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高齢者のうつ

 
今回、高齢者のうつについてお話を伺ったのは、
産業医科大学 精神医学教室 教授の
吉村玲児(よしむら れいじ)先生です。

■高齢者のうつ

高齢者のうつ病は、憂鬱な気分などの精神症状よりも、
原因のはっきりしない頭痛や腰痛、胃腸の不快感、
下痢、便秘などの身体的な症状が目立つのが大きな特徴です。
高齢者のうつ病は認知症との鑑別が難しく、
うつ病から認知症に移行するケースもあるので、
注意深くフォローアップすることが大切となります。
また、強い不安や焦燥感、幻覚や妄想を伴う場合が多く、
重症化するケースも多いようです。


■高齢者のうつの特徴

高齢者のうつ病は心身の衰えと同時に、
環境の変化がきっかけで発病することが多いとされています。
仕事を退職してすることがない、
配偶者やペットが亡くなった、
体調不良で外出する機会が減ったなど、
主に孤独感と喪失感が引き金になりやすく、
年齢を重ねると誰でもうつ病になる可能性があります。
一方で、高齢者は何らかの
生活習慣病を患っている場合が多く、
特にがんや糖尿病、心筋梗塞、脳血管障害などは
うつ病を合併しやすいことが知られています。


■高齢者のうつの治療

高齢者のうつ病の治療では、薬物療法、精神療法、
環境調整をバランス良く行うのが基本です。
病状によっては入院が必要なこともあります。
薬物療法では抗うつ薬が中心となりますが、
血圧低下や排尿困難、頻脈などの
副作用を伴う薬剤もあるので、
高齢者では副作用の少ない薬剤を選ぶことが大切です。
また高齢者は薬剤の代謝機能や
排出機能が低下していることが少なくないので、
抗うつ薬の量を成人の投与量の半分程度から開始して
ゆっくり増量していく必要があります。

精神療法では、医師をはじめとする専門スタッフが
過去の懐かしい思い出を語り合う回想法など、
さまざまな技法を用いて、うつ症状の改善を目指します。
病院に通って医師や看護師と話をするだけでも
患者さんの孤独感が解消されて、
病状が快方に向かうことがあります。
また家族の接し方としては
患者さんの話に共感することが大切で、
痛みの訴えに「大変だね」などといたわることで
患者さんの不安感が薄れます。

高齢者のうつ病の治療で
最も気を配るべきなのが環境調整です。
患者さんが活力を取り戻せるような環境を
整えてあげることが大切です。
特に独り暮らしの場合には
家族がときどき家に顔を出す、電話をするなど、
気にかけているというメッセージを送ることが重要です。
またデイケアを利用したりして
孤独感の解消に努めることも有効です。
環境調整は治療後の再発予防にもつながります。
患者さんが家に引きこもりがちにならないよう、
家族がしっかりとサポートしてほしいと思います。

軟骨伝導補聴器

 
今回、軟骨伝導補聴器についてお話を伺ったのは、
九州大学大学院 医学研究院 耳鼻咽喉科 講師の
松本希(まつもと のぞむ)先生です。

■軟骨伝導補聴器とは

軟骨伝導補聴器は2018年の1月くらいから
病院で広く使われるようになった新しいタイプの補聴器です。
一般的な補聴器で見られるイヤホンの代わりに、
振動子(しんどうし)と呼ばれる、
細かい振動を起こす小さな装置が取り付けられています。


■聞こえの仕組み

通常、外から入ってきた音は“振動”として外耳道を通り、
鼓膜を震わせます。
その振動は中耳を経由して、
奥にある内耳で電気信号に変えられて脳へと伝わります。


■軟骨伝導補聴器の聞こえの仕組み

軟骨伝導補聴器は
耳の軟骨(耳の穴の前に突き出た柔らかい部分)に
振動子をつけて
一般的な補聴器と同じような感じで耳にかけます。
軟骨伝導補聴器では振動子が音を振動に置き換えて
外耳道内の空気や鼓膜を震わせます。
その後は通常の聞こえの仕組みと同じく、
内耳で電気信号に変えられて脳へと伝わります。


■軟骨伝導補聴器の特徴

軟骨伝導補聴器は
軽度〜中等度の難聴の患者さんで使用可能です。
また耳の穴の状態や、
耳の穴があるかないかに関わらず使用できます。


■その他の特徴

軟骨伝導補聴器は気導補聴器という
耳の穴にイヤホンを差し込む一般的な補聴器と比べると、
耳をふさがなくていいというメリットがあります。
また慢性的な中耳炎がある人が
気導補聴器で耳の穴をふさぐと、
耳垂れによって機器が故障したり、
細菌が繁殖したりすることがありますが、
軟骨伝導補聴器ではその心配もありません。


■骨伝導補聴器

骨伝導補聴器とは、
ヘッドホンのような先に取り付けられた機器で
頭蓋骨を介して直接、耳の神経に音を伝えるものです。
骨伝導補聴器は振動する機器を骨に強く押し当てるので、
そこが痛くなったり、人によっては毛が抜けたり、
潰瘍ができることがあります。
その点、軟骨伝導補聴器は
振動子を弱く押し当てるだけなので、
快適で痛みのない補聴器といえます。


■補足

軟骨伝導補聴器は現在、取り扱いの医療機関で
適応と診断された場合のみ使用が可能です。
詳しくはお近くの耳鼻咽喉科医院でお尋ねください。

大動脈解離

 
今回、大動脈解離についてお話を伺ったのは、
福岡大学医学部 心臓血管外科学講座 主任教授の
和田秀一(わだ ひでいち)先生です。

■大動脈解離とは

心臓から出る血管の本管を大動脈といいますが、
大動脈解離とは多くの場合、1番内側の内膜に亀裂が入り、
中膜に血液が流れ込んで血管が剥離することをいいます。
解離した血管が破裂して
急死する可能性が非常に高い病気です。
また解離する場所によっては心筋梗塞や脳梗塞、
腸の壊死といった重篤な合併症が起こることもあります。


■大動脈解離の原因

大動脈解離の原因は分っていませんが、
動脈硬化が関係していると考えられているため、
高血圧や喫煙、糖尿病、脂質異常症、
睡眠時無呼吸症候群などが発症リスクとされています。
大動脈解離は男女とも70歳代に最も多いですが、
40〜50歳代で発症する人もいます。
活動時間帯の日中に発症しやすく、
特に午前中の6〜12時に
発症することが多いという報告もあります。


■大動脈解離の症状

大動脈解離の症状は突然発症する胸痛や背部痛で、
血管の解離にともなって胸部から背部、
背部から腰部に痛みが移動していくのが特徴です。


■大動脈解離の診断

大動脈解離は緊急手術が必要な場合もあるため
診断は迅速に行います。
まずは首から骨盤にかけてCT検査を行って
大動脈解離があるのか、
血管の裂け目がどこにあるのかを見極めます。
さらに臓器障害の有無を確認するために
必要に応じて心電図や血液検査、
胸部や腹部のX線検査やMRI検査を行います。


■大動脈解離の治療

大動脈解離の治療は心臓に近い上行大動脈が裂けたA型と、
それ以外の場所が裂けたB型で治療方法が違います。
A型は命に関わる危険な状態なので緊急手術が必要で、
解離した上行大動脈を人工血管に置き換えます。
B型は薬物治療で血圧を厳重に下げる治療を行います。
2〜4週間この治療を行って、
多くの場合は一旦退院できますが、
解離した大動脈は非常にもろいので、
患部が広がった場合には手術を行うこともあります。
手術では足の付け根からカテーテルという細い管を入れ、
患部にステントという網状の物を置いて
解離した血管を修復する血管内治療が多く行われます。

大腸憩室出血

 
今回、大腸憩室出血についてお話を伺ったのは、
福岡赤十字病院 消化器内科 部長の
平川克哉(ひらかわ かつや)先生です。

■大腸憩室出血とは

まず大腸憩室とは、
大腸の壁の一部が外側に袋状に突き出た構造物です。
そして大腸憩室出血とは、憩室内の粘膜が傷ついて、
その部分の血管が切れて出血する病気です。
救急外来では胃潰瘍からの出血は減少しているのに対して、
大腸憩室出血は最近、増加傾向にあります。


■大腸憩室の特徴

大腸憩室は年齢を重ねるとともに数が増え、
高齢者に多く見られます。
大腸憩室ができても多くの場合は無症状ですが、
一度できてしまうと自然に元に戻ることはありません。


■大腸憩室ができる要因

大腸の壁には“筋層”と呼ばれる筋肉組織がありますが、
場所によって層が薄いところがあります。
大腸憩室はその筋層の薄いところが
腸内の圧力に押されることでできると考えられています。
その原因には、食生活の欧米化とともに
脂肪の摂取量が増加してきたため、腸の収縮が強くなったり、
慢性的に便秘になったりする事が挙げられます。


■大腸憩室出血と薬

心筋梗塞や脳梗塞などの循環器系や
脳血管系の疾患がある患者さんで
抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用している人が
最近、増えています。
また高齢化が進んで、腰痛などで鎮痛薬を服用する人も増え、
大腸粘膜に損傷が起こって
大腸憩室出血を起こしやすくなっています。
特に鎮痛薬と抗血栓薬を両方服用すると、
さらに出血しやすい傾向があります。


■大腸憩室出血の症状

大腸憩室出血では通常、腹痛や発熱は見られません。
真っ赤、もしくは赤黒い血便が突然起こるのが特徴ですが、
ほとんどの場合は自然に止まります。
しかし、出血が多くなると顔色が悪くなったり、
血圧の低下から動悸や失神などが起こったりして、
高齢者では命に関わることもあります。


■大腸憩室出血の予防・対策

大腸憩室の予防法としては食物繊維を多く取って、
なるべく便秘をしないことです。
また大腸憩室出血は再発を繰り返すことがあります。
その原因となっている鎮痛薬や抗血栓薬を
自己判断で中止してはいけませんが、
薬の服用の仕方、量、種類の見直しができないか、
担当の先生と相談してください。

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