茶を庶民の手に
2024年05月04日
[佐賀県]
売茶翁(1)
5月、新茶の季節ですね。
嬉野に代表される茶処・佐賀。
実はここには、かつて全国に「煎茶」を広めたマイスターがいました。
日本でのお茶栽培の起源は、鎌倉時代に禅僧・栄西が宋から持ち帰った種を脊振山に蒔いたのが始まりとされています。
まさに現在の日本茶文化のルーツは佐賀にありました。
そして、その日本茶を庶民に広めた先人も佐賀出身でした。
その人の名は“売茶翁(ばいさおう)”
「侘び茶」の作法を確立し“茶道の祖”として知られる千利休に対し“煎茶の祖”と称される人物です。
NPO法人「高遊外売茶翁顕彰会」理事長 川本喜美子さん
「茶道として“わび・さび”を追求した千利休に対して売茶翁は、上流階級の嗜みだったお茶の文化を煎茶を通して庶民に広めた人物でした。」
売茶翁=幼名 柴山菊泉は、1675年佐賀の支藩・蓮池藩に仕える医者の家に生まれています。
父の死後、11歳で佐賀の禅寺・龍津寺に出家。
月海と名乗り僧侶として禅の道を探求する中で煎茶と出会ったといわれています。
そして50歳を過ぎた晩年、寺を後進に託し京都へ。
鴨川のほとりに店を構えお茶をふるまいます。
それは、日本で初めての喫茶店とも言われているのです。