにそのまま完治することもあります。
受診するまでの応急処置として患部を冷やすことが大切です。
入浴するなどして温めると一時的に痛みは和らぎますが、
後からかえって化膿を悪化させてしまうことになります。
また下痢は痔ろうの原因となり、
症状の悪化も招くので過度の飲酒や暴飲暴食を避け、
下痢をしないように注意することが大事です。


■痔ろうの治療@

痔ろうはたとえ軽症でも完治させるには必ず手術が必要となります。
お尻にできた管の入口と出口がはっきりと分かる場合は、
管にゴム糸を通して縛る「シートン法」で治療できます。
これはゴム糸を異物とみなして
体から排除しようとする治癒力を利用する方法で、
徐々に組織が修復されるのを待ちます。
ゴム糸が自然に取れると治療は完了で入院の必要はありません。
ただ、ゴム糸を数週間毎に縛り直さないといけないために定期的な通院が必要で、
完治までに数ヵ月から1年以上かかることもあります。


■痔ろうの治療A

痔ろうを再発させることなく
速やかにしっかりと完治させるためには、
病気の元となる膿の管を取り除くのが確実です。
肛門後方の皮膚から浅い所にある痔ろうの場合は
膿の管を切り開いて、
入口から出口まで切除する切開開放術を行うことが多いです。
肛門後方以外にある場合は
肛門括約筋のダメージをなるべく少なくして、
肛門の絞まりに影響がないように膿の管を入口から出口までくり抜く「括約筋温存術」を行います。
痔ろうは治療しなくてもたまった膿が自然に排出されればいったん症状が治まるので、
なかなか病院を受診しない人もいますが、
長年放置すればまれに、がん化することもあるので、
お尻から膿が出るような症状があれば早めに専門医を受診することが大切です。

お薬最前線

 
今回、お話を伺ったのは、
九州大学病院 教授・薬剤部長の
増田智先(ますだ さとひろ)先生です。


■薬とは

国内で医療用薬品として流通可能なものは
規格の違う種類も合わせると2万品目ほどあるといわれています。
医療用医薬品、いわゆる“処方薬”は医師が診断して発行する処方箋に基づいて薬剤師が調剤を行い患者に渡されます。
患者ひとりひとりの症状や体質などに合わせて調剤された薬なので、
正しく服用することが大事です。


■処方箋の工夫

処方箋には患者の検査データが載せられています。
この取り組みは5年ほど前からいくつかの大学病院で始められ、
九州大学病院では3年ほど前から導入されています。
薬剤師が患者の健康状態を把握できて調剤にも役立てられています。


■服用時の注意点

薬が作られる試験の際に、お茶やコーヒーで試したことはないので、
やはり水かぬるま湯で飲むのが良いと思います。
また、牛乳やヨーグルトに含まれる脂質やカルシウムは
一部の抗菌薬に影響を及ぼして、
薬の吸収をほとんどなくしてしまうことがあります。
さらにグレープフルーツジュースで血圧を下げる種類の薬を服用すると
薬が効きすぎて血圧の急降下を招くことがあります。
ほか、サプリメンの中でもビタミン剤には注意が必要なものもあります。
緑内障の薬であるアセタゾラミドを服用する際に
多量のビタミンC剤を一緒に飲むと
尿が酸性になって尿管結石を起こす可能性があります。




■薬の飲み合せの注意点

薬がたくさんあると相互作用が起こって
副作用が出る危険性が上がるので、
たくさんの診療科にかかっている場合は
可能な限り薬局をひとつにして、
薬剤師に飲み合わせをチェックしてもらいましょう。


■お薬手帳について

お薬手帳は、患者はもちろん、
薬を処方する医師や調剤をする薬剤師にとって
貴重な情報源となっています。
お薬手帳は次の診療までに
この薬を飲んでその後気分が悪くなったなど、
いろいろ起こったことを書き留めていただくと
薬を処方した医師や調剤する薬剤師がチェックすることができるので
次のときまでの「連絡帳」のような感じで使っていただくのが良いと思います。

※薬をはじめ、患者の健康に関するあらゆるケアを行うことを目的とした“かかりつけ薬剤師”という国の新たな制度が進められています。
詳しくはお近くの調剤薬局でおたずねください。

圧迫骨折

 
■概要

お年寄りの背が縮んだり、腰が曲がってきたりしたら
圧迫骨折の可能性があります。
圧迫骨折は何らかの圧力によって骨が押し潰されて変形する病気で、
全身のさまざまな骨で起こりますが、圧倒的に背骨が多く、
主に胸の下から腰の上の方にかけて起こりやすいとされています。

今回、圧迫骨折についてお話を伺ったのは、
福岡大学病院 整形外科 脊椎班医師の
信藤真理(のぶとう しんり)先生です。


■圧迫骨折とは

比較的新しい骨折では背中や腰にズキンとした激痛が生じることが多いです。
特に立ち上がりなどの姿勢で腰を反らした時に
痛みが強くなることが多いのが特徴です。
また立ち上がってしまうと意外と歩くことができて、
骨折部位を叩くと痛みが強くなることで
ギックリ腰との鑑別にもなります。
60歳代男性では5.1%、
女性では14%の人が背骨に骨折をしたという報告があります。


■圧迫骨折の注意点

背骨が骨折して潰れると腰が曲がるなどして姿勢が悪くなります。
25歳の時と比べて身長が4cm以上縮んでいれば、
痛みがなくても圧迫骨折を起こしている可能性が高いとされています。
骨折をした骨が骨髄や神経を圧迫すると脚を動かしにくくなったり、
排尿排便がしにくくなるといった重篤な症状が出ることもあります。


■骨の仕組みと骨粗しょう症

骨は生きている細胞の集まりで、
破骨(はこつ)細胞が古くなった骨を溶かす骨吸収(こつきゅうしゅう)と、
骨芽(こつが)細胞が新しく骨を作る骨形成(こつけいせい)とを常に繰り返しながら、
少しずつ新しい細胞へと生まれ変わっています。
ところがこの新陳代謝のバランスが崩れて
破骨細胞が過剰に働く病気があります。
それが骨粗しょう症で、
骨の内部がスカスカになってしまうので骨折を起こしやすくなります。
特に女性は閉経によって
破骨細胞の働きを抑える女性ホルモンが低下するため
骨粗しょう症になりやすく、
閉経後に骨が急速に劣化する人が少なくありません。


■骨粗しょう症

骨粗しょう症になると尻もちなどの軽い転倒や
くしゃみ、物を持ち上げるといった動作だけでなく、
じっとしていても体の重みを支えきれずに
背骨が圧迫骨折を起こすことがあります。
さらに1つでも骨折していると周りの骨に負担がかかり、
まるでドミノ倒しのように次々と圧迫骨折が起こるリスクが高まります。


■圧迫骨折の治療

圧迫骨折の治療は骨折部を安定させる保存的治療と、
その後の骨粗しょう症の治療が重要となってきます。
初期には痛みがメインであり、
鎮痛剤の投与を行ってなるべく安静にします。
入院加療となることも多いです。
安静での痛みのコントロールができたら
コルセットなどの装具による固定が必要となります。
その後に骨粗しょう症の重症度に応じた治療薬を使用することも必要です。
保存的治療で症状が改善しなかったり、
下半身のマヒや神経障害が出てきたりする場合には
手術が行われることがあります。
最近では潰れた背骨に針を刺して、
中で風船を膨らませて骨の形を元に戻し、
その中に医療用の充填剤を注入する
“バルーンカイフォプラスティ”が
広く行われるようになっています。
新しい充填剤の開発も進み、
治療による副作用や再発の心配が以前より少なくなりました。


■圧迫骨折の予防

圧迫骨折の予防には食事・運動・環境の3つのキーワードがあります。
まずは正しい食生活と運動をすることで丈夫な骨を作って
骨粗しょう症にならないことが大事となります。
食事はタンパク質、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを多く含んだ食品を摂取するように心がけましょう。
運動は1日8千歩(=4km相当)のウォーキングを週3回と、
筋肉トレーニングをすることが推奨されています。
また手すりなど、つまずきにくい生活環境を整備することで
転倒のリスクを減らして骨折を予防することができます。
検査では30〜40歳代の正常な骨の密度の人と比べて、
70%未満になると骨粗しょう症と診断されます。
その場合には治療薬による骨折予防が必要なこともあるので、病院の受診をおすすめします。

乳幼児のおう吐下痢症

 
今回、「乳幼児のおう吐下痢症」についてお話を伺ったのは、
福岡大学病院 小児科 医師の井原由紀子(いはら ゆきこ)先生です。

■乳幼児のおう吐下痢症とは

乳幼児のおう吐下痢症は毎年、秋から春にかけて流行する疾患で、
生後6ヵ月未満から未就学児のお子さんに多く流行します。
子どもさんにおう吐や下痢を起こす病気にはさまざまなものがありますが、
乳幼児のおう吐下痢症は「感染性胃腸炎」とも言われ、
ウイルス性の胃腸炎が多くを占めています。


■乳幼児のおう吐下痢症の原因

乳幼児のおう吐下痢症の原因となる代表的なウイルスは
アデノウイルス・ノロウイルス・ロタウイルスの3つです。
中でもロタウイルスはこれから春先まで大流行する可能性があるので特に注意が必要です。


■感染経路

ウイルスの主な感染経路には、
おう吐物や便を直接触れることで起こる経口感染、
おう吐物が空気中に舞って、それを口から吸うことで起こる飛沫感染があります。
特にノロウイルスやロタウイルスは非常に感染力が強いとされています。


■乳幼児のおう吐下痢症の症状

おう吐下痢症ではその名前の通り、おう吐や下痢が起こります。
一般的に、おう吐は数日間で治まることが多いですが、
下痢は1週間ほど、ロタウイルスでは2週間ほど続く場合があります。
他にも、乳幼児によっては高熱や腹痛が数日間続くこともあります。




■乳幼児のおう吐下痢症の注意点

乳幼児のおう吐下痢症では、
おう吐や下痢が続くことによって
体から水分がどんどん失われていくので、
脱水を合併しないようにすることが重要です。
脱水予防のための水分補給には水やお茶などよりも、
カリウムやナトリウムなど電解質の入った乳幼児用のイオン飲料がよいと思います。

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