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関節リウマチ

 
■概要

関節リウマチは天気が崩れる前や雨の日には
症状がひどくなることが医学的に証明されています。
関節リウマチは一言でいうと骨が溶けて壊れる病気で、
進行すると関節が変形して動かしにくくなり、
寝たきりになってしまうこともあります。
患者は圧倒的に女性が多く、発症のピークは40代です。

今回、関節リウマチについてお話を伺ったのは
九州大学病院別府病院 病院長の
堀内孝彦(ほりうち たかひこ)先生です。


■関節リウマチの症状

関節リウマチの症状には大きく分けて
関節症状と全身症状があります。
関節症状は多くの場合、手首や手足の指の関節痛や
腫れから始まって、左右対称の関節に起こりやすいのが特徴で、
病気が進行すると関節が破壊されて徐々に変形していていきます。
全身症状は微熱やだるさ、食欲低下など、
一見すると風邪のような症状を伴うことがあります。
ただ、風邪が1週間程度で治るのに対して、
関節リウマチでは何週間も症状が持続します。
さらに関節リウマチによって引き起こされた全身の炎症が
動脈硬化を進めることが分かっています。
また関節リウマチそのもの、あるいは薬の副作用などによって
感染症にかかりやすくなります。
そのため、関節リウマチになると健康な人と比べて
およそ10年も寿命が縮むと言われています。


■関節リウマチの原因

なぜ関節リウマチになるのかその原因は分かっていません。
ただし関節の腫れや痛みは免疫の働きに異常をきたすからだと考えられています。
免疫は体を守るための仕組みで、
体内に侵入したウイルスなどの異物を攻撃して排除します。
ところが何らかの原因で免疫が暴走すると
体内の正常な細胞を異物とみなして攻撃します。
関節リウマチでは関節の内側を覆っている滑膜(かつまく)を
免疫が異物とみなして攻撃します。
すると炎症を起こした滑膜が増殖して軟骨や骨を侵食しながら
少しずつ関節を破壊していきます。


■関節リウマチの特徴と症状

関節リウマチによる関節の破壊は、
以前はゆっくり進行すると考えられていましたが、
実は発症後2年以内という短期間で急速に進行することが分かり、
早期の発見と治療が重要視されています。
関節リウマチの代表的な初期症状が朝のこわばりです。
朝起きてしばらくの間、まるで油が切れたように
手足の関節をうまく動かせなくなります。
これが1時間以上も続く場合は要注意です。
他にも複数の関節の痛みや腫れが2〜3週間以上続くようなら
関節リウマチが疑われるので、専門医を受診してほしいと思います。


■関節リウマチの治療

関節リウマチは原因が分からないため、
今のところ完治は望めません。
そこで治療の目的は、寛解(かんかい)と呼ばれる、
症状がほとんど消えた状態を目指すことになります。
寛解になれば関節破壊の進行は抑えられ、
関節の変形で失われた生活機能の改善に取り組めます。
治療は病気の進み具合や症状に応じて、
薬物療法・手術療法・リハビリテーションがありますが、
最近では新薬の関発が進み、
薬物療法が大きな効果を上げています。
ただし、薬物療法で病気の進行を止められなかったり、
関節の変形が進んで生活に支障があったりする場合は、
人工関節や関節形成といった手術が必要なこともあります。


■関節リウマチの治療薬

関節リウマチの治療薬には
過剰に活性化した免疫システムを調整して、
病気の進行を抑える働きがあります。
飲み薬と注射の2種類があり、
注射は生物学的製剤とも呼ばれています。
比較的新しい注射薬で、
飲み薬で十分な効果が得られない場合に用います。
関節の腫れや痛みを抑えるだけでなく、
関節破壊を強力に抑制します。
最も新しいリウマチの治療薬として
分子標的治療薬という飲み薬も登場していて、
生物学的製剤と同等の高い効果を発揮します。
関節リウマチのお薬はどんどん進化しています。

隠れ心不全

 
■概要

パンデミック…。
一般にはインフルエンザなどの感染症が
爆発的に流行する現象を指しますが、
今、感染症ではないある病気がこの言葉で語られています。
それが「心不全パンデミック」です。
近年、高齢者を中心に心不全患者が急増していて、
その陰には相当数の心不全予備軍がいると考えられています。
厚生労働省によると2030年には患者数が130万人に達すると予測されています。

今回、隠れ心不全についてお話を伺ったのは、
佐賀大学医学部 内科学講座 主任教授の
野出孝一(ので こういち)先生です。


■隠れ心不全とは

慢性心不全の中で、心臓が収縮する力は保たれているのですが、
拡張する力が保たれていない種類の心不全があります。
これを「拡張不全」と言いますが、
別名“隠れ心不全”とも呼ばれています。
この拡張不全は見つけにくく、
なんとなく体がだるい、疲れやすいなどといった
漠然とした症状が出てくることが多いです。
この「拡張不全=隠れ心不全」を早めに見つけて
管理することが大事といわれています。


■隠れ心不全の特徴

隠れ心不全は安静にしているとほとんど症状が出ません。
階段を上ったりした時に軽く息が切れるというのがよくある症状ですが、
多くの人は年齢のせいだとか、
疲れているからだと思ってたいして気にかけません。
そうして放置している内に心臓の機能は少しずつ低下していきます。
心不全は進行性の病気で、一度悪くなると元には戻りません。
やがて息苦しさで日常生活に支障をきたすようになり、
たまらず病院を受診する頃には
病状がかなり悪化していることも少なくありません。


■隠れ心不全の原因

隠れ心不全の原因は生活習慣病だといわれています。
高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満といった生活習慣病があれば
しっかり管理することが予防につながります。
特に糖尿病があると心筋の肥大が起こって
硬くなることで拡張不全が起こってきます。
糖尿病がある高齢者のおよそ2割は心不全を合併しているといわれています。


■早期発見のためには

心電図検査を受けて何か異常があれば、
循環器の専門医に胸部X線検査や
BNP検査で詳しく調べてもらいましょう。
BNP検査とは心臓で分泌されるホルモンを調べる血液検査です。
これらに心電図検査や超音波検査などを組み合わせることで
心不全の進行具合が分かるので、
自覚症状がない隠れ心不全の段階でも
正確な診断ができるようになりました。


■隠れ心不全の治療

隠れ心不全の治療では生活習慣の改善が最も大事です。
適度な運動や睡眠、バランスの取れた食事など
日常生活の管理が大事です。
加えて、高血圧や糖尿病などの生活習慣病があれば
治療を受けることが隠れ心不全の治療、
さらには予防にもつながります。
隠れ心不全そのものに対しての薬は今のところはありませんが、
最近、糖尿病の内服薬を服用することによって、
隠れ心不全を予防する、あるいは悪化を抑えることができるといわれています。

高血圧ワクチン

 
今回、高血圧ワクチンについてお話を伺ったのは、
大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 教授の
森下竜一(もりした りゅういち)先生です。


■高血圧ワクチンとは

高血圧ワクチンとは薬を飲むことなく、
1回の注射で長期間、血圧を安定させることを目的としたワクチン
です。
現在、森下先生のグループで研究が進められていて、
すでに日本とアメリカ、ヨーロッパで特許を取得、実用化に向けて
開発が続けられています。


■高血圧ワクチン研究の経緯

通常、血圧が高いといわれた場合は減塩など生活習慣を改善する、
あるいは体重を減らすということになるわけですが、
それらだけではなかなか改善しないのが現実です。
そうすると薬を飲んでもらうことになるのですが、
薬を飲み忘れる方、あるいは薬自体を飲みたくない方も多いです。
薬を飲み忘れている方は血圧のコントロールが
うまくできていないので、心筋梗塞や脳梗塞になるケースが多いです。
そこで、高血圧ワクチンを打つと
心筋梗塞や脳梗塞の発症が減るのではないかと考えて研究を始めました。


■血圧とは

血圧とは心臓から送り出された血液が血管を通るときに血管の壁に
かかる圧力のことです。
診察室で測った際に、いわゆる上の血圧が140mmHg以上、
または下の血圧が90mmHg以上であれば高血圧と診断されます。
高血圧は遺伝的な要因のほか、塩分の取りすぎ、喫煙、睡眠不足、
肥満、ストレスなど日ごろの生活習慣が大きく関係しています。


■高血圧ワクチンが効く仕組み

高血圧の仕組みのひとつとして、“アンジオテンシンU”という
血圧を上げるホルモンが作用することによって起こるケースが
あります。
実際にアンジオテンシンUを抑える薬は
“アンジオテンシン受容体拮抗薬”といって、
非常に多くの高血圧の患者さんが飲まれています。
私どものアイデアはこのアンジオテンシンUを抑えるような抗体を
ワクチンで作って、
薬と同じような作用を注射で再現させようというものです。

抗体とは細菌やウイルスといった異物が体内に入っていたとき、
それらを追い出すために作られる対抗物質のことです。
高血圧ワクチンが体の中に投与されると
アンジオテンシンUを異物とみなして抗体が作られます。
これによってアンジオテンシンUの作用が弱まり、
血圧の上昇を持続的に抑えることができるとされています。


■高血圧ワクチンのメリット

高血圧ワクチンが実用化されると、
薬の服用が要らなくなることで“飲み忘れ”がなくなります。
また24時間に渡って効果が続くことで早朝や夜にだけ血圧が上がる、
いわゆる“隠れ高血圧”の患者さんにも有効とされます。
また高血圧の患者さんは今、非常に多いので、
実は多くの薬剤費、医療費がかかっています。
さらに最近では厳格な血圧のコントロールが
心筋梗塞、脳梗塞の予防に重要であるということで処方薬の数も増えていて、
ますます医療費が増えている状況にもなっています。
1回の注射で数年間、血圧のコントロールができるワクチンが実用化できれば、
このような医療費も大幅に削減できることが期待できるのではないかと思います。

認知症最前線

 
■概要

社会の高齢化に伴って問題視されている認知症。
患者数は増加の一途を辿り、厚生労働省の推計によると、
現在500万人を越える可能性が指摘されています。
一方で今や国民病と呼ばれているのが糖尿病です。
その患者数は予備軍まで含めると全国に2000万人ともいわれています。
症状も原因も異なる認知症と糖尿病ですが、
最新の研究でこの2つの病気は密接に関係し合っていることが
分かってきました。

今回、認知症最前線についてお話を伺ったのは、
九州大学主幹教授の中別府雄作(なかべっぷ ゆうさく)先生です。


■認知症とは

認知症は何らかの原因で脳の細胞が死んだり働きが
悪くなったりして、記憶力や判断力が低下する病気の総称です。
中でも患者のおよそ7割を占めるアルツハイマー病の増加が最近では大きな社会問題となっています。
アルツハイマー病は脳にアミロイドβなどの異常なたんぱく質が蓄積して、神経細胞が壊れて減っていくために起こることが分かっています。
このような症状の進行に伴って脳が萎縮していきますが、
アミロイドβの蓄積などは発症の10年以上も前から始まると考えられています。


■糖尿病とは

一方糖尿病とは、体内の糖をエネルギーとして活用するために必要な
インスリンというホルモンが十分に働かないために血液中の糖が
慢性的に増える病気です。
そのため体中の組織や臓器がエネルギー不足になるだけでなく、
増えた糖でドロドロになった血液が血管に負担をかけ続け、
やがて全身の血管がもろくなるなどしてさまざまな合併症を引き起こします。
多くの血管が張り巡らされた脳も影響を受けやすく、
血管が詰まったり破れたりして脳卒中を起こし、
その後遺症で脳血管性の認知症が発症することは以前から知られていました。


■認知症と糖尿病の関係

九州大学では1961年から福岡県久山町で住民の健康調査を続けていますが、
認知症についても1985年から住民の65歳以上の全員を対象にして調査を続けています。
その結果、糖尿病になると健康な人と比べて3倍程度、
アルツハイマー病になりやすいことが分かってきました。
これは糖尿病の影響でアルツハイマー病の原因となるアミロイドβが脳に蓄積しやすくなるなど、
脳の神経細胞が壊れやすくなるからだと考えられています。
また多くのインスリンは膵臓で作られますが、
最近の研究では脳でも作られていることが分かってきました。
そしてアルツハイマー病の脳では
インスリンの産生や利用に関わる複数の遺伝子の働きが減少して、
脳で糖をうまく利用できなくなるなどして、
脳内が糖尿病のような状態になっていることが分かってきました。


■そのメカニズムについて

私たちの脳内ではグリア細胞が血液中の糖を取り込んで神経細胞に供給しています。
インスリンは神経細胞から分泌されて、
グリア細胞や神経細胞自身が糖を取り込む手助けをします。
そして神経細胞やグリア細胞内のミトコンドリアが取り込んだ糖を
エネルギーに変換しています。
アルツハイマー病の脳では発症する前から神経細胞で作られる
インスリンの量が低下します。
すると神経細胞とグリア細胞で糖が取り込まれにくくなり、
神経細胞ではミトコンドリアからのエネルギー供給が減るので
機能を維持できなくなり、記憶力や判断力が低下します。
さらに機能不全になったミトコンドリアが活性酸素を放出するため、
炎症などのダメージで神経細胞が傷ついたり死滅したりして、
脳の萎縮が始まると考えられているのです。
アルツハイマー病の脳は糖の不足や炎症によるストレスに対して、
とても弱くなっています。
そうした状態で糖尿病を発症するとさらにストレスがひどくなって
アルツハイマー病が悪化するという負の連鎖に陥ってしまうのです。


■まとめ

アルツハイマー病と糖尿病の関係が明らかになったことで脳に
糖尿病治療のようなことをして、
アルツハイマー病に対処しようという取り組みが始まっています。
すでにアメリカではアルツハイマー病の患者さんに対して、
糖尿病の治療に使われるインスリンを鼻から吸入させて、
脳に直接インスリンを送り込む臨床研究が行われています。
その結果、症状の進行が抑えられたことが報告されてきました。
ただ短期間の投与では改善の度合いは小さいため、
これから長期的な効果について調べていく必要があります。
他にもインスリンの働きを回復させることで脳内の糖尿病状態を改善して、
アルツハイマー病を治療する新薬の開発が検討されています。
糖尿病治療薬とインスリン薬の併用でより効果的な治療が期待されています。

歯周病と全身の病気

 
今回、歯周病と全身の病気についてお話を伺ったのは、
九州大学大学院 歯学研究院 副研究院長・歯周病学教授の
西村 英紀(にしむら ふさのり)先生です。


■歯周病とは

私たちの歯は歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる骨に支えられるように埋まっていて、
その周りを歯肉(しにく)に包まれています。
歯周病は正しい歯磨きを怠ることなどで
歯と歯肉(歯ぐき)のすき間に細菌が溜まって炎症を起こす病気です。
歯周病は喫煙習慣やメタボリック症候群、糖尿病があると
症状が悪化しやすいと考えられています。


■歯周病と喫煙

喫煙によって歯の表面にヤニがこびりつくと、
歯周病の原因となる細菌の塊“歯垢”がつきやすくなります。
また、たばこに含まれるニコチンは
免疫機能の働きを弱らせて細菌感染を進め、
歯周病悪化の要因になります。


■歯周病と全身の病気について

歯周病の原因となる歯周病菌は
全身の病気にも大きく関係しています。
菌が体の中に入ってくると
体はそれを排除しようとしてその結果、炎症が起きますが、
その炎症が体にいろいろな弊害を及ぼすと考えられるようになってきました。
歯周病菌は歯の周辺の組織に張り巡らされる毛細血管に侵入して
全身を駆け巡ります。
すると体内では免疫組織である白血球が細菌を排除しようと働いて、
炎症が起こるとされています。
また、歯周病による炎症が血管内に波及すると
血管の内部がだんだん細くなってきます。
さらに、炎症は血液をドロドロにするので、
それによってできた血液の塊が血管内で詰まりやすくなって
脳梗塞や心筋梗塞につながる可能性があるとも考えられています。


■歯周病と糖尿病

歯周病は糖尿病と相互関係があることが知られています。
歯周病と糖尿病の間には“肥満”が大きく関係しています。
歯周病の人が肥満になると
歯周病による炎症が脂肪組織に波及して、
血管からの糖の取り込みが阻害されることになります。
肥満の人に多い内臓脂肪からはTNF-αという物質が出され
炎症がより進みます。
この炎症により血液中にある糖分の吸収が抑えられるため、
血糖値を下げるインスリンの働きが弱くなって、
人によっては糖尿病につながるとされています。
その反対に、糖尿病のように血糖値が高い状態では免疫機能が低下し、
歯周病菌の活動が活発になって
歯周病がより悪化すると考えられています。


■歯周病の予防・対策

歯周病の予防・対策は口の中をきれいに保つことです。
毎日きちんと歯磨きをすることはもちろん、
歯科クリニックで定期的に歯垢や歯石を取り除いてもらうことが大事です。

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